力士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「力士」とは
日本相撲協会に所属する相撲取り。日本相撲協会が年6回主催する本場所で相撲をとる。
力士とは、日本相撲協会に所属する相撲取りのことで、おもな仕事内容は、日本相撲協会が年6回主催する本場所で相撲をとることです。
また、本場所に備えて相撲部屋で稽古をしたり、地方や海外での巡業があれば参加したりもします。
力士になるには、日本相撲協会が年6回、本場所の前に実施する新弟子検査に合格する必要があります。
大相撲の力士は日本相撲協会に雇われ、給料をもらいますが、給料の額は地位によって差があり、支給されるのは十両までです。
力士の数は時代とともに減少しており、また幕内力士の約30%を外国人力士が占めるまでに変化しています。
今後は、力士をめざす日本の若者が増えるように、昔ながらの育成システムを変えていく動きが見られるかもしれません。
「力士」の仕事紹介
力士の仕事内容
力士とは、日本相撲協会に所属する相撲取りのことです。
その一番の仕事は、日本相撲協会が年6回主催する本場所で相撲をとることです。
横綱、大関ら幕内と十両の力士は1場所に15番、幕下以下の力士は7番の相撲をとって、各階級で勝ち星を競います。
本場所以外には、地方や海外での巡業があれば参加します。
本場所に備えて相撲部屋で稽古をするのも大切な仕事です。
また、相撲は、古代から神前で行われた神事であり、力士は神から特別な力を授けられた士とされてきました。
そのため、さまざまな行事や祭、イベントなどに参加することもあります。
相撲部屋では地位の低い力士ほどちゃんこ作りや掃除などの仕事や雑用をこなしたり、幕内力士の身の回りの世話などもすることになっています。
力士になるには
力士になるには、日本相撲協会が年6回、本場所の前に実施する新弟子検査に合格する必要があります。
受検資格は、「中学校を卒業していること(義務教育を終えていること)」と「受検日に23歳未満」であることです。
新弟子検査では体格検査と内臓検査(健康診断)が行われ、体格は身長167㎝以上、体重67㎏以上が合格です。
ただし、中学を卒業する3月に新弟子検査を受ける場合は165㎝以上、65㎏以上と合格基準が下げられています。
合格すれば、その場所の前相撲で新弟子同士相撲をとり、その成績によって次の場所での番付が決まります。
最初は「序の口」からのスタートですが、学生横綱やアマチュア横綱などアマチュアで優秀な成績を残した者で、25歳未満の者は、身長、体重に関係なく、幕下付け出しとしてデビューすることができます。
力士の給料・年収
力士の収入の基本は、相撲協会からの給与や手当、成績に応じて額の決まる褒賞金などです。
十両が年間約1700万円、幕内で約2100万円、大関で約3800万年、横綱で約4700万円となっています。
これに1本につき3万円をもらえる懸賞金や「タニマチ」とよばれる支援者からのご祝儀、CMや各種イベントへの出演料などが入ると、十両で年間約2,000万円、人気横綱なら1億円を超えるといわれています。
当然ながら強くて人気があれば、収入がどんどん増えます。ただし、所属する相撲部屋によって収入の何%かを部屋の運営費として支払うことになっています。
また、給料のない幕下以下は場所ごとに手当がつき、その額は序の口で年額42万円、序二段で48万円、三段目で60万円、幕下で90万円です。
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力士の現状と将来性・今後の見通し
力士の数は、この20年で大きく減っています。
20年前には約800人いた力士が、現在は600人程度と、20年で約200人も減りました。
また、20年前には年間150人前後だった新弟子の数も、近年は50~80人に減っています。
力士を目指す若者が減っている一方、幕内力士の約30%を外国人力士が占めるようになりました。
現在は各相撲部屋に外国人力士は1人という制限があるため、外国人力士の数が抑えられていますが、このまま日本人力士の数が減り続ければ、大相撲のあり方や運営方法にも影響が出そうです。
今後は、日本人力士の数を増やす努力が必要であると同時に、力士をめざす日本の若者が増えるように、昔ながらの育成システムも変えていくことが求められるでしょう。
力士の1日
番付によって生活環境が大きく違う
大相撲の世界には「番付」という力士の階級があり、番付によって給料や待遇、生活環境なども大きく違います。
番付は上から横綱、大関、関脇、小結、前頭、十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口となっており、給料が発生するのは十両以上です。
若手は十両以上の力士の付け人として、身の回りの世話などの雑用もこなさなければいけません。
すべての力士に共通しているのは朝早く起きて食事をとらずに朝稽古をし、昼と夜に「ちゃんこ」と呼ばれる相撲界の食事をまとめてとる生活サイクルです。
<試合日(本場所)の力士の1日>
<練習日(稽古日)の力士の1日>
関連記事力士の1日のスケジュールは? どんな生活をしている?
力士に向いている人・適性
力士に向いているのは、相撲が好きで、こつこつと努力を続けられる人です。
力士は、まず給料のもらえる十両を目指しますが、年間50~100人ほどの新弟子のうち十両まで昇進できるのは10人に1人と厳しい世界です。
新弟子は体作りから始め、相撲の技術や決まり手を学び、自分の相撲の型を身につけていきます。
さらに、すり足で動いたり、足の指で砂を掴んだり、相手と呼吸を合わせたり、相手が呼吸を吐いた瞬間に技をかけるなど相撲特有の奥義も会得しなければなりません。
さらに、相撲部屋では料理番などの仕事や雑用をこなしながら、一人前の力士になるための稽古に明け暮れます。
相撲が好きで、こつこつと努力のできる人でなければ、力士を長く続けることは難しいです。
力士の勤務時間・休日・生活
力士は、少なくとも結婚するまで所属する相撲部屋で暮らします。
1階が稽古部屋と食事場所、台所で、2階以上が住居部屋になっていることが多いです。
起床は、幕下以下が5時、十両以上の関取が7時ごろです。幕下以下の力士は起床から稽古して、7時すぎに関取が稽古場にやってきます。
1時間ほど一緒に稽古した後、地位の低い者は8時ごろから食事(「ちゃんこ」と呼ぶ)の用意をします。
9時ごろから約2時間かけて食事をし、後片付け、その後、昼寝をします。
食べて寝るのは体を大きくするためで、これも仕事のうちです。
午後は自由時間ですが、筋トレなどのトレーニングをします。
17時ごろから夕食で、その後は自由です。
休日は基本的に週1日ですが、地位が低いほど雑用などの用事があり、休みはないも同然です。
場所中の2週間は、取組時間に合わせて会場に入り、相撲を取ります。
力士の求人・就職状況・需要
力士になるには、新弟子検査に合格する必要があります。
体格検査(健康診断)で落ちる人はめったにおらず、身長(167㎝以上)と体重(67㎏以上)をクリアできるかどうかにかかっています。
また、一般にプロスポーツ選手は所属チームと年俸契約を結びますが、大相撲の力士は日本相撲協会に雇われ、給料をもらっている点で他のプロスポーツ選手とは違います。
給料の額は横綱や大関といった地位によって差があり、支給されるのは十両までです。
幕下以下は「力士養成員」と呼ばれ、地位に応じて手当が支払わられるだけです。
幕下以下の力士は、所属部屋で仕事や雑用をしながら稽古をします。真面目に稽古と仕事をこなしていれば、寝るところと食べ物に困ることはありません。