騎手の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

騎手の仕事とは

競馬のレースで競走馬に騎乗すること

騎手の仕事は、競走馬に騎乗して競馬のレースに出場することです。

最大18頭で着順を競い、入賞すると着順に応じて賞金がもらえます。

競馬のレースには、「平地競走(通常のレース)」と「障害レース」、競走馬がソリを曳きながら力やスピードを競う「ばんえい競馬」があります。

たとえば、平地競走で3歳馬の日本一を決める「日本ダービー」は、東京競馬場で、18頭立てによる2400メートルで争われます。

賞金総額は、3億円です。

1着馬には2億円が贈られ、その5%の1000万円が騎手の取り分となります。

「重賞」と呼ばれる大きなレースで優勝すれば、たった1レースで1000万円の賞金を手にできるのが騎手という仕事です。

競馬のPRのため、マスコミの取材やイベント出演もする

競馬の専門雑誌や専門新聞が発行されていますし、スポーツ新聞でも競馬は大きく扱われます。

トレーニングセンターや厩舎にも、平日は記者たちが通ってきます。

立ち話をしたり、喫茶店などでじっくり話をしたり、取材の形はさまざまですが、競馬記者の取材を受けることも大切な仕事です。

人気騎手になると、テレビ番組やイベントへの出演依頼が来るようになります。

担当する競走馬と触れあう時間やプライベートの時間が減りますが、競馬のPRするため、番組やイベントを選びながら出演するのも仕事のうちです。

新たなファンを獲得することは、競馬界全体の発展につながります。

また、引退後に解説者やタレントとして活動していく下準備にもなります。

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騎手の歴史

競馬は、3〜4世紀頃の古代ローマ時代には始まっていたようです。

ローマに大きな競技場が建設され、戦車を引いた馬の競走が行われていました。

日本で本格的に競馬が行われるようになったのは大正時代のことですが、競馬には長い歴史があり、現在は世界約50ヵ国で行われています。

騎手という職業には、古くから世界で行われている競馬の担い手の一人になり1700年以上受け継がれてきた競馬文化を受け継ぐというロマンがあります。

かつて、日本における騎手の養成は騎手を志す者が調教師に弟子入りして、住み込みで厩舎の雑務をこなしながら一人前になるまで育成されていました。

現在は、競馬学校や地方競馬教養センターなどの養成機関で2~3年学び、実地研修などを経て卒業試験に合格することで騎手となります。

騎手の組織・所属先

騎手免許は、中央競馬会(JRA)と地方競馬全国協会(NAR)がそれぞれ交付します。

そのため、騎手が騎手免許の交付を受けると、JRAかNAR、いずれかの所属となります。

前者の場合は茨城県の美浦と滋賀県の栗東にトレーニングセンターがあり、どちらかの所属先が騎手の勤務地となります。

後者の場合、騎手はまず、北海道日高町の門別競馬場から佐賀県鳥栖市の佐賀競馬場まで全国に15ヵ所ある地方競馬場に所属します。

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騎手の1年の流れ

年中仕事がある

騎手は、JRAであれば原則土日、地方であれば週の中頃にレースがあります。

毎週レースがある上、それ以外の日はレースに向けた調教を行っているため、休めるのは週に1日程度です。

JRAは春と秋にグレードの高いG1レースが行われます。

夏の間は、北海道など地方開催が集中し、2歳馬がデビューします。

騎手は一年間を通して「今年良い成績を挙げられそうな馬」を探し求め、営業活動をしながらレースに騎乗し、結果を残していかなくてはなりません。

日本最高峰のG1レース「日本ダービー」や、ファン投票によって出走馬が決まる一年の総決算「有馬記念」といったビッグレースを勝つことで騎手自身の評価も上がります。

そうしたレースで勝てる馬に早い段階から出会えるように、2歳馬の動向にも気を配らなくてはいけません。

さらに、有名な騎手になれば海外での騎乗が依頼されることもあります。

フランスで最も格式の高いレース「凱旋門賞」には、毎年のように日本馬と騎手が挑戦していますが、まだ1着になったことはありません。

日本はもちろん、世界を舞台に一年中戦うことが出来る職業が騎手ということになります。

レースでの騎乗が決まるまでの流れ

騎手が、競馬レースに出場できるのは、出走馬をもつ厩舎から騎乗依頼があった場合です。

馬主や調教師は、持ち馬の出走が決まれば、騎手を探します。

同じ厩舎に所属する騎手が騎乗することもありますが、基本的には、騎手としての実力や馬との相性、馬主や調教師との信頼関係、レース当日のスケジュールなどによって決まります。

