力士になるには
力士になるまでの道のり
新弟子検査の合格を目指す
力士になるには、日本相撲協会が実施する新弟子検査に合格する必要があります。
新弟子検査は年6回、本場所の前に行われており、各相撲部屋を通じて申し込みます。
受検資格は「中学校を卒業していること(義務教育を終えていること)」と「受検日に23歳未満であること」です。
新弟子検査では体格検査と内臓検査(健康診断)が行われ、体格は身長167cm以上、体重67㎏以上あれば合格です。
ただし、中学を卒業する3月に新弟子検査を受ける場合は165cm以上、65kg以上と合格基準が下げられています。
厳しい稽古や生活が待っている
新弟子検査に合格し、いざ力士の世界に入れたとしても、すべての人が力士として着実にステップアップしていけるわけではありません。
新弟子検査に合格した人は両国国技館にある相撲教習所に半年間通い、力士としての相撲の知識や技術を学びます。
番付については基本的には一番下の「序の口」からのスタートですが、学生時代に優秀な成績を残した人は「付け出し」という形で「幕下」や「三段目」といった少し上の番付からスタートします。
また、幕下付け出しで半年以内に関取(十両以上の力士)となった場合は、その時点で相撲教習所への通学が免除されます。
相撲部屋でも厳しい稽古の日々が待っており、さらに一般の人の日常生活とは異なる独特のしきたりがあるため、なじめずに早々と相撲の世界から離れてしまう人もいます。
実力主義の世界であるため、地道な鍛錬を重ねて強くなっていくための継続的な努力が必要です。
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力士になるための学校
力士には学歴も資格も必要なく、特別に有利になる学校などもありません。
中学を卒業してすぐに力士となることも可能ですが、高校や大学を卒業した後に力士を目指しても遅くはありません。
昔は中学を卒業してすぐに入門する人も多くいましたが、最近は少なくなっており、反対に大学での学生相撲出身者の割合が高くなっています。
学生相撲などで優秀な成績を修めれば幕下からのデビューが可能になるため、このルートを目指している人も増えています。
力士になるために特別に有利な学校はありませんが、高校や大学の名門相撲部は存在します。
高校、大学の相撲部で実力を磨いてから力士になることを考えるのであれば、名門相撲部のある学校を選択するのも一つの手です。
力士に向いている人
力士に向いているのは、相撲が好きで、こつこつと努力を続けられる人です。
新弟子は体づくりから始めて相撲の技術や決まり手を学び、自分の相撲の型を身につけていきます。
すり足で動いたり、足の指で砂を掴んだり、相手と呼吸を合わせたり、相手が呼吸を吐いた瞬間に技をかけたりといった相撲特有の奥義も会得しなければなりません。
さらに、相撲部屋では料理番などの仕事や雑用もこなしながら、一人前の力士になるための稽古に明け暮れます。
相撲が好きで、こつこつと努力のできる人でなければ、力士を長く続けることは難しいです。
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力士のキャリアプラン・キャリアパス
新弟子検査に合格するのにも年齢や体格などの条件がありますが、合格して力士としてデビューしても給料のもらえる力士になれるのは少数です。
力士はデビューしても最初は給料が発生せず、給料がもらえるのは番付が「十両」以上の力士だけです。
十両に昇進できるのは年間50~100人ほどの新弟子のうち5~10人ほどだけで、10人に1人という厳しい世界です。
力士として生活できるようになるためには、新弟子検査合格後も厳しい稽古を重ねて実力をつけ、番付を上げていく必要があります。
女性でも力士になれる?
残念ながら女性は力士になることができません。
アマチュアの世界では女性の力士も存在しますが、女性の力士がプロになる道は現在のところありません。
大相撲は江戸時代からの寺社建立・修繕の費用を集めるための「勧進大相撲」が由来となっていることもあり、基本的に「女人禁制」の慣習があります。
女性が土俵に上がること自体が禁止されているため、当然、女性が力士になることもできません。
相撲界の女人禁制については時代遅れだという意見もあり、議論が行われている部分ではありますが、現在のところ女性が力士を職業として選択するのは現実的ではありません。
力士を目指せる年齢は?
力士になるためには新弟子検査を必ず受けなければいけません。
新弟子検査の受検資格には「受検日に23歳未満であること」という項目があるため、力士を目指せる年齢は基本的には22歳までです。
ただし、日本相撲協会が指定している社会人や大学のアマチュア大会で一定の成績を残した人については、25歳未満まで入門が認められています。
中学を卒業していれば新弟子検査を受けることができますから、力士になるためには中学卒業時点から大学卒業の年齢までには新弟子検査を受検するのが一般的です。