パッケージデザイナーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「パッケージデザイナー」とは
食品、日用品、家電など、さあらゆる商品のパッケージをデザインする。
パッケージデザイナーは、食品や日用品、家電などさまざまな商品のパッケージをデザインする仕事です。
商品のコンセプトやイメージ、パッケージに使われる素材の特性を適格に理解して、消費者が手に取りたくなるようなパッケージをデザインします。
この仕事に就くには、まず大学や専門学校でグラフィックデザインを学び、卒業後は大きく分けて、メーカー系の企業に就職して企業内デザイナーになる道と、デザイン事務所や広告代理店でクライアントから仕事を請け負うデザイナーになる道の2通りがあります。
平均年収は400万円~500万円程度とされていますが、独立した人気デザイナーのなかには年収1000万円以上を手にする人もいるようです。
パッケージデザインは、形を持って店頭に並ぶ商品が作られ続ける限り必要とされるため、職業としてもそれなりに安定した需要が見込めるでしょう。
「パッケージデザイナー」の仕事紹介
パッケージデザイナーの仕事内容
商品のパッケージデザインを行う
パッケージデザイナーは、さまざまな商品のパッケージをデザインする職業です。
デザインするものは、食品や日用品、家電などから、雑貨や化粧品のパッケージまでさまざまです。
商品のコンセプトやイメージ、素材やコストを考慮して、消費者が手に取りたくなるようなパッケージをデザインします。
平面デザインの場合はグラフィックデザイナーに、立体デザインの場合はプロダクトデザイナーに類似した仕事内容です。
具体的な仕事の流れとしては、まず顧客から商品イメージなどについてのヒアリングを行い、次に素材の選択とデザインの制作をして、顧客に試作品を提出します。
顧客からの修正要請があれば何度も試作を繰り返し、ようやく世の中に出回るパッケージが出来上がります。
パッケージデザイナーになるには
学校でグラフィックデザインを学ぶ
パッケージデザイナーになるためには、大学や専門学校でグラフィックデザインを勉強するのが一番の近道でしょう。
グラフィックデザイン以外のデザイン系コースでも問題はありませんが、IllustratorやPhotoshopといったデザインソフトを使いこなせる必要があります。
大学や専門学校を卒業してから、メーカー系の企業に就職し企業内デザイナーになる道と、デザイン事務所や広告代理店に就職し、クライアント企業から案件を請け負うデザイナーになる道があります。
パッケージデザイナーの学校・学費
大学や専門学校でグラフィックデザインを勉強する
パッケージデザイナーになるためには、大学や専門学校でグラフィックデザインを勉強するのが一般的です。
グラフィックデザインを学べるコースはさまざまありますが、最低限IllustratorやPhotoshopといったデザインソフトを使いこなせる必要があります。
また、企業や広告代理店のなかには大卒が採用条件となっている企業もあるので注意が必要です。
自分が興味を惹かれたり、好きだと思ったりしたパッケージはいったいどの会社がデザインしているのかを調べ、採用状況や採用条件を参考にするのもよいでしょう。
パッケージデザイナーの資格・試験の難易度
資格よりもポートフォリオが大切
パッケージデザイナーになるために必須の資格はありませんが、業務上デザインに関する資格として、色彩士検定やIllustratorクリエイター能力検定などさまざまなものがあります。
ただし新卒の場合は、就職の際に有利になるというよりは、スキルのレベルを知るために参考にしている程度と考えられます。
採用試験段階では、当然経験はなく実務においての実力は未知数であるため、採用には資格よりもポートフォリオ(作品集)とやる気が大きな判断基準になります。
パッケージデザイナーの給料・年収
フリーランスは高収入になることも
パッケージデザイナーの給料は、勤務先の規模や取引先規模によって大きく左右されます。
初任給はおおむね18万円から20万円前後で、経験を積むにつれ昇給はしますが、最終的に給与が飛び抜けて高くなることはありません。
フリーランスとして独立するデザイナーのなかには、年収1000万円以上を手にする人もいるようです。
またクリエイティブ系の会社にはよくあることですが、年俸制として給与を支給する会社もあり、この場合残業手当が出ないことが多いため、条件をチェックする際には留意しましょう。
パッケージデザイナーの平均年収・月収・ボーナス
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、パッケージデザイナーの平均年収は、38.8歳で509万円ほどとなっています。
・平均年齢:38.8歳
・勤続年数:10.3年
・労働時間/月:171時間/月
・超過労働: 8時間/月
・月額給与:363,800円
・年間賞与:727,500円
・平均年収:5,093,100円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
