女性の外交官のキャリアパス・結婚後の生活
女性の外交官の現状
2019年7月現在、外務省の職員数は約6,000名、うち女性職員数は約2,000名で、女性職員の割合は約30%となっています。
また、2019年の新規採用者には数は全体が128名、うち女性が64名と、女性の割合はちょうど半数、50%でした。
外交の中心を担う総合職と専門職においては、総合職で42.9%、専門職では47.9%が女性の新規採用職員ということになっています。
国家公務員全体で見ると、採用者における女性の割合は35.4%、総合職では34.5%となっていますから、外務省は中でも女性職員の割合が多いことがわかります。
また、女性管理職の割合は室長職で6.1%、課長補佐相当職が23.1%です。
国家公務員全体では室長相当職で5.3%、課長補佐相当職が11.6%ですから、いずれも外務省においては平均を上回っています。
参考:内閣官房内閣人事局 女性国家公務員の採用状況のフォローアップ
参考:内閣官房内閣人事局 女性国家公務員の登用状況及び国家公務員の育児休業等の取得状況の フォローアップ
民間企業における女性従業員の割合は平均約25%、管理職では約8%というデータもあり、国家公務員はこれに比べ全体的に女性の登用が進んでいます。
参考:帝国データバンク 女性登用に対する企業の意識調査(2019 年)
中でも外交官は女性が活躍している職種ということができるでしょう。
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女性の外交官の強み・弱み
外交の場において、女性であるということによる強みはいくつかあります。
ひとつは、女性は交渉ごとなどのコミュニケーションが得意な人が多いということです。
外交というのは、人間どうしのコミュニケーションが最大のポイントとなる仕事です。女性独自の柔らかい雰囲気や細かい気配りを発揮する機会は多くあります。
また、開発途上国においては女性や子供の人権問題と向き合うことも多く、女性外交官ならではの感性や価値観が活かせることもあるのです。
一方で、外交の仕事は大変忙しく、体力的に大変な部分もあります。
あるいは、治安に不安が残るような地域に赴任となった際には、生活上の不安は男性よりも大きくなります。
こういった点においては、女性外交官ならではの弱みもあると言えるでしょう。
外交官の結婚後の働き方・雇用形態
外交官は国家公務員ですから、本人が希望する限りは基本的に定年まで働き続けることができます。
もちろん、女性職員の中には結婚後も第一線でバリバリとキャリアを伸ばしている職員もたくさんいます。
しかし、外交官として働き続けるためには、国外赴任が必須となります。
結婚しても、その後単身赴任になってしまうというケースも少ないくないようです。
あるいは、夫が退職し妻の赴任についていくというケースもあるようですが、現場では数は多くはありません。
外交官は男女平等に働ける職種ではありますが、だからこそ、女性であっても赴任先や仕事内容を自由に選ぶことができないという制約もあります。
女性が結婚後も外交官として活躍を続けていくためには、家族の理解と協力が不可欠なのです。
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外交官は子育てしながら働ける?
平成30年度において、女性外交官の育児休業取得率は94.2%でした。
年度によっては100%という年もあり、取得率は高水準が続いています。
男性の育児休業取得率も9.4%でした。
全国では平成29年の実績として女性が83.2%、男性は5.14%という結果がありますから、外交官の育児休業取得率は男女共に高くなっています。
そういう意味では、子育てをするためのサポート体制があるということもできるでしょう。
一方で、女性外交官が子育てをしながらキャリアを続けていくために最もネックになるのは、やはり国外赴任でしょう。
数年ごとに定期的に国内勤務と国外勤務を繰り返すのが一般的な外交官の働き方ですから、子どもができた場合でも、それに合わせて家族で生活の場を移していく必要が生じます。
国外勤務の間どのように過ごすのか、子どもの教育はどうしたいのかが、女性外交官が子育てをしながらキャリアを続けていけるのかどうかのポイントとなるようです。
外交官は女性が一生働ける仕事?
業務内容や管理職への登用状況だけを見れば、外交官は女性が一生つづる仕事として適しているということができます。
ですが一方で、定期的に勤務地の変更があるという特性は、家族を持つと難しい問題となることも少なくありません。
もちろん、外務省としても赴任先の安全な生活を確保したり、各種休業や休暇をとりやすい環境を整えたりと、職員が安心して働き続けられるような工夫を行なっています。
女性外交官が長く働き続けるためには、職場の配慮を上手に受けつつ、家族をよく話し合って、自分たちらしい暮らし方を見つけていくことが大切です。