ローディーになるには? 必要な資格はある?

音楽の経験が重要

ローディーとして働くにあたって特に必要となる資格はありません。

しかし、アーティストやミュージシャンをサポートする裏方としてさまざまな楽器のセッティングやメンテナンスを行うためには、楽器に関する知識や演奏の技術を習得しておく必要があります。

音楽の専門学校や音大で勉強する、ロックバンドや弾き語りなどの音楽活動を通して独学で勉強する、あるいはコンサートやライブでのスタッフのアルバイトをして現場から学ぶなどの方法があります。

演奏技術に関してはプレイヤーとしてのプロになれるほどの技術が必要なわけではありませんが、一流のアーティストやミュージシャンと対等に話をして信頼を勝ち取るためにはそれなりのレベルまで到達していることが望ましいでしょう。

また、正確なチューニングや細やかなメンテナンスをするためには耳の良さも重要になるので、音感も磨いておくことも重要です。

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ローディーになるための道のり

音楽の専門学校へ

ローディーになるために必要なのは楽器全般に関する知識や演奏技術です。

学歴に関しては特に求められませんが、音楽の専門学校で学んでおくと就職の際に即戦力になれることをアピールしやすいでしょう。

音楽の専門学校は全国的に見るとそれほど数は多くないため、東京や大阪などの大都市に集中している傾向があります。

学科の名前は学校ごとに異なり、「音響芸術科」「音楽芸能スタッフ科」「コンサートスタッフ専攻」「コンサート・イベント科」などを選択すると、楽器や機材、音響に関する勉強をすることができます。

専門学校のカリキュラムとしては、演奏の基本的な技術や音楽史を学ぶ授業があったり、楽器のメンテナンスやリペアの実習を受ける授業があったりするのが一般的です。

実際のイベント会場に行って機材のセッティングや音作りの方法を学ぶ機会もあるので、ローディーとしての基本的なスキルはここで身につけられると考えてよいでしょう。

履修期間は平均的には二年とされているので、高校を卒業してから専門学校に入学し、二十歳前後で専門学校卒業と同時に就職するという流れが一般的です。

少しでも早く現場に出たい、絶対にローディーになりたい、という明確な目標を持っている人にとっては専門学校は最短で夢を叶えられるルートのひとつともいえます。

音大や芸大に進学する人も

ローディーをめざす人の中には、音楽の専門学校ではなくて音大や芸大に進学して音楽の専門的な勉強をする道を選ぶ人もいます。

大学の場合は四年制のカリキュラムで学べることが多いので、じっくり腰を据えて知識と技術を身につけることができるのが大きな強みでしょう。

また、大卒という学歴を手に入れることができるので就職の幅も広がります。

ただし、音大や芸大はどちらかというと演奏のプロフェッショナルである演奏家や作曲のプロフェッショナルである作曲家、あるいは編曲者や指揮者などの育成に力を入れていることが多く、ローディーになるためのカリキュラムが充実していることはまれです。

専門学校と大学、それぞれにメリットとデメリットがあるのでよく比較してから選択することが大切です。

ローディーの資格

音楽の資格は必要なし

ローディーとして働く上で必要とされている音楽系の資格というのは特にありません。

どちらかというと楽器を演奏した経験があることや絶対音感があることなど、専門的な知識や技術を身につけているかどうかが重視される傾向があります。

また、体力があること、コミュニケーション能力が高いことも重要な要素です。

資格とは異なりますが、音楽の専門学校や音大、芸大などの卒業生の場合はその経歴が評価されることもあるようです。

もちろんこのような学校を卒業していないからといってローディーになれないわけではありませんし、適性さえあれば高卒の学歴でも全く問題にならないことが多いので、学歴に関してはあまり気にしなくてもよいでしょう。

