僧侶(住職・坊さん)の収入源とは? 年収・給料・ボーナスの統計データを紹介
実際、僧侶は葬式や法事などの檀家とのやり取りから主な収入を得ているほか、各種不動産を経営するなどして収入をアップさせている場合もあります。
この記事では、僧侶の収入源や収入事情を詳しく紹介します。
僧侶の平均年収・給料の統計データ
僧侶の平均年収について、国の統計データも見ながら解説します。
僧侶の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、僧侶の平均年収は、45.5歳で514万円ほどとなっています。
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
僧侶にボーナスはある?
一般的な企業ではボーナスが支給されることが多いですが、僧侶の場合はボーナスが支給されないことがほとんどです。
寺院によっては年間で10万円支給される場合や、お盆のお布施で2,000円〜3,000円、葬儀で10,000円ほどが支給される場合もありますが、総じて企業に比べると低めの水準です。
そのため僧侶の年収は、月収×12か月分と考えておくとよいでしょう。
僧侶の初任給はどれくらい?
僧侶の初任給は寺院の規模や地域によっても異なりますが、約15万円〜18万円程度といわれています。
一般的な会社員の初任給よりもやや低め、またはさほど変わらないと考えてよいでしょう。
僧侶の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
僧侶の年収は、勤務先の企業規模とあまり相関がないようです。
10〜99人規模の事業所に勤める僧侶の平均年収は505万円、100〜999人規模は555万円、1,000人以上の規模では363万円、10人以上規模の事業所平均は514万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「宗教家」で神父など他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
僧侶の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
僧侶の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の738万円です。
全年代の平均年収は514万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「宗教家」で神父など他職業を含むデータです。
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僧侶の福利厚生の特徴
僧侶の福利厚生に関しては、健康保険や厚生年金の制度は整っていることが多いです。
しかし、育児休暇や介護休暇など、大企業でみるような福利厚生を取り入れている寺院はあまり見受けられません。
僧侶を目指す場合、充実した福利厚生を求めるのは厳しいと考えておくほうがよいでしょう。
有給休暇が取れる寺院がある一方、お通夜や葬儀など急な対応が必要な場合は休日返上で対応し、福利厚生はないに等しいという寺院も存在します。
僧侶の給料・年収の特徴
ここからは、僧侶の給料・年収の特徴をさらに詳しく紹介します。
特徴1.経験年数が長くなれば収入が増加する
僧侶の平均的な初任給は会社員並みですが、その後修行を積んで経験年数が長くなれば、収入が増加していく点も会社員と同じです。
寺院の経営者的立場である住職になると、檀家の多い大規模な寺院の場合、月収100万円近くになることもあります。
特徴2.葬儀や法要が主な収入源
寺院の収入の大部分は、檀家によるお布施(謝礼金)と、葬儀や法事の際に発生する寄付金です。
葬儀の際は葬儀社からだけではなく、遺族から直接依頼があることも多く、地域社会との関わり方や、檀家数の多さが収入増加のためのポイントになってきます。
昨今は、日本各地で葬儀・法要を簡略化させる動きが強まっており、以前ほどのお布施が得られなくなっているのが現状です。
厳しい経営状況をなんとか打開するために、お布施や寄付金以外にも幼稚園などの教育機関や駐車場、アパートなどの不動産を経営し収益をあげている寺院もあります。
特徴3.お布施や寄付金は税金がかからない
寺院は営利を目的としない団体が法人化した宗教法人にあたるため、お布施や寄付金には税金がかかりません。
ただしそれは団体の管理維持のための優遇措置で、寺院の収入からそれぞれの僧侶に支払われる給料は個人資産に当たるため、当然所得税や住民税をはじめとする納税の義務が発生します。
また教育機関や不動産などの経営で得た収入も、課税対象です。
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僧侶の勤務先別の給料・年収
僧侶は主に寺院で働きますが、寺院は大規模なところから非常に小さなところまで、規模がさまざまです。
小規模な寺院
小規模な寺院では、月収17万円程度、年収200万円程度でつつましやかに暮らしている僧侶が多数います。
なかには、初任給から2年間も月給5万円で頑張っている人もいるほどです。
ある調査によれば、宗派によっては70%の寺院が満足いく給料を支払うことができない状況なのだそうです。
檀家の数が多い寺院
厳しい経営状況の小規模寺院に対し、檀家の数が多い寺院の中には、年収1000万円以上で外車を乗り回すほどの裕福な暮らしができる住職もいます。
年収1000万円になれば単純計算しても月収は約83万円と、会社員の平均年収よりもはるかに高水準です。
なお、大規模な寺院では副収入を得ていることも多く、墓の販売や幼稚園経営、その他の店舗経営が好調の場合、年収がどんどんアップしていきます。
僧侶の正社員以外の給料・年収
僧侶は、正社員として寺に雇われる人以外に、派遣やアルバイト、フリーランスといった形で働く人もいます。
ここでは、それぞれの働き方の給料・年収の特徴を紹介します。
派遣の僧侶
最近は、通夜やお葬式、法事・法要時などに、僧侶をお客さまの元へ派遣する「僧侶派遣サービス」が増えてきています。
派遣として働く僧侶の収入は、お客さまからのお布施をそのままもらえるわけではなく、所属する派遣会社に30%〜50%の仲介手数料を支払わなくてはならない場合があります。
1か月にどれだけ仕事を担当できるかによって、給料と年収は変わってきます。
アルバイトの僧侶
アルバイト・パートの僧侶の給料は、地域や寺院にもよりますが時給900円〜1,700円ほどです。
週2〜3日から募集されていることが多く、働く日数によって給料や年収も異なります。
また、試用期間中の給与は低く設定される場合もあるため、事前によく確認しておくとよいでしょう。
フリーランスの僧侶
フリーランスの僧侶は、人によって大きな差があり年収200万円程度の人もいれば、年収1000万円以上の人もいます。
フリーランスの場合、純粋に葬儀や法要の供養や読経を行うだけでなく、塾や寺カフェの運営、ライター、YouTuberといった、他の副業・兼業をすることで収入を得ています。
そのため、個々の活動内容、成功度合いによって、収入は大きく変わってくるといえます。
僧侶が収入を上げるためには?
僧侶が収入を上げるためには、まずは長く働くことです。
僧侶の仕事は経験年数によって収入が上がるので、より多くの収入を期待できます。
また大規模な寺院で働いたり、住職を目指したりすることもよいでしょう。
さらにリスクもありますが、高収入を得ている僧侶のほとんどが副収入を得ているため、寺以外の経営に手を広げる方法もあります。
寺院の敷地を使って塾を経営したり、執筆活動をして原稿料を得るなど、寺院の特性や得意分野を活かすことで収入を上げることもできるでしょう。
「僧侶(住職・坊さん)の年収・給料」のまとめ
僧侶は修行を積んだり、住職になったりすることで給料が上がっていくことが多いです。
しかし、現代は檀家数やお布施額が減少傾向にあるため、寺院での仕事以外から収入を得て生計を立てている人も多くいます。
一般的な会社員のように、充実した福利厚生を求めるのは難しい職業です。