農学とは? 大学で学ぶことや就職先は?

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農学の概要・理念

私たちの食生活は、さまざまな農作物によって支えられています。

米や野菜、果物といった農作物は、すべて誰かの手によって育てられ、出荷されて消費者の手元に届けられています。

農学では、こうした農作物の栽培や生産に関わる技術をはじめ、農業生産が持つ社会的な役割や農業経営といった分野について、総合的に研究が行われます。

おいしく安全で、かつ安定供給が可能な農作物を育てるためには、植物の性質や生育の仕組みを突き詰めて研究する必要があります。

たとえば、農作物が病気に罹ってしまうようなことがあれば、野菜や果物が収穫できなくなってしまいます。

病気に強い作物にするための品種改良などの生産技術の向上によって、私たちは安全でおいしい野菜や果物を口にすることができるのです。

そのために必要とされる研究を生物学物理学化学の知見を結集させて進めるとともに、バイオテクノロジーなどの先進的な技術、さらには農場実習を通じて、農業に関する幅広い知見を得ていきます。

農学で学ぶこと

農学で学ぶ知識の範囲は非常に幅広く、研究対象も農作物そのものに留まらず農業に関する経営や政策に及ぶこともあります。

農作物の生育など、農作物そのものについて学ぶのが栽培技術です。

品種改良や病害虫対策の研究を通じて栽培方法を学び、必要に応じて実習を行うこともあります。

農業経営では、事業としての農業に着目し、より効率的に農作物を生産する方法や事業としての継続性について研究します。

農業政策においては、農業に関する国や自治体の政策を考えることを通じて、農業が社会とどのように関わっているのかを探究していきます。

農学はバイオテクノロジーに代表される応用生命学や資源生物学といった分野の学問とも親和性が高く、これらの学問の知見を応用して農業に活かす手法を研究することもあります。

農学の大学での授業科目の例

農生物生理学

作物の発生や生育について、生理学、生化学、分子生物学の視点から研究します。

作物種苗学

農作物の種や苗について研究し、発芽の生理やその過程を解明することで作物をより確実に育てる方法を探究します。

害虫管理学

農作物に害を与える害虫について学び、適切に管理することで農作物を守る方法を研究します。

施設園芸学

ガラス室やビニルハウスといった農作物を育てるための施設について、その構造や改良方法を考えます。

農場実習

実際の農場で作物を育て、作物が成長する過程や育成する過程で必要とされる技術について学びます。

農学のレポート・テーマの例

農学のレポートは、実習や実験を通じて検証された仮説や、その結果得られた考察を報告するケースが多く見られます。

農場実習など長期間にわたる観察を行う場合ありますので、レポートのテーマによっては数ヶ月の期間をかけて作成する場合もあります。

  • ・酒米の酒造特性に関わる心白形成機構
  • ・枯草菌の高圧発芽誘導
  • ・微生物作用による土壌有機物の変遷
  • ・農作物に感染するウイルス
  • ・園芸作物の生育特性と施設生産システム

農学と関連する学問

農学は作物の育成に関わるあらゆる研究領域を含む総合的な学問ですので、生物学や生物工学といった分野はもちろんのこと、研究内容や専門分野によっては水産学獣医学といった分野とも深く関わっている場合があります。

品種改良や害虫管理学といった領域になると、バイオテクノロジーの研究領域と重なる部分も多く見られます。

また、農業政策や農業経営、農業経済学といった領域になると、政治学経営学・経済学などの分野の学問とも密接な関わりがあります。

農学を学んで就職に有利な業界・仕事

農学で学んだ知識を活かせる仕事としては、食品メーカーでの品質管理や製造技術職・研究職、種苗メーカーでの育種や研究職、農薬などを開発する化学工業メーカー、JA(農協)などが挙げられます。

このほか、農林水産省や林野庁、水産庁、環境庁などで国家公務員として働く場合や、地方公務員として働く場合にも、農学の知識を活かしせる場面が多くあります。

農林水産省であれば、農業の振興や経営サポート、生産技術の普及といった仕事に携わる農業技術職などの職種も募集していますので、農学の知識をフルに活用して働くことができます。

農業や林業に就く人はどちらかと言うと少数派で、一般的には数%と考えていいでしょう。

なお、どのような業種においても研究職として活躍するには、修士課程や博士課程を修了していることは必須要件となる場合がほとんどです。

そのため、研究職を希望する場合は大学院への進学を前提としたキャリアプランを考えておく必要があります。

農学の知識は人生でどう役立つ?

私たちが日ごろ口にしている野菜や果物は、これまでも品種改良を繰り返すことで、よりおいしく、病気にかかりにくい品種へと生まれ変わってきました。

「食」は誰しもに関わる暮らしの重要な要素ですので、農作物の生産について研究することは、私たち人間が生きていく根源の部分について研究することになるとも言えます。

近年では食の安全に対する意識が高まっており、農作物もより安全で安心できる生産工程でつくられたものが好まれる傾向があります。

農学に関する専門知識を持つことで、必然的に食の安全にまつわる情報の信憑性や情報源にも敏感になるはずですので、情報リテラシーを高めるという意味でも農学の知識を役立てることができるでしょう。