大相撲の床山の仕事内容とは? なり方や年齢制限、階級などを解説
力士のシンボルである「大銀杏」や「ちょんまげ」を結う「床山」も、裏方として大相撲の世界を支えている重要な職業の一つです。
床山は力士や行司などと同様に相撲部屋に所属し、力士のまげを結う仕事を担当しています。
大相撲の床山の仕事内容
力士の大銀杏やちょんまげを結う
床山は大相撲の世界だけの職業ではなく、もともとは江戸時代に歌舞伎役者の髪を舞台用に結い上げていたのが始まりといわれています。
大相撲の世界における床山は、力士の象徴である「まげ」を結う職業です。
大相撲の床山は日本相撲協会が採用し、力士や行司、呼び出しなどと同様に相撲部屋に所属して仕事をしています。
力士のまげには、おもに二つの種類があり、その一つは大銀杏と呼ばれるものです。
大銀杏は番付が十両以上の力士が結うことのできる髪型で、まげの先端が大きなイチョウの葉に似ていることからこの名前が付けられています。
もう一つはちょんまげで、大銀杏を結うことができない番付の力士が結います。
また、大銀杏は正式な時にだけする髪型であるため、稽古のときや普段の生活では十両以上の力士もちょんまげを結います。
床山は力士と一緒に相撲部屋で生活をし、大銀杏やちょんまげを結うのがおもな仕事です。
勤続年数や能力によって階級が決まる
大相撲の世界では力士の番付だけでなく、それぞれのポジションに階級制度があります。
行司や呼び出しにも階級がありますが、床山にも六つの階級が存在します。
最も上位の階級は「特等床山」と呼ばれており、続いて「一等床山」「二等床山」「三等床山」「四等床山」「五等床山」となっています。
勤続年数や能力によって階級が上がっていき、待遇も向上していきます。
基本的には階級が上になるほど番付の高い力士のまげを結うことになります。
また、床山はまげを結う以外の仕事も行うことがあり、料理をつくる「ちゃんこ番」や掃除、入門したばかりの力士の世話などを担当する場合もあります。
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大相撲の床山になるには・必要な資格
大相撲の床山になるために取得すべき資格や学校などはとくにありません。
力士のまげを結うといっても、美容師の免許などは必要ありません。
ただし、床山になるには「義務教育を修了した満19歳までの男子」という条件があります。
義務教育である中学校を卒業してから19歳の誕生日を迎えるまでに、床山として採用されなければいけません。
この条件は行司や呼び出しなども同様で、大相撲の世界の独特のルールです。
満19歳までの年齢制限があることから大学などへ進学することはできず、遅くとも高校卒業までに進路を決める必要があります。
また、大相撲は伝統的に女性が土俵に上がることが禁止されているため、条件にもあるように、現状では床山になることができるのは男性のみです。
大相撲の床山に向いている人・適性・必要なスキル
大相撲の床山としてのスキルは、相撲部屋に入ってから一から習得していきます。
美容師の免許や経験などは必要なく、相撲部屋に所属して最初の3年間が見習い期間となっています。
その間に先輩たちから指導を受け、特殊な技術を必要とするまげの結い方を習得していきます。
本場所のない時期には、見習いの床山を対象に講習会が開かれることもあります。
床山が力士のまげを結う際にはさまざまな道具を使用しており、くしだけでも髪をとかす際に使用する「荒ぐし」、髪に付いたほこりなどを取る「すきぐし」、まげの先端を整える「そろえぐし」などさまざまな種類があります。
そういった特殊な道具の使い方をマスターし、徐々に力士のシンボルであるまげを結う技術を習得していきます。
そのため、床山は地道に一つの技を磨き上げていく職人気質の人が向いているといえます。
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大相撲の床山の求人状況
大相撲の床山になるためには日本相撲協会に採用されて、いずれかの相撲部屋に所属しなければいけません。
通常、日本相撲協会や相撲部屋が床山を公募することはなく、床山になりたい人は直接相撲部屋に連絡してまずは親方の許可を得る必要があります。
親方に認められれば、日本相撲協会に床山の候補生として申請してもらうことができます。
行司や呼び出しといった大相撲の世界で活躍する他の裏方と同様で、床山になるための条件は「義務教育を修了した満19歳までの男子」です。
床山を志望する場合は19歳の誕生日を迎えるまでに日本相撲協会に採用される必要がありますが、この条件を満たしていればいいというものでもありません。
これも行事や呼び出しなどと同様で定員があり、床山の定員は大相撲全体で50名となっています。
しかし、床山の定員には例外もあり、12名以上の力士が在籍する部屋に床山がいない場合は定員をオーバーしていても採用されることがあります。
大相撲の床山の現状と将来性
大相撲の床山は伝統ある世界に欠かせない役割を果していますが、第二次世界大戦の影響で戦後は床山が減少してしまいました。
1960年頃は床山の定員が現在よりも少ない35名でしたが、それでも定員に満たない人数しかいませんでした。
大相撲界全体で十数名しか床山が存在しなかった時期もあり、力士経験者や力士志望者が床山になるケースもありました。
しかし、現在は定員である50名前後の床山が常時活躍しており、大相撲の世界における存在感も改めて見直されています。
実際、2008年の1月場所からは番付の最下段に床山の名前も載るようになりました。
当初は最高位である特等床山の名前のみが記されていましたが、現在は一等床山までの名前が載っています。
大相撲は伝統的な世界ですから、床山も時代によってそれほど大きく変化していく職業ではありません。
大相撲が存在する限り不可欠の職業であり、今後も床山は裏方として長く活躍していくでしょう。
「大相撲の床山の仕事」のまとめ
大相撲の床山は、力士のシンボルであるまげを結うという重要な役割を担っています。
日本相撲協会に採用され、力士や行司らとともに相撲部屋に所属して働いています。
定員が50名と決まっているため狭き門といえますが、今後も需要のある職業であることは間違いありません。