麻薬取締官になるには? 採用の状況は?
麻薬取締官になるまでの道のり
麻薬取締官になるには、厚生労働省麻薬取締部の採用試験に合格し、採用される必要があります。
採用試験受験の応募資格として、以下の2通りがあります。
(1)国家公務員試験一般職試験(大卒程度)の「行政」または「電気・電子・情報」を受験し第1次試験に合格すること(採用条件は最終合格者となります)
(2)薬剤師、または薬剤師国家試験合格見込の者で、29歳以下であること(薬剤師国家試験見込みの者については、薬剤師免許の取得が採用条件となります)
麻薬取締官になるには、基本的に4年制大学の法学部か薬学部を出ていることが条件となります。
国家公務員一般職(大卒程度)に合格、または薬剤師国家試験に合格した場合も、それだけで麻薬取締官になれるわけではありません。
地方厚生局麻薬取締官の採用試験に応募し、面接試験を受けて成績優秀者の中から全国の麻薬取締部に採用される形となっています。
採用後は、麻薬取締官初任者研修など各種研修や事務官などの経験を積んだ後、麻薬取締官として任命されます。
麻薬取締官には定員があり、現在、全国で活躍する麻薬取締官は300名弱しかいません。
そのため、募集が出たとしても採用人数は若干名ということもあり、上記のどちらのルートを選ぶとしても狭き門となっています。
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麻薬取締官に必要な資格はある? 薬学部・法学部は有利?
資格がなくても麻薬取締官は目指せる
麻薬取締官になる方法は、大きく以下の2つが挙げられます。
- 国家公務員一般職試験(大卒程度)の「行政」または「電気・電子・情報」に合格すること
- 薬剤師または薬剤師国家試験合格見込みの者で29歳以下であること(ただし、薬剤師国家試験合格見込みの者については薬剤師免許の取得を採用条件とする)
上記のうち1のルートを選ぶ場合ですが、この採用試験は基本的に大卒者を対象としているため、大学には進学しておく必要があります。
採用試験受験にあたって学部の制限はなく、また特別な資格を持っている必要もありませんが、採用試験の内容に関連することを深く学べる法学部からの採用が多くなっているといわれます。
2のルートを選ぶ場合には薬学部に通うのが前提となりますので、薬学部で薬剤師国家試験の受験資格を得た人は、2のルートから麻薬取締官を目指すのが一般的です。
法学部から目指すメリットは?
麻薬取締官の仕事では法学の知識も必要なので、法学部で学んでおくことはプラスになるといえるでしょう。
法学部から麻薬取締官を目指すには、国家公務員試験一般職試験(大卒程度)の「行政」または「電気・電子・情報」を受験し合格することが条件となりますが、他に何か特別な資格を持っていなければならないということはありません。
採用試験の面接では、麻薬取締官になりたいという熱意はもちろんですが、学生時代にどれだけ主体的に学んできたかということが重視されます。
なお、法学部に在籍する場合、官公庁などへの就職を目指して国家公務員試験を受ける人が多いですが、他にも弁護士や司法書士、行政書士、社会保険労務士等の「士業」の国家資格取得を目指す人もたくさんいます。
麻薬取締官は採用人数の少ない狭き門の職業であるため、法律の知識をしっかりと身につけておくことで、万が一、進路変更しなくてはならない場合にも有利になります。
ただし、上記で挙げた士業関連の資格は10%の合格率にも満たない難しいものが多く、法学部だからといって必ずとれるものでもないため、予備校に通うなどをしての勉強が必要となります。
薬学部から目指すメリットは?
