競艇選手(ボートレーサー)になるには
競艇選手(ボートレーサー)になるまでの道のり
まずはボートレーサー養成学校への入学を目指す
競艇選手(ボートレーサー)は、国家試験である競艇選手資格検定に合格した人のことをいいます。
そのため、ボートレーサーになるには、まず資格検定試験への合格を目指さなくてはなりません。
資格検定試験は誰でも受験できますが、実質的には福岡県柳川市にある「ボートレーサー養成所(旧やまと学校)」に入学し、1年間、競艇に関連する専門的な授業や訓練を受けることが唯一のルートとなっています。
ボートレーサー養成所は、年に2回の入学式(4月入学と10月入学)があります。
入学試験の倍率は、例年40倍前後とかなり高いです。
ボートレーサー養成所の受験資格
ボートレーサー養成所の受験資格は、次の通りです。(※第134期、第135期募集時点)
- 15歳以上30歳未満で、入学時に中学を卒業していること
- 身長:175cm以下
- 体重:男子は49.0kg以上57.0kg以下、女子は44.0kg以上52.0kg以下
- 視力:裸眼で両眼とも0.8以上(コンタクト・フェイキックIOL「有水晶体眼内レンズ」手術は不可)
- 弁色力:強度の色弱でないこと
- 聴力その他の健康状態:選手養成訓練に支障のない者
その他の条件
- 禁固以上の刑に処さられたもの及びモーターボート競走法に違反して罰金以上の刑に処せられた者
- 選手養成訓練中に成績不良又は素行不良により養成を取りやめられた者
- 反社会勢力との関係が疑われる等モーターボート競走の公正を害するおそれがあると認められるに足りる相当の理由のある者のいずれにも該当しない者
とくに、身長、体重、視力については厳しく設定されているため、確認が必要です。
ボートレーサー養成所の入学試験
ボートレーサー養成所の一般試験は、第1次(学科と体力試験)、第2次(身体検査、適性試験、体力試験)、第3次(面接、身体検査、適性検査)の3回に分けて行われます。
学科試験のレベルは中学校卒業程度、実技試験は4泊5日の宿泊合宿内で行われます。
基準をクリアし、試験に合格すると、養成所で競艇選手としての基礎を身につけていきます。
なお、中学、高校、大学などのスポーツ活動で優れた実績をおさめた者を対象に、「スポーツ推薦試験」もあります。
第1次試験が、人物試験だけで学科と体力試験が免除されます。
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競艇選手(ボートレーサー)になるための学校
ボートレーサー養成所での学校生活
養成所での研修期間は1年間で、全寮制です。
学校生活は、午前6時の起床から午後10時の消灯まで分刻みのスケジュールで管理されています。
「礼と節」という教訓の下、礼儀や態度、行動まで厳しく指導されます。
最初の3か月間は「基礎訓練」として、基本的なボートの操縦や整備、諸法規、モーターボートの構造や機能について学びます。
その後の9か月間では、複数のボート並走や模擬レース、性能向上整備などを行います。
学費は、食費や養成費の一部として月10万円かかっていましたが、2017年から無償化されました。
それ以外にもヘルメットやジャージの購入費、雑費がかかります。
また、定期的に身体検査と体重測定が実施され、身体面もきめ細かく管理されます。
学校の雰囲気になじめず、なかには途中で挫折する生徒もいるのが実情です。
ボートレーサー養成所での授業と試験
ボートレーサー養成所の授業は、学科、実技、その他に分けられます。
学科では、ボートレース関連の法律からエンジンについて、「操縦学」「整備学」「気象学」などの科目で年間約280時間勉強します。
実技は操縦と整備について、年間約1500時間勉強します。
その他としてメンタルトレーニングや徳育、現地訓練などが年間約140時間あります。
バーベキュー大会や雲仙普賢岳登山、マラソン大会に加え、父兄参観やテーブルマナー講習、地元イベントへの参加など、訓練時代の思い出となる行事・イベントも実施されています。