中央競馬の場合、最近は、JRAによるエージェントから騎乗依頼がくることも増えています。

レースでの騎乗が決まると、出走する競走馬とトレーニングをします。

実際に乗って走ってみて、競走馬の調子やレース展開のタイプ、癖などをつかんでいきます。

レース当日に競走馬のコンディションを最高の状態に仕上げるため、調教師や厩務員と連係を取りながら調教します。

担当の競走馬とのコミュニケーションも仕事のうち

競走馬は、それぞれの性格もちがえば、癖もあります。

レース展開も、先行逃げ切り型や追い込み型などタイプもいろいろです。

レースで勝とうと思えば、騎乗する競走馬の特徴を熟知しておかなくてはなりません。

そのため、普段から騎乗して走ってみるのはもちろん、世話もしながらコミュニケーションを深める必要があります。

その馬の目や表情をみれば、馬の気持ちがわかるくらい慣れ親しむことも騎手の大切な仕事で、時間があれば、厩舎に出掛け触れあっておくことも大切です。

騎手リーディングとは

勝利数ランキングのこと

騎手リーディングとは、その国や地域、競馬場、主催団体においてシーズンの「勝利数ランキング」のことです。

期間や対象となるレースの範囲はさまざまですが、騎手にとっては実力を示す大きな指標となります。

中央競馬の騎手リーディング

中央競馬では、JRAが主宰するレースにおける勝利数でランキングがつけられます。

2012年度まではJRA主催レースに加えて、地方競馬で行われるJRA指定交流競走における勝利数も含まれていましたが、2013年度からはJRA主催レースの成績のみが対象となっています。

美浦(関東)と栗東(関西)それぞれの所属騎手の中で勝利数が多い騎手も発表されていて、それぞれの最多勝利騎手を「関東リーディングジョッキー」「関西リーディングジョッキー」としています。

地方競馬の騎手リーディング

地方競馬では、地方競馬全体での騎手リーディングのほかに、開催主催者や競馬場単位でリーディングがあります。

2009年度からは「NARグランプリ最優秀勝利回数騎手賞」が設けられました。

これは、中央競馬を含む勝利数の合計によって争われています。

リーディングジョッキーになるのはどんな騎手?

中央競馬ではフリー転向後がほとんど

2000年以降の20年間における中央競馬リーディングジョッキーは、15人がフリー騎手です。(武豊8回、クリストフ・ルメール3回、岩田康誠2回、蛯名正義と福永祐一1回、)

残りの5回は、嶋田潤厩舎所属(当時)の内田博幸が2回、田島俊明厩舎所属の戸崎圭太が3回です。

厩舎所属の騎手は、やはり所属厩舎の馬に乗ることが多くなります。

そのため、所属厩舎の馬よりも能力の高い馬への騎乗依頼を断らざるをえないときがあります。

実力をつけていく段階の若手時代は、定期的に騎乗することができる厩舎所属の騎手である方が良いかもしれません。

しかし、実力がつけば、より良い条件を自ら選択することができるフリーに転向する方が、勝利数の獲得にはつながるでしょう。

ただし、これまで育ててもらった厩舎との関係性などは良好に保っていく必要はあります。

そのあたりのバランス感覚は、フリーとして騎手をする上で求められる資質といえるでしょう。

地方競馬リーディングからは中央競馬進出者も

地方競馬のリーディングは各競馬場のほかに、地方競馬全体とJRAの勝利数を合わせたものがあります。

2009年に新設された「NARグランプリ最優秀勝利回数騎手賞」を獲得した騎手は、2019年までに6人。(戸崎圭太4回、森泰斗3回、川原正一、田中学、下原理、吉村智洋1回)

このうち、戸崎圭太は既にJRA騎手免許試験を受けて、合格。

2019年まで6年連続で関東リーディングジョッキーに君臨しています。

地方競馬でも実力が認められれば、中央競馬へ進出し活躍することが可能であることを示してくれました。

リーディングジョッキーになる意味

リーディングジョッキーになることは多くのレースで勝利したことを意味します。

それだけ多くの獲得賞金を得ることができるだけでなく、「勝てる騎手」としての評価も上がります。

騎手リーディングは、馬主や調教師が騎乗依頼を頼むときの一つの指標にもなります。

リーディングジョッキーはもちろん、リーディングで常に上位にいられれば、能力の高い馬への騎乗依頼も増えるでしょう。

また、中央競馬のリーディング上位騎手はメディアの露出が増えるなど、騎手以外の仕事も増えていきます。

全国リーディングジョッキー18回を誇る、武豊騎手は競馬関連の番組にとどまらず、バラエティー番組からもオファーが来る人気者です。

もちろん、勝利数が多いだけではなく、高い人間性も求められることになります。

リーディングジョッキーは騎手界の顔として、今後の人気を引っ張っていく重責も担っていかなくてはなりません。