落語家の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
落語家の仕事とは
落語家は落語を演じる仕事です。
落語とは、最後に落ち(オチ/下げ)がつく噺(はなし)のことで、江戸時代に成立した伝統芸能のひとつです。
歌舞伎や能楽といったほかの伝統芸能とは異なり、ときには扇子や手ぬぐいなどを使いますが、基本的には身ぶり、手ぶりを交えながらひとりで何役もこなす話芸です。
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落語家の業務の内容
落語を演じる場
落語家は寄席(よせ)などの演芸場で高座(こうざ)に上がって落語を演じます。
近年ではラジオやテレビでも活躍するようになりました。
落語家は落語を演じるために、テレビやラジオの現場に売り込んだり、落語会を自ら開催したり、ほかの落語家が主催する落語会に出演したりします。
落語家には見習い、前座、二つ目、真打という階級があり、これによって寄席に出演する機会が限られているため、営業も重要な仕事です。
落語の創作
落語にはさまざまな演目がありますが、伝統的な「古典落語」と新たに創作された「新作落語」に大きく分けられます。
ただし古典落語も作られたばかりのときは新作で、どの時代から新作落語かなど明確な線引きは難しいといわれています。
ともあれ落語家は演目を演じるため稽古をするとともに、場合によっては新作落語を自ら創作する必要しなくてはなりません。
噺(はなし)の内容
噺の種類
・笑いを目的とした「落とし噺」(滑稽噺)
・親子や夫婦など人間の人情を描いた「人情噺」
・落語の中に芝居が出て来たり、落語家が芝居の真似を演じたりする「芝居噺」
・幽霊や化け物、死神などが登場する「怪談噺」
噺の構成
・マクラ
本題への導入部分で、自己紹介をしたり、本題に入るための流れを作ったりする。
・本題
物語の主題で、大半は笑いが主体の滑稽噺または人情噺。
・落ち(オチ/下げ)
噺の締めくくりで、笑いをもって結末とする場合が多い。
落語家の役割
伝統芸能を後世に伝える
落語家は落語を守り、後世に伝えていく役割があります。
落語という文化は、江戸時代から伝わる伝統芸能です。
落語は話芸のひとつであり、師匠から弟子に技術が伝えられなければ後世に残すことはできません。
現在では文献や映像などの資料も保存することができますが、伝統芸能は一度失われてしまえば二度と生み出すことはできないもので、落語がこうした文化を後世に残すことは重要な使命でもあります。
落語の歴史
江戸時代
落語家の現状や将来性を考えるにあたり、大まかな流れを知ることは大切です。
落語家の元祖としては、江戸(首都圏)では安楽亭策伝(あんらくてい さくでん)、鹿野武左衛門(しかの ぶざえもん)があげられます。
また同時期に上方(近畿圏)では初代露の五郎兵衛(つゆの ごろべえ)、初代米沢彦八(よねざわ ひこはち)が活躍しました。
続いて、江戸落語中興の祖といわれる烏亭焉馬(うてい えんば)が、本業の大工職人のかたわら狂歌師や戯作者としても活躍し、落語会を定期的に開催するようになりました。
寄席(よせ)興行としては、1798年に上方の岡本万作が江戸の神田にて、時期を同じく初代三遊亭可楽(さんゆうてい からく)が江戸の下谷稲荷神社にて開催したのが始まりといわれています。
上方寄席の開祖としては、職業落語家の走りといわれた初代松田彌助の門下生であった、初代桂文治(かつら ぶんじ)が挙げられます。
桂文治は桂派の祖といわれ、現在の大阪市中央区にある坐摩(いかすり/通称ざま)神社境内に初めて常設の寄席を設けました。
明治以降
明治時代、東京では初代三遊亭圓朝(さんゆうてい えんちょう)という名人や、三代目麗々亭柳橋(れいれいてい りゅうきょう)、六代目桂文治が中心的な役割を果たしました。
同じく上方では、初代桂文團治(かつら ぶんだんじ)、二代目桂文枝(かつら ぶんし)、三代目笑福亭松鶴(しょうふくてい しょかく)といった名人が活躍しています。
1903年には初めて落語がレコードに録音され、速記本とあわせて、寄席以外でも落語を楽しむことができるようになりました。
大正時代には、東京で従来の割(わり/給金制)と月給制をめぐって設立されたばかりの演芸会社が分裂しますが、1923年の関東大震災により「東京落語協会」(現「落語協会」)へと合併しました。
また1930年には「日本芸術協会」(現「落語芸術協会」)、1957年には「上方落語協会」が設立されています。
1925年にはラジオ放送、1953年にはテレビ放送、1966年には日本テレビ系演芸番組『笑点』が始まり、初代林家三平(はやしや さんぺい)を中心とした落語ブームが起きました。
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落語家の勤務先の種類
落語家は、師匠に直談判して入門することからはじまります。
その後「落語協会」や「落語芸術協会」などの団体に所属して活動するのが一般的です。
見習いの修行期間は師匠の家や寄席の雑用をしながら稽古に励み、実力が認められると高座に上がれるようになります。
近年では、その話術を生かしてテレビやラジオなどでタレントとして活躍する人も少なくありません。