仲居の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
仲居は旅館の顔
仲居は旅館を訪れた宿泊客が最も密に接する従業員です。
玄関で客を迎えた後、荷物を預かり、大浴場や食堂、売店など館内の案内を行いながら部屋に案内します。
部屋に着いたらお茶を入れ、設備の使用方法や非常時の避難経路を伝えます。
この一連の業務を行う仲居の所作や応対で旅館の第一印象が決まるといっても過言ではありません。
心をこめておもてなし
仲居が次に客と顔を合わせるのは食事の時。
配膳時に、各料理の説明をし、飲み物の注文をとります。
その際、料理に関する質問を受けることも多いため、あらゆる角度からの十分な予習が必要になります。
板前の料理に対する熱い思いが客に伝わるかどうかは仲居の配膳にかかっているともいえます。
旅行の最大の楽しみを食事であると考えている人は非常に多いため、前項同様、旅館の評価に直結する重要な役割を担っているといえるでしょう。
食事が終った後は迅速な下膳を行い、会場を次の食事ができる状態に整えます。
また、部屋食の場合は続けて布団の準備を行うこともあります。
観光ガイドとしての一面も
周辺の観光案内は一通りできる存在である必要があります。
客の多くは旅行先の土地勘がありません。
中には滞在中の過ごし方を決めていない客もいます。
旅館を訪れた全ての人が旅行を最大限に楽しめるようにサポートするのも仲居の大切な仕事。
周辺のおすすめスポットの紹介はもちろん、近道やガイドブックには載っていない地元の名店などの有益な情報を持っておくことが求められます。
加えて、タクシーの手配やバスの時刻表案内、店の予約といったサービスを行う場合もあります。
帰った後も心を尽くす
客が帰る際は荷物を持って玄関まで見送ります。
またこの旅館に来たいと思わせるような心を込めた対応が必須です。
また客が帰った後にお礼状を書いて送る旅館もあります。
そういった業務も仲居が行う場合があります。
館内のオールラウンダー
旅館によっては売店の店員や館内の清掃も専門の従業員ではなく、仲居が行います。
仲居が送迎を行っている旅館も珍しくありません。
メインとなる業務は前述のとおりですが、それぞれの旅館によって付帯業務が追加されることもあることを留意しておきましょう。
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住み込みの仲居
全寮制が主流
仲居の勤務は変則労働制という形をとっています。
これは一組の客のお出迎えからお見送りまでを一貫して1人の仲居が担当するために正午から翌日の正午までを一日としてシフトが組まれるもの。
実働は6~8時間なので間に長い休憩時間が挟まれることになります。
このような変則的な勤務による肉体的な負担を考慮し、多くの旅館が仲居に入寮を義務付けています。
中には自宅からの通勤を不可とするところも珍しくありません。
また、正社員だけでなく、アルバイトや派遣社員でも入寮できる旅館もあります。
基本的に寮費は無料
寮には必要な家具家電は備え付けてあり、光熱費も旅館が負担してくれるのが一般的です。
もちろん家賃もかかりません。
旅館によりますが、多くの場合、賄いといって食事も無料で食べられます。
仲居は高給取りというわけではありませんが入寮してしまえば生活費がほとんどかかりません。
住み込みこそ仲居の魅力ということもできるでしょう。
家族寮があるところも
基本的には独身寮です。
一般的には結婚したら退寮し、通いでの勤務になると考えて下さい。
ただし、旅館によっては家族寮を完備しているところもあります。
上手に利用できると大きく支出を減らすことが可能になりますが、家族の理解が必要であることを理解しておきましょう。
仕事とプライベートを区別しづらい?