舞台の資格を取る人も

ローディーの仕事と関連がある資格として、「舞台機構調整技能士」の資格を取得する人もいます。

これは厚生労働省が主催する国家技能検定の資格のひとつであり、劇場やコンサートホール、ライブハウスなどで働く音響設備のスペシャリストを認定するための資格です。

楽器や機材をベストなコンディションに整えるのがローディーの仕事なので音響関連の知識や技術を身につけていることは必須ではないのですが、音響を理解することがセッティングやチューニングの技術に生かせるケースもあるようです。

音響にも興味があるという人はこのような資格に挑戦してみるという道もあります。

運転免許は必須

これ以外にローディーの取得すべき免許として知られているのは、自動車の運転免許です。

音楽スタジオやコンサート会場まで楽器や機材を運搬する際に、ローディーが自分でハンドルを握って運転をしなければいけないことが多々あります。

荷物を多く積むことになるためワゴン車やトラックでの移動になりますし、目的地によっては数時間かけて長距離の運転をすることもあります。

普通自動車の免許がなければ仕事にならないので、ローディーをめざすのであれば時間に余裕のある学生時代に免許を取得しておくのがおすすめです。

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学歴は重視されない業界

音楽業界は音楽への感性や演奏技術、楽器や機材に関する知識こそが何よりも重視される業界です。

学歴に関しては役に立たないことも多いので、高卒だから不利になるとか四大卒だから優遇されるというわけではありません。

また、音大や芸大、音楽の専門学校に行かなければ就職できないということもありません。

学歴を理由に諦める必要は全くないと考えておいてよいでしょう。

プロダクションや音楽制作会社に就職

ローディーの募集をしているのは、音楽制作会社や芸能事務所、アーティストやミュージシャンが所属するプロダクション、ライブハウスやコンサート会場など多岐に渡ります。

ときにはアーティスト自身が個人で付き人として募集していることもあるようです。

未経験者の場合、最初は見習いのアルバイトスタッフとして採用されることも珍しくありません。

また、業務委託という形態で仕事をしている人が多い業界でもあるので、正規雇用での採用を望むのであれば非常に狭き門となります。

採用にあたっては特別な資格を必要としないことが多いのですが、楽器や機材の運搬のためにワゴン車などを運転することがあるので、自動車免許だけは必須とされることがあります。

ローディーの就職、求人、募集の状況

音楽制作会社やプロダクションに就職

ローディーの主な就職先はアーティストやミュージシャンと関わりのある企業です。

具体的にいうと、音楽制作会社や芸能事務所、演奏家が所属するプロダクションなどになります。

また、コンサート会場やライブハウスなどの劇場が直接ローディーを雇用していることもあります。

前者の場合、全国ツアーや海外ツアーなどに同行する際には長期的な出張となりますし、不規則で不定期な仕事が多いのが特徴になります。

後者の場合はシフト制で働けるケースも多いので、どちらかというと規則的な働き方をすることができるでしょう。

正規雇用は少ない傾向

ローディーとして求められるスキルや演奏技術は企業によって異なりますが、いずれの場合も正社員としての正規雇用は非常に少ないという現状があるようです。

ほとんどのケースで業務委託契約かアルバイトでの採用となっており、アルバイトの場合は時給850~1000円ほどの金額になるので高待遇が望めるわけではありません。

もちろん、時給自体は高くなくてもさまざまな経験を積むことができるという意味ではメリットがありますし、アルバイトとしての働きっぷりが評価されてそのままフリーのローディーとして業務委託契約を結んでもらえることもあります。

個人の付き人になることも

企業の求人以外には、アーティストやミュージシャン個人が付き人としてローディーを募集していることもあります。

楽器の運搬からメンテナンス、移動用のワゴン車の運転が主な業務ですが、ときには目的地までの交通手段を調べたり個人的な相談に乗ったりすることもあり、いわゆるマネージャーやアシスタントのような役割を果たすこともあります。

個人の付き人として雇われる場合、長く続けていけるかどうかは性格の相性や信頼関係の有無が重要なポイントになります。

技術的にも人間的にも高い信頼を勝ち取ることができれば専属ローディーとして高待遇で長期的に雇用してもらえることもあるようです。

女性でもローディーとして働ける?

