騎手の現状と将来性

騎手の現状

騎手の仕事は中央競馬と地方競馬のどちらか

日本で、競馬は「公営ギャンブル」の一つです。

「公営ギャンブル」とは、地方公共団体など公の機関が運営するギャンブルのことで、他には競輪、競艇、オートレースがあります。

中央競馬は、政府が全額出資した日本中央競馬会(JRA)が運営し、農林水産省が監督にあたっています。

中央競馬のレースは、原則として毎週土、日に開催され、日本ダービーやジャパンカップ、有馬記念などが有名です。

競馬事業による収益は、畜産を中心とした各種振興事業に使われています。

一方、地方競馬は、地方公共団体によって運営されています。

現在、地方競馬は下記で行われています。

・北海道日高町の紋別競馬場
・帯広市の帯広競馬場
・盛岡市の盛岡競馬場
・奥州市の水沢競馬場
・さいたま市の浦和競馬場
・船橋市の船橋競馬場
・品川区の大井競馬場
・川崎市の川崎競馬場
・金沢市の金沢競馬場
・岐阜県笠松町の笠松競馬場
・名古屋市の名古屋競馬場
・尼崎市の園田競馬場
・姫路市の姫路競馬場
・高知市の高知競馬場
・鳥栖の佐賀競馬場

地方競馬は、おもに平日に開催されており、その収益は畜産や社会福祉、医療、教育文化、スポーツの振興のために使われています。

騎手の仕事はこうした各競馬場で行われるレースで騎乗することになります。

最近の競馬界は財政状況が厳しい

競馬は、同じ公営ギャンブルの競輪、競艇、オートレースと比べても人気が高いです。

しかし、売上は、バブル経済期の1990年前後をピークに減少しており、とくに地方競馬の財政状況が厳しくなっています。

実際、2000年代前半には、地方競馬の廃止が相次ぎました。

その後、競馬界では経費の削減やITの導入、民間の参入などが進められてきましたが、日本経済の長期低迷もあって、中央、地方とも運営が苦しい状況は変わっていません。

中央競馬と地方競馬の格差

騎手の年収をみてみると、中央競馬の騎手は平均1000万円といわれるのに対して、地方競馬の騎手は500万〜600万円です。

中央競馬の人気騎手は、取材やイベント、CMなどへの出演依頼が多く、年収が1億円を超える人もいます。

地方競馬では、人気騎手でも年収はそれほど高くありません。騎手の年収や待遇にも、中央競馬と地方競馬で格差ができています。

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騎手の今後の動向

中央競馬には毎年、海外から実力のある騎手たちが短期免許を取得して、来日しています。

彼らは短い期間ながら人気の低い馬を好走させたり、G1レースなど大きなレースに騎乗して優勝するなど結果も残していきます。

若い騎手たちは、武豊や福永祐一に代表される日本人のトップ騎手に加えて、海外からやってくる騎手たちとも騎乗する機会を奪い合わなくてはいけなくなります。

レースで結果を残すことはもちろん、調教なども含めて信頼を獲得し、騎乗依頼を確保していくことが必要になります。

騎手の将来性

経済状況に左右される業界

競輪、競艇、オートレースと同じように公営ギャンブルにカテゴライズされる競馬の収益は、どうしても日本経済の状況に左右されてしまいます。

経済状況が改善されなければ地方競馬の運営はますます厳しくなると予想されますが、公営ギャンブルとしての競馬がすたれることはないでしょう。

日本の経済がよくなれば、また活発になるでしょうし、反対に経済が低迷すれば、廃止される地方競馬や規模の縮小の可能性はあるかもしれません。

それでも競馬学校の入試倍率は10倍以上

厳しい経済状況の中でも、武豊や福永祐一といった人気騎手の存在もあって、騎手をめざす若者は減っていません。

しかも、競馬学校の騎手過程の合格者が、中央競馬で10人前後、地方競馬で15人程度と少なく、入学試験の倍率は、毎年、中央、地方とも10倍以上となっています。

騎手は、最終的には実力の世界です。

中央競馬の騎手でも、実力がなければ年収は増えませんし、地方競馬の騎手でも、実力があれば中央競馬に参戦したり、試験を受けて移籍することも可能です。

また、2020年にはアイドル的人気を誇る女性騎手、藤田菜七子騎手がJRA通算100勝を達成するなど明るい話題もあります。

新型コロナウィルスの感染拡大により日本国内の主要スポーツが軒並み開催できない状況でも、中央競馬は無観客で開催を続けたことで、スポーツニュースなどへの露出も増えました。

もちろん、経済状況によって売り上げが左右される業界ではありますが、騎手に関しては実力次第で道を切り開いていくことができる仕事といえます。