寮は旅館の敷地内、あるいは隣接地にある場合がほとんどです。
そのため、休日であっても仕事場にいる、という感覚が拭えないというデメリットもあります。
多くの仲居が慣れてしまえば大きな問題ではないと考えているようですが入寮してしばらくは悩みの一つになるかもしれません。
その分、支出を抑えることができることや、通勤の負担とは無縁であることに価値を置き、快適に過ごせるように心がける必要があるでしょう。
仲居の服装
作務衣や洋装も増加
かつては仲居といえば着物以外の選択肢はなかったといっても過言ではありません。
最近では時代の変化や利便性を鑑み、作務衣やパンツスタイルなどを制服としている旅館も増えてきています。
とはいえ、やはり着物を採用している旅館も少なくないため、好みがある人は求職活動の段階で調べておき、応募先を決定するとよいでしょう。
着付けも仲居の業務のうち
着物で働く旅館の場合、まずは自分で着物が着られるようになることが一人前への一歩であると考えていいでしょう。
もちろん、始めはかなり時間がかかったり、きれいに着られなかったりするのは当たり前。
また着物での日常動作に苦労することもあるかもしれません。
いずれも慣れが解決するもの。
焦らず、生活に馴染ませていきましょう。
同一の型を着用
旅館によっては多少選択肢があるところもあるかもしれませんが多くの場合、仲居は皆同じ服装で勤務します。
これは客がすぐに従業員を判別できるようにするためです。
また服装を揃えることで従業員一丸となって客をもてなしているという視覚効果も期待できます。
例えば美容師やアパレル店員といったように、同じ接客業であっても服装で個性を出すという職種ではありません。
髪型や髪色も揃えている旅館もあります。
このあたりの理解は事前にしておく必要があるでしょう。
管理職は異なる服装の場合も
仲居の中でも責任ある立場にある場合、着物の色が違ったり、作務衣の中で着物を着用したりと、異なる服装をしている場合があります。
やはりこれも客から見て管理者であることが分かるようにという意味合いがあります。
また着用している側も、自身の責任を服装によっても自覚できるといった効果もあります。
どんな服装でも所作は美しく
動きやすい作務衣やパンツが制服であっても身のこなしは着物と遜色なく美しいものである必要があるのはいうまでもありません。
作法も含めて仲居の質の高いおもてなしなのです。
これはどの旅館であってもしっかりと指導されるところです。
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旅館の女将の仕事
旅館のマルチプレイヤー
女将は女性にしかなれない数少ない専門職の1つです。
仲居のトップとして接客を行っているのが一般的なイメージですが実際の仕事はそれだけではありません。
むしろ、女将の主要業務は裏方として、旅館の経営を支え、全ての従業員のマネージメントを行うこと。
それに加えて前述のような接客や、クレーム処理、新人指導なども行っています。
他業種では複数の部署に分かれているような業務を一手に引き受けて旅館全体が円滑に動くように調整する要職、それが旅館の女将です。
弛まぬ経営努力を続ける
旅館の経営が良好なものになるよう、広報活動や館内装飾、食事のメニューや各種イベントの企画などを中心になって行います。
経営の傾いた旅館の立て直しも女将の手腕一つであるといっても過言ではありません。
仲居や板前のトップと連携をとり、綿密な打ち合わせを重ねながら旅館をより良いものとし、多くのリピーターを迎えることができるように日々努力しています。
全ての従業員の母
従業員が気持ちよく働くことができるように現場の声を吸い上げ、改善すべき点を直していくのも女将の大切な仕事です。
従業員は宝。
それぞれが機能して初めて旅館が成り立ちます。
また現場を知る従業員にしかできない提案を経営に生かしていくことができるのも女将だけ。
また人事権が女将にある旅館も多くあります。
これは女将が従業員のことを誰よりもよく知っている存在であることを考えれば当然の采配であるといえるでしょう。
組合や地域の会合に参加
近隣の旅館や地域住民との付き合いも女将がしている場合がほとんどです。
役員等を任された場合、議事の進行や各種イベントの運営等、旅館の外での仕事を請け負うことも。
業務の特性上、コミュニティ内でも中心的な存在になることが多い傾向にあります。