増え始めた女性ローディー

ローディーは昔から圧倒的に男性が多いことで知られていました。

ローディーには肉体労働が付き物であり、重い楽器や機材を運ばなければいけないこと、ワゴン車やトラックの長距離運転をしなければいけないこと、働く時間が不規則でときには深夜まで仕事をすることなどから、女性が働くには厳しい業界だと考えられていたのです。

しかし、男女平等の活躍が求められる時代となった最近では、少しずつ女性のローディーも増え始めています。

もちろん体格のよい男性に比べると体力的なハンディはありますが、本人のやる気と能力次第でカバーできることも多いので決して女性にできない仕事というわけではありません。

「音楽が好き」「楽器の演奏が得意」「ミュージシャンを応援したい」「コンサートやライブで生音を味わいたい」という思いがある女性は、ローディーになるという道を将来の選択肢のひとつにするのもよいのではないでしょうか。

女性ローディーならではの強み

女性ローディーの場合は男性ローディーに比べると体力的なハンディがあることは否めません。

しかし、逆に女性ならではの強みもあるのではないかといわれています。

最近ではガールズバンドや女性のミュージシャンが音楽業界の最前線で数多く活躍しているので、身近な存在であるローディーには女性のスタッフを採用したいと考える人もいるのです。

同性同士であれば余計な気を使わなくてよいことが多いですし、ちょっとした相談事をしたり雑談をしたりするなかで信頼関係を築きやすいというメリットがあります。

また、ローディーには細やかな気配りが求められるので、よく気が利いてコミュニケーション能力の高い女性は現場で重宝されるようです。

仕事をする上では体力的には大変なこともありますが、やりがいの大きい職業であることは間違いありませんし、専門的な知識や技術が必要となるぶん長く働き続けることができるでしょう。

音楽業界はこれからますます女性の活躍が期待される業界なのです。

ローディーの志望動機、面接、自己PR

音楽業界への思いをアピール

ローディーをめざす人の多くは、音楽が大好きで自分の手で楽器や機材をコンディションを整えることにやりがいを感じるという人達です。

就職活動の面接で志望動機を聞かれたときには自分が音楽を好きになったきっかけや演奏経験、ローディーという職業のどのようなところに魅力を感じるのか具体的に伝えられるようにしましょう。

たとえば

「中学生の頃に海外のロックバンドにハマったことがきっかけでギターを始め、バンド活動を通して演奏技術を磨いてきました。ステージに立ったときにライブ会場で働いていたローディーの細やかな仕事に感動し、ミュージシャンを全面的にサポートできるローディーになりたいと思うようになりました」

というように自分の楽器歴や演奏経験をアピールしながら志望動機に繋げていくことができると説得力があります。

また、

「大学時代にコンサート会場でスタッフのアルバイトをしたことがきっかけで、音響や機材に興味を抱くようになりました。ローディーとなり、お客さんに最高の生音を届けるための橋渡しをすることが今の夢です」

というように希望する仕事への興味や関心を明確に伝えることも大事です。

裏方に徹する覚悟を

ローディーをめざす人の中には、もともと演奏家をめざしていたものの実現が難しくアーティストをサポートする側に回ることを決めたという人もいるでしょう。

こうした人達が気を付けなければいけないのは、就職試験の自己PRの際に裏方に徹することへの決意や覚悟をしっかりと伝えることです。

ローディーに求められることと演奏家に求められることは大きく異なります。

ローディーの場合、優れた演奏技術や世間での知名度、バンド活動の実績などの華やかな経歴を持つ人ではなく、裏方として常に周囲の人達に気を配りながら目立たないところでも丁寧な作業を積み重ね、ハードなスケジュールでも忍耐強く頑張れるような人材が重宝されることが多いのです。

面接の際にはこうしたことを心の片隅に置いて謙虚で情熱的な自己PRに繋げていけるようにしましょう。