力士の髪型・髷の種類・作り方

相撲の世界では、その厳格なルールや伝統的な儀式のほか、力士たちの髪型も注目されることが多くあります。

力士の髪型は、地位や経験に応じて異なり、その種類や作り方は非常に独特です。

とくに力士の証である「大銀杏」は、その格式ある外見から多くの人々に親しまれています。

この記事では、相撲の力士たちがどのように髪型を作り、どのような意味を持つのかを解説していきます。

力士の髪型「髷(まげ)」の特徴

力士の独特の髪型は「髷(髷)」といいます。

ここでは、髷がどのような意味を持つのかや、髷の種類を説明します。

髷とは何か

「髷(まげ)」とは、力士の髪型を指します。

力士は、頭頂部に長い髪を伸ばし、それをまとめて特有の髪型を作ります。

この髪型は、大きな髷として知られており、相撲の伝統的なスタイルです。

また、髷は相撲の力士の階級や地位を示す要素でもあります。

新弟子(新入りの力士)は小さな髷であり、昇進するにつれて髷の形やサイズが変化します。

力士の髷には、ちょん髷(蟷螂髷)と大銀杏(おおいちょう)の2つがあり、幕下以下の力士のちょん髷は頭頂部で髪をまとめ、小さな蝶々のような形に結わえるシンプルな形です。

十両以上の力士の髪型「大銀杏」

「大銀杏」は、力士の髷の一種で、十両以上の力士が結うことができる髷です。

髷の先端が大きな銀杏の葉のかたちに似ていることから名づけられており、頭頂部の髪を長く伸ばし、髷を結った後に後頭部で大きくねじって立ててつくられます。

原則として、関取は取組を行う際には大銀杏を結って土俵にあがることが義務づけられています。

大銀杏は力士の証であり、非常に格式のある髪型といえます。

とくに横綱は相撲界で最高の地位にあり、その地位を示すために、大銀杏や髪飾りを身につけることもあります。

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力士の髷の作り方・手入れ方法

力士たちのきれいな髷は、力士自身で作るわけではありません。

ここでは、髷を作る専門職の紹介と、髪の毛の手入れについて説明します。

「床山」が髷を作る

力士の髷を結う専門職のことを「床山(とこやま)」といいます。

床山は日本相撲協会に所属しています。

髪の毛に「すき油」をつけ、何度も艶が出てくるまで櫛をかけます。

櫛をかけたら、「元結い」という紙の紐を使い、しっかりと髪の毛を結んでいき、最後は紐をハサミで切ります。

結び終わったら、棒を使って左右のバランスを整え、きれいな形をつくります。

床山の仕事内容やなり方などについては、以下のページで詳しく紹介しています。
大相撲の床山の仕事内容とは?

力士の髪の毛は地毛?

力士は髷を結うために地毛を伸ばしています。

大銀杏を結ぶためにはかなりの長さが必要であり、入門時から地毛を伸ばすことが一般的です。

しかし、出世が早くて髪の毛がまだ伸びていない場合や、地毛が薄くなってしまった場合には、大銀杏を結わなかったり、つけ毛で髷を整えて相撲を取ることもあります。

また、頭頂部の髪の毛がじゃまになることから、その部分を剃ることも一般的です。

俗に頭髪が薄くなって髷を結えなくなってしまった力士は引退しなければいけない、などといわれることがありますが、これは事実ではありません。

力士の髪の毛の手入れ方法は?

床山は、力士たちとともに同じ相撲部屋で生活し、力士たちの髪の毛を結うだけでなく、その他の手入れも行います。

普段から力士たちの髷にかかわり、髪の毛を伸ばすプロセスも管理します。

力士は床山に髪の毛を結ってもらいますが、日常的なシャンプーは力士自身が行うことはあまりありません。

代わりに、力士は3日から1週間に一度くらいの頻度で髪を洗うことが一般的です。

髪の毛を結う際には、髪に油をつけるため、通常のシャンプーではなく、油をしっかりと落とす特別なシャンプーが使用されます。

力士の髪は、床山によって大切に管理されており、その技術と経験は力士の髷を美しく保つのに欠かせないものです。

取組における髷に関するルール

髷が土俵についた場合は基本的に負けとされますが、そのルールにも一定の例外が設けられています。

とくに投げ技を仕掛けている最中に髷が土俵についた場合、負けにはならないという規定があります。

これは、相手を倒すために必死になって技をかけている際に、髷がついてしまっても試合が公平に進行できるように設けられたものです。

また、取組の最中に相手の髷をつかむことは反則とされており、反則負けとなります。

相撲は伝統的なスポーツであり、相手の髷をつかむことはフェアな競技を妨げる行為として規制されています。

このルールは1955年に制定されましたが、2000年代以降に相手の髷をつかんでの反則負けの事例が多くなっています。

相手を手前に倒す「はたき系」の技が増えたことや、ルールを順守して反則を厳密にとるようになったことなどが要因と考えられています。

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力士の引退で行われる断髪式

断髪式は、力士が相撲を引退する際に行う儀式です。

力士が自身の髷を切り落とし、相撲人生に終止符を打つときの重要な儀式として行われます。

髷は力士の身分や地位を示す象徴であり、力士としてのアイデンティティの一部となっています。

そのため、断髪式は非常に格式のある儀式で、力士自身や関係者、ファンにとって感慨深い瞬間となります。

儀式の際には、力士が髷を切るだけでなく、切り落とされた髪を包むための布や箱、または特別な髷入れ(まげいれ)に収められ、その後、神社などに奉納されることが一般的です。

断髪式は、力士の引退の象徴であり、力士が普通の一市民としての生活に移行するための儀式ともいえます。

この儀式を通じて、力士としての経験や功績が称えられ、新たな人生への幕開けが祝福されるのです。

「力士の髪型・髷」まとめ

力士たちの髪型には、ちょん髷や大銀杏などがあり、それぞれが相撲の世界における役割や意味を持っています。

こうした意味を理解することで、また違った視点から力士を見ることができるかもしれません。

相撲を観戦するときは、ぜひその独自性や美しさにも触れてみてください。