女性のトレーダーのキャリアパス・結婚後の生活
女性のトレーダーの現状
日本全国にどのくらいの金融機関や証券会社所属のトレーダーがいるかは定かではありません。
そもそも日本の金融機関における法人営業(ホールセール)の世界は男性が圧倒的多数であり、マーケットの最前線を張る女性は男性と比較して少ないことは否めません。
業界的な慣習もあり、株式のトレーダーに関してはまだ少ないようですが、債券のトレーダーは日系証券会社では比較的女性も増えつつあります。
また、女性が少ないといっても、金融マーケットの世界は完全な実力社会です。
個別の社風にもよりますが、現在は女性活躍推進をテーマに各社とも女性が働きやすい職場を作る動きが盛んになっています。
女性だからといって、不利益や差別につながる行為を同僚や上司が行うことは禁止されており、一度入社してしまえば仕事上の性差を感じることは少なくなってきています。
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女性のトレーダーの強み・弱み
女性のトレーダーの強み
女性は一般にコミュニケーション能力が高い人が多く、相手の調子や要望を素早くとらえ、状況にあったうまい対応をするのが男性よりも得意な傾向があります。
大きなお金を動かすトレーダーも、元はといえば法人を相手にした営業職で、売るのがモノではなく、有価証券取引に変わっただけです。
お客さまがどのようなストラテジーを考え、どのようなニーズがあるのか、また現在の資産構成はどうなっているのかを聞き出す能力があれば、トレーダーとしては鬼に金棒です。
この点で、コミュニケーション能力が高く、きめ細やかなフォローが得意な女性ならばその能力を生かしてトップトレーダーになることも可能といえます。
女性のトレーダーの弱み
トレーダーの能力は、どれだけの売買高を積むかにあり、長時間の労働が必要な種類の仕事ではありませんので、女性にとって極端に不利といった職種ではないと考えられます。
しかし、業務時間中は類稀な集中力でマーケットの動きを追い、的確なタイミングで顧客に連絡するなど非常に疲れる働き方ではあります。
株価が乱高下する日や顧客からの受注が取れない日は、昼食を抜いて働かなければいけないことも少なくはありません。
このような点で、男性より体力がない女性は厳しいと感じる局面がある可能性があります。
トレーダーの結婚後の働き方・雇用形態
大手金融機関は、女性の働き方に力を入れている企業も多く、結婚したからといって勝手に雇用形態が変わるといったことはありません。
逆にいえば、結婚して家事をしなくてはいけなくても、仕事に費やす時間に変わりはないので、仕事に家庭にと忙しくなる可能性が高いです。
しかし、産休・育休を取得できて、復帰後は子どもがある程度の年齢になるまで時短勤務で働ける会社も多く存在します。
ただし、実力主義のトレーダー業界で出世を考えた場合、長い育休や時短勤務は足かせになる場合もあり、注意が必要です。
制度としては使うことができますが、出世をしたいと思う女性は、このような制度を使わないので、自分がどのようなキャリアを築きたいかをよく考えなければいけません。
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トレーダーは子育てしながら働ける?
トレーダーは長時間拘束される職種ではありませんが、朝が早いことが特徴です。
早朝には海外市場の状況をチェックし、経済ニュースや新聞に目を通し、早朝会議での打ち合わせの後、それぞれの顧客に連絡して本日の相場予想や売買予定を聞き出します。
午前7時ごろには持ち場に着く人もかなり多く、子育て中という言い訳ができないような環境ならば、いくら時短でも早めに出社しなくてはいけません。
そのため、家庭を持った後もトレーダーとして長く続けるのであれば、朝の時間を何とか家族でやりくりできるように工夫する必要があります。
たとえば、たいていの保育園は、早くても午前7時からの開園ですので、出産前に子供の朝の面倒は夫に頼むのか、ベビーシッターを雇うのかなどよく相談することが大切です。
トレーダーは女性が一生働ける仕事?
トレーダーの仕事は、実力さえあれば引く手あまたの職種なので、女性だからという引け目を感じずにキャリアを構築しやすい仕事です。
子育て中は家庭との両立に翻弄される時期もあるかもしれませんが、仕事が好きでどんどん上に行きたいという強い気持ちがある人ならば、一生働き続けることも十分可能です。
マーケットの動きや世界情勢を追い続ける必要がありますし、勉強もし続けなければいけませんが、それを「おもしろい」思える人ならば、女性の武器を生かし、長く働ける仕事といえます。