薬学部で所定のカリキュラムを修了すると、薬剤師国家試験の受験資格が得られます。
その試験に合格すれば、薬剤師の資格を取得できます。
薬剤師の就職先は調剤薬局や病院以外だけでなく、ドラッグストアや医療品メーカー、製薬会社などさまざまです。
麻薬取締官は薬学の専門的知識が求められる仕事であるため、薬剤師の資格取得者も積極的に採用されています。
ただし、薬剤師の有資格者採用に関しては、欠員が出た際などに不定期で実施されるのが一般的で、必ずしも毎年採用があるとは限りません。
少しでも有利な形で麻薬取締官を目指していきたいのであれば、大学の薬学部に進学して薬剤師国家試験の受験資格を得るとよいでしょう。
薬剤師になるための勉強はハードですが、大学できちんと学んでいれば、ほぼ確実に国家試験に合格できるといわれます。
実際、調剤薬局やメーカーなどの企業で勤務した後に、麻薬取締官の採用試験を受験する人も少なくありません。
薬剤師の資格を持っておくと、公務員としてはもちろん、民間も含めて進路の選択肢が広がるメリットがあるといえます。
麻薬取締官になるための学校の種類
麻薬取締官になるには、基本的に4年制大学の法学部か薬学部を出ていることが条件となります。
国家公務員試験一般職試験(大卒程度)を受けるのに在籍学部は問われませんが、法学部や薬学部以外の場合は、合格したとしても麻薬取締官として任命されるために2年以上の麻薬取締関連の業務経験等が必要となります。
そのため、先に挙げた(1)のルート、つまり国家公務員一般職試験の受験者からは、法学部出身者を積極的に採用する傾向にあるようです。
法学部から目指すルート
法学部で一般的に学べるのは憲法や民放、刑事訴訟法など「六法」のほか、経済法、労働法、そして国際法などまで非常に幅広い分野に渡ります。
法学部を設置している大学は多く、それぞれ多彩なカリキュラムを有しています。
国家公務員試験に合格するという目標を見据えると、例年、同試験の合格者を多く輩出している難関私立大学や国公立大学を目指すほうがよいといえるでしょう。
また、英語などの語学力があると採用に有利になることがありますので、できるだけ語学力を磨いておくことをおすすめします。
薬学部から目指すルート
薬学部を卒業すると薬剤師国家試験の受験資格が得られ、それに受験して合格すれば薬剤師の資格を取得することが可能です。
薬剤師国家試験に合格するか、合格見込みがあれば、麻薬取締官の採用試験にも応募できます(採用条件は薬剤師国家試験の合格者であること)
麻薬取締官の仕事では病院や製薬会社への立ち入り検査等もあり、薬学の専門的な知識が生かされる場面が非常に多くなるため、麻薬取締官の採用試験では薬剤師として実際に勤務した経験もプラスに判断されているようです。
ただし、麻薬取締官採用試験の応募条件として「29歳以下」という年齢制限があるので注意が必要です。
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麻薬取締官に向いている人
正義感が強く、世の中を守る仕事がしたい人
麻薬取締官として働くには正義感が必要です。
「犯罪は絶対に見逃さない」という強い気持ちを持つことで、厳しい捜査活動が実を結ぶのです。
また、国家公務員として国全体のために働く役割を担うので、世のため、人のためになる仕事がしたいという気持ちがある人に向いている仕事です。
心身ともにタフであること
特別司法警察員としての権限を与えられる麻薬取締官は、刑事と同様に張り込みや尾行、取り調べなどをします。
ときには長時間にわたる業務や夜間、早朝勤務など不規則な勤務時間になることもあります。
犯罪者と向き合うなどプレッシャーのかかる場面に遭遇しますので、心身ともにタフであることが求められます。
薬学や法学、ITなどの知識
麻薬取締官は、日ごろから薬物に関しての勉強や情報収集を重ねて、専門的な知識を持っておかなくてはなりません。
犯罪と関連する仕事に就くため、法学的な知識も必要になります。
また、最近では外国人による薬物犯罪、インターネットを活用した薬物売買が増えているため、英語などの語学力やITリテラシーがあるに越したことはありません。
麻薬取締官のキャリアプラン・キャリアパス
麻薬取締官として採用されると、初任者研修、中堅職員研修などを受けて専門知識を身につけていきます。
法務省や人事院などが主催する各種研修にも参加し、幅広く麻薬取締官として、また国家公務員としてのスキルアップを目指します。
また、麻薬取締官は日ごろから犯罪捜査にも携わっていくため、警察と同じように逮捕訓練術や拳銃射撃訓練を受けて技術を習得するほか、外国人による薬物犯罪の増加に対処するための語学研修なども受けます。
そして3~4年程度ごとに異動があり、全国の麻薬取締部を移りながら、薬物犯罪を防止するための職務にあたります。
麻薬取締官を目指せる年齢は?
麻薬取締官を目指すには、該当する国家公務員試験を受け、地方厚生(支)局麻薬取締部に採用されなくてはなりません。
国家公務員一般職試験の年齢制限は、採用年の4月1日時点で30歳が上限となっています。
また、薬剤師枠での応募資格は29歳以下であることが条件となっています。
とくに6年制の薬学部を卒業した場合、薬剤師資格を取得してから受験できる期間には限りがありますので、しっかりと計画を立てたうえでの受験準備が必要になります。
麻薬取締官は女性でもなれる?
麻薬取締官は全国でもわずか300名弱ほどしかおらず、少数精鋭で活躍しています。
その多くは男性ですが、全体の1割ほどは女性の取締官だといわれます。
採用試験を受けるうえで男女で区別されることはありませんし、性別による人数制限もありません。
ただし、麻薬取締官には定員があり、欠員が出ないと募集されることもありませんので、性別問わず狭き門となっています。
麻薬取締官の仕事はときに危険と隣り合わせで、長時間勤務や不規則な勤務時間にもなるなどハードワークではありますが、女性の活躍にも期待が集まっています。
薬物犯罪者になるのは男性だけではありませんし、張り込みなどをする際にも、女性取締官のほうが被疑者に気付かれにくいといった面もあります。
仕事に対する熱意と使命感があれば、女性もおおいに活躍できる仕事だといえます。