入学から4ヵ月後には進級試験があり、全7科目中、60%未満の科目が3科目あれば退学となります。
また、年4回の班別試験(中間や期末テストのようなもの)があり、得点率が20%に満たない場合は退学です。
さらに、訓練生同士のレースで勝率が著しく低かったり事故率が高かったりしても退学になり、約40名の入学生のうち、挫折をせず卒業できるのは30名前後といわれています。
体力と精神力が必要になりますが、厳しい環境の中で生活をするため、共にがんばってきた訓練生同士の絆は強固なものとなるでしょう。
1年間の厳しい生活を終え、ボートレーサーの資格検定試験に合格し、ボートレーサー養成所を卒業できればボートレーサーとなれます。
資格検定試験の合格率は、ほぼ100%となっています。
競艇選手(ボートレーサー)に向いている人
ボートレーサーに向いている身体的特徴
ボートレーサー養成所の入学条件として、身長、体重制限もあります。
競艇選手(ボートレーサー)の卵として求められている人材は、小柄で体力があって運動能力が高く、状況への対応力のある者だということがわかります。
ボートの操作には腕力や体重移動など、体全身を上手に使いこなす必要があるため、強靭な肉体を保つことも必要な能力といえます。
若い頃からモーターボートを操縦して慣れているという人は少ないでしょうから、モーターボートの経験は問われません。
ということは、中学、高校の部活や地域クラブで、なんらかのスポーツを継続し、それなりに運動能力の高い人が、ボートレーサーには向いているといえそうです。
逆にいえば、スポーツ経験者で、それなりに運動能力の高い人でなければ、競争率の高い入学試験を突破することは難しいでしょう。
ボートレーサーに向いている精神的特徴
勝負ごとですので、負けん気や最後まで諦めない気持ち、チャレンジャー精神の持ち主が向いていることは、言うまでもありません。
ボートレーサー養成所への入学試験でも、何度も不合格になりながらチャレンジを続け、やっと合格した人も少なくありません。
レース中、接触事故を起こして命を落とす選手もいるくらいですから、勝負に勝つためには勇気も必要となってきます。
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競艇選手(ボートレーサー)のキャリアプラン・キャリアパス
競艇は、毎日のようにレースが開催されていて、週末や祝日には全国の10会場以上でレースが開催されていることもあります。
選手のランクはA1、A2、B1、B2の4つのランクに分かれており、A1が最上位のランク、B2が最下位のランクになります。
レースに勝つことでランクが上がり、年収や獲得賞金、参加できるレースや人気も大きく変わってきます。
勝利を重ねてランクを上げ、最上位ランクであるA1を目指していきます。
そして年間8回行われるSG競争、とくに年末に行われる優勝賞金1億円のビッグレース、グランプリに優勝することは、すべてのボートレーサーの目標です。
女性でも競艇選手(ボートレーサー)になれる?
ボートレースは、男女関係なく、同じレースに出場します。
男女が同じ条件で対等に戦える数少ないスポーツです。
体力や筋力では、たしかに男女差がありますが、それをテクニックや経験で補い、勝利をあげる女性の選手も少なくありません。
女性レーサーだけで争うレースも開催されています。
意地とプライドをかけて張り合う女性専用レースは人気が高いです。
賞金女王決定戦は、優勝賞金が1000万円となっています。
賞金獲得ランキング上位12人だけに出場権があり、女性レーサーのあこがれの舞台となっています。
女性が競艇選手(ボートレーサー)になるには? 結婚後の生活は?
競艇選手(ボートレーサー)を目指せる年齢は?
ボートレーサー養成所を受けられる年齢は15歳以上30歳未満となっています。
そのほかの条件を満たしているならば、30歳までボートレーサー養成所の試験を受けることが可能です。
ただし、第2次試験の受験回数は5回(欠席・辞退含む)までとなっているため、実質的に受験できる回数には限りがあるといえます。