歯科技工士の求人状況・就職先の選び方
歯科技工士の就職先にはどんなところがある?
歯科技工士のおもな勤務先は、口腔外科のある大きな総合病院・歯科医院やクリニック、歯科技工所などが挙げられます。
また、どこかに就職するケースだけでなく、病院や歯科技工所で経験を積み、ゆくゆくは独立することも可能です。
厚生労働省「平成 30 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、2018年12月31日の時点では、全国の届け出歯科技工士数は3万4468人で、そのうちの72.7%にあたる2万5056人が歯科技工所で働いています。
続いて多いのが、病院・診療所の8861人(全体の25.7%)となっています。
そのほかには、歯科器材・材料関連企業、歯科技工士教育機関などがありますが、割合としては決して多くはありません。
歯科技工士数が3万4468人で、歯科技工所が2万1004カ所というデータもありますから、歯科技工所で働く場合、大規模な技工所でたくさんの同業者が同僚として働いているというケースはあまり多くはないでしょう。
歯科技工士を年齢階級別にみると、20代は全体の約11%で、50代以上がおよそ4分の1を占める高年齢化が進んでいます。
若手不足と言われている歯科技工士業界ですから、歯科技工士として働き出す新卒時点で就職先がみつけられないということはほとんどないと考えてよいでしょう。
20代で正社員への就職・転職
歯科技工士の求人の状況
ベテランの従事者が多い反面、少子化に伴う若手の人材が不足する状況のため、歯科技工士の需要は年々高まっています。
歯科医療を行ううえで歯科医院や口腔外科にとっても歯科技工士はなくてはならない大切な存在です。
近年は高齢化や歯科意識の向上にともなうインプラントなどの保険外私費治療での製作物など、歯科技工士の重要性はますます増していくものとみて間違いなく、需要がなくなることはありません。
仕事も豊富にありますので、就職先が決まらなくて困るような状況になることは考えにくいでしょう。
ただし、アジアを中心とする海外からの技工物の輸入が増えており、価格の面で日本の歯科技工所が押され気味な一面があるのも確かではあります。
とはいえ、世界トップレベルである日本の歯科技工技術に対する厚い信頼が揺らぐことはなく、確かな腕を持っていればどこにでも通用します。
募集や採用も多い
大手の歯科技工会社でなければいやだとか、この分野に強い歯科技工所で絶対に働きたいといったこだわりがある場合を除いて、歯科技工士の業界での就職状況は悪くはありません。
毎年の定期採用もある事業所も多いので新卒者でも優位な就職活動が展開できるでしょう。
また、さらなるスキルアップを求めて職場を移る人もいて、年度途中での中途募集も多いので転職やブランクのある人でも再就職しやすい印象です。
また、なかには歯科機材メーカーに就職する歯科技工士もいます。
歯科医療の分野も発展が著しく、歯科材料関連の会社も常に開発競争が続いています。
新規技術や材料の研究開発をはじめ営業職採用など、民間企業のやりがいも感じられるでしょう。
歯科技工士の志望動機・面接
面接のポイントは?
現役の進路決定の際に歯科技工士を志す人もいますが、社会人になってから歯科技工士の仕事に出会い、仕事に魅力を感じてキャリアの転換や進路の変更をして歯科技工士になる転職組も少なくありません。
歯科技工士の就職面接では、特に新卒ではない志望者の場合、やはり動機や仕事に対するモチベーションが重要視されると考えてよいでしょう。
歯科技工士は腕がものをいう仕事です。
新卒の若さも重要ですが、それ以上にモチベーションの高さや意欲が大切です。
自身の経歴を進路転換してでも歯科技工士を志した動機、またそれに対するやる気や努力を充分にアピールして、希望する就職先で仕事ができるよう、面接ではしっかりと心の内をPRできればよいでしょう。
志望動機の例
「私は幼いころからものづくりが好きで、手先も器用だったので、学生時代は建築家を目指していました。
しかし、大きな建築物よりも模型やモデルを製作しているときに「どうすればもっとリアルなものが作れるか」「ここはどうすればより自然な模型ができる科」などといった模索をすることにこそ魅力を感じていることに気づき、細部にこだわって完成度を高めていく歯科技工士という仕事に興味をもちました。
小さなものづくりというだけに完結せず、これが患者さんの口腔内で直接健康を支える重要なパーツになることにも、大きな魅力とやりがいを感じ、歯科技工士の学校に進むことを決めました。
どんどん新しい材料や技術、技法が出てきて、それらを試したりするのも、自分の趣味や好みでとどまらず、直接医療に貢献できることも、長きにわたって道を追求していきたいと思う理由のひとつです。」