大相撲の呼び出しの仕事内容とは? なり方や年齢制限、階級などを解説

日本の国技である大相撲の世界では、力士以外にもさまざまな人が活躍しています。

今回ご紹介する「呼び出し」も、大相撲を支える重要な職業の一つで、力士の呼び上げや土俵の整備など、大相撲の興行において多くの仕事を担当しています。

力士と競技を仕切る行司の仕事を除くほぼすべての仕事をこなすといわれるほど、大相撲に欠かせない重要な職業です。

大相撲の呼び出しの仕事内容

力士の名前を読み上げる「呼び上げ」

大相撲を見たことがある人であれば、土俵に上がる力士の名前を独特の節回しで呼び上げるのを聞いたことがあるでしょう。

職業名からもイメージできるように、「呼び上げ」と呼ばれるこの役割を担当しているのが呼び出しです。

呼び出しは土俵の中央に立って扇子を広げながら、これから土俵に上がる力士の名前を順番に呼び上げます。

「呼び上げ」は、呼び出しの仕事のなかでも最も印象的なものです。

最も重要な仕事は土俵作りと土俵整備

呼び出しというと、土俵上で「呼び上げ」をする姿が最も印象的ですが、その他にも裏方としてさまざまな役割を果たしています。

そのなかでも、とくに重要な仕事が「土俵作り」と「土俵整備」です。

本場所や巡業の際に使用される土俵を作っているのが呼び出しで、土俵の整備も担当します。

取り組みの合間には土俵をほうきで掃き清め、土俵が乾燥したときには水打ちを行います。

裏方の仕事はほとんど呼び出しが行う

呼び上げと土俵作り・土俵整備以外にも、呼び出しの仕事はさまざまにあります。

大相撲では「触れ太鼓」「寄せ太鼓」「はね太鼓」といったいくつもの太鼓が使われていますが、それらの太鼓を叩いているのも呼び出しです。

さらに勝った力士に渡される懸賞金の管理、力士や行司、審判員の世話なども行っており、力士が取り組みを行う前に飲む力水を渡しているのも呼び出しです。

また、呼び出しは力士や行司などと同じように相撲部屋に所属しており、本場所や巡業がないときには所属する相撲部屋の雑務をこなしています。

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大相撲の呼び出しになるには・必要な資格

大相撲の呼び出しになるために、取得すべき資格や通うべき学校などはとくにありません。

ただし、呼び出しになるには「義務教育を修了した満19歳までの男子」という条件があります。

つまり、中学校を卒業してから19歳になるまでに採用されないと呼び出しになることはできません。

現在のルールでは19歳の誕生日以降に呼び出しを目指すことは不可能であり、その点では特種な職業といえます。

呼び出しになるためには早い段階で進路を決め、採用されるための行動をする必要があります。

また、大相撲は伝統的に女性が土俵に上がることが禁じられているため、現状では呼び出しになることができるのも男性だけです。

大相撲の呼び出しに向いている人・適性・必要なスキル

力士の番付と同じように、呼び出しにも経験や実力によって階級制度が設けられています。

最も階級が高い呼び出しは「立呼び出し」で1名しかいません。

続いて「副立呼び出し」が2名、「三役呼び出し」が4名、「幕内呼び出し」が8名、「十両呼び出し」が8名です。

それ以下の階級は定員がなく、「幕下呼び出し」「三段目呼び出し」「序二段呼び出し」「序の口呼び出し」と続いて計9つの階級が存在します。

昇格する条件はもちろん能力も考慮されますが、年功序列の面もあります。

たとえば「三役呼び出し」になる条件は「勤続40年以上の成績優秀者、または勤続30年以上40年未満で特に優秀な者」というように、それぞれの階級に条件が定められています。

呼び出しの給料は基本給と手当からなっており、階級ごとに金額の範囲が設定されています。

最も階級の高い立呼び出しの基本給は月36万円~40万円未満で、それに手当がプラスされます。

最も階級の低い序の口呼び出しの基本給は月1万4千円で、これに手当がプラスされると、初任給は月額約14万円です。

給料は高額とはいえないため、相撲が本当に好きで、伝統的な世界で仕事をすることにやりがいを感じられる人に向いている職業といえます。

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大相撲の呼び出しの求人状況

大相撲の呼び出しになるためには、相撲部屋に所属する必要があります。

力士や行司などと同様に、まずは呼び出しを志望することを希望する相撲部屋に伝えます。

そして、親方に認められれば呼び出しの組織である呼び出し会を通して相撲協会に申請してもらうことができます。

呼び出しになる資格があるのは義務教育を終えてから満19歳になるまでの短い期間ですから、興味があるのであれば早い段階で進路を決断することが必要です。

しかし「義務教育を修了した満19歳までの男子」という条件を満たしていれば呼び出しになれるというものでもありません。

呼び出しは大相撲界全体で定員45名と決まっており、呼び出しの定員に空きがなければ空きが出るまで待たなければいけません。

呼び出しは65歳で定年となるため、定年を迎えた呼び出しがいれば自動的に空きが出ます。

とはいえ、呼び出しの世界は年齢の制限がある上に定員もあるためタイミングも重要で、非常に狭き門といえます。

大相撲の呼び出しの現状と将来性

相撲は、もともとその年の農作物の収穫を占う祭事が起源といわれており、古事記や日本書紀の中にも登場するほど長い歴史を持っています。

そのため、呼び出しも含めて大相撲に関わる職業は、良くも悪くも時代によって左右されることはあまりありません。

大相撲界全体で呼び出しの定員は45名と決まっているため、職業として衰退していくこともなければ、反対に活躍の場が広がるということも考えにくいです。

待遇が大きく変わる可能性も低く、新しいことにトライしていきたい人には向いていない世界かもしれません。

大相撲界で働くということは日本の伝統を受け継いでいくことでもあり、呼び出しもその重要な役割を担う仕事です。

そういった点に価値を見出せる人にとっては、とても魅力的な世界であり職業といえます。

「大相撲の呼び出しの仕事」のまとめ

大相撲の呼び出しは、大相撲の興行において欠かせない役割を果たす職業です。

土俵に上がる力士の呼び上げや土俵作り、土俵の整備をはじめ、さまざまな裏方の仕事を担当します。

年齢の制限や定員もあるため、呼び出しになるのは狭き門ではありますが、日本の伝統を受け継いでいくという特別なやりがいのある仕事です。