ジャーナリストとルポライターの違い
客観性を重視するルポライター
ジャーナリストと同じように取材や執筆を行う職業として、ルポライターがあります。
ジャーナリストとルポライターとの大きな違いは、執筆する内容に、筆者の見解、主張、批判があるかどうかという点です。
ルポライターは、現地報告者、記録者ともいわれ、実際の現場からの報告、レポートを主な仕事とする人のことを呼びます。
これはあくまでも報告、記録であって、できるだけ客観的に、詳細に、また生々しくレポートすることが大切です。
もちろん、内容や表現によっては読者を感動させることもあり、ノンフィクションとして一種の文学の領域にまで高められる作品もあります。
しかし、基本的には、第三者の視点を大事にして淡々と記録されたレポートを書くのがルポライターの使命なのです。
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主観性を重視するジャーナリスト
これに対してジャーナリストは、トピックスや時事問題などに対して、自分の見解を加えながら、解説したり批判を加えたりすることを生業としています。
事実や事象の記録、レポートではなく、ジャーナリスト自身、それをどう捉えるか、どう判断するかという考え方を提示することを求められるのです。
「私はこのような理由から新しい税法に反対だ」「私はこのような観点で今の政治を支持する」「私は景気のために新しい金融政策を提案したい」。
このように、主観的に物事を見ながら意見を主張することが何よりも大切です。
自分の意見をハッキリと主張できるジャーナリストは、新聞に解説記事を寄稿したり、ニュース番組でご意見番として出演したりすることもできます。
ジャーナリストはルポライター以上に個性や独自の視点が求められる職業といえるでしょう。
社会に影響を与えるジャーナリスト
ジャーナリストの本来の役割は、政治や経済、社会問題に対して、独自の視点で分析、解説を加えることによって、世論にさまざまな影響を与えることです。
私たち生活者は、毎日の生活の中で、新聞やテレビ、雑誌などから情報を得ています。
基本的にはそれで十分であり、解説や視点などの必要性はあまり求めていません。
しかし、新しい法案や税法に関わる問題、地球環境問題、さらには選挙のような政治の枠組みを大きく変える問題が生じた場合、判断に迷うことがあります。
このようなとき、専門家の視点から意見を述べることで人々に考える機会を与えるのがジャーナリストの大事な役割だといわれています。
ジャーナリストの解説を見てから選挙で誰に投票するかを決める、という人も少なくありません。
決して目立つ職業ではありませんが、世の中がよくなるために社会を支えているのがジャーナリストなのです。
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自由に主張できるジャーナリスト
ジャーナリストの重要な役割は、企業からの圧力や政治的なしがらみにとらわれることなく、自由に情報発信をするということです。
スポンサーからの広告収入で経営が成り立つ新聞社やテレビ局では、社員であるアナウンサーや記者の立場から明確な主張を打ち出すのが難しいという実情があります。
しかし、フリーのジャーナリストに執筆や出演を依頼することで、世間の人々にさまざまな主張や見解を伝えることができます。
最近では、新聞やテレビ局でも、自社のOBジャーナリストを活用して独自の見解を示すところもあるようです。
ジャーナリストがいるからこそ、メディアは特定の企業や政治団体に偏ることなく、さまざまな意見を自由に打ち出すことができるのです。