パッケージデザイナーの勤務先の規模別の年収(令和5年度)
パッケージデザイナーの年収は、勤務先の事業所の規模によって大きく異なります。
10〜99人規模の事業所に勤めるパッケージデザイナーの平均年収は442万円、100〜999人規模は498万円、1,000人以上の規模では681万円、10人以上規模の事業所平均は509万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「デザイナー」でファッションデザイナー、テキスタイルデザイナー、ウエディングドレスデザイナー、ジュエリーデザイナー、ゲームデザイナー、グラフィックデザイナー、ディスプレイデザイナー、キャラクターデザイナー、プロダクトデザイナー、カーデザイナー、雑貨デザイナー、ガーデンデザイナー、空間デザイナー、ディスプレイデザイナー、照明デザイナー、インテリアコーディネーターなど他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
パッケージデザイナーの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
パッケージデザイナーの年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の684万円です。
全年代の平均年収は509万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「デザイナー」でファッションデザイナー、テキスタイルデザイナー、ウエディングドレスデザイナー、ジュエリーデザイナー、ゲームデザイナー、グラフィックデザイナー、ディスプレイデザイナー、キャラクターデザイナー、プロダクトデザイナー、カーデザイナー、雑貨デザイナー、ガーデンデザイナー、空間デザイナー、ディスプレイデザイナー、照明デザイナー、インテリアコーディネーターなど他職業を含むデータです。
パッケージデザイナーの現状と将来性・今後の見通し
パッケージの簡素化が進む
パッケージデザインは、店頭に並ぶ数ある商品の中から消費者に選んでもらうという点で、とても重要な要素です。
形を持って店頭に並ぶ商品が作られ続ける限り必要とされる職業ですから、将来的にパッケージデザイナーへの需要が激減することは考えにくいでしょう。
しかし、省エネの観点からパッケージも簡素化が進むなど、新しい風潮が生まれていることも確かです。
こういった時代の流れには常にアンテナを張り、時代によってどんなデザインが求められているのかを見極める能力を磨くことが大切になってくるでしょう。
パッケージデザイナーの就職先・活躍の場
企業やデザイン事務所や広告代理店に勤務
パッケージデザイナーには大きく分けて2種類の働き方があります。
まずはメーカー系の企業に就職し企業内デザイナーになる道です。
メーカーの顔となる仕事のため、非常に重要な仕事ではありますが、パッケージデザインを専門の社員を雇う企業は少なく、全体として数はそれほど多くありません。
次はデザイン事務所や広告代理店に就職し、クライアント企業から依頼を受けて働くパッケージデザイナーです。
この場合は必ずしもパッケージだけを扱うとは限らず、さまざまなデザインを担当する中でパッケージデザインも扱うようになります。
パッケージデザイナーの1日
退社時間は遅めのことが多い
パッケージデザイナーのほとんどが、大学や専門学校を卒業した後、会社員として企業に就職しています。
ここでは企業に正社員として勤める、あるパッケージデザイナーの1日をご紹介しましょう。
10:00 出社
広告系の会社では出社時間は10時、早くても9時というところがほとんどで、朝は比較的ゆっくりめです。
10:30 業務内容の確認
メールチェックなどを行った後、昨日までの仕事の進捗を確認し、スタッフ間で業務連絡を行います。
11:00 パッケージデザイン制作
担当しているパッケージデザインを詰めていきます。
時には複数案デザインすることもあります。
13:30 休憩
14:00 打ち合わせ
新しくデザインを担当する案件について、クライアントから要望や修正を聞きます。
16:00 スタッフ間会議
新しいパッケージデザインについて、今度は会社内で打ち合わせを行います。
18:00 パッケージデザイン制作
夕方は電話や雑務も少なく集中できるので、デザインを考えやすいです。
21:00 業務終了
パッケージデザイナーのやりがい、楽しさ
商品や企業の顔となる仕事
パッケージデザインは、ゼロからパッケージを作り出す仕事です。
それだけでも楽しくやりがいのある仕事ですが、大ヒット商品や人気商品のパッケージをデザインした場合は、何年も何十年もベーシックデザインとして世の中に残っていきます。
商品や企業の顔となるパッケージデザインができたときには大きなやりがいを感じますし、さらに自分のデザインした商品がお店に並び誰かの手に渡る喜びは、パッケージデザインを経験した人でなければわからないでしょう。
パッケージデザイナーのつらいこと、大変なこと
売上に関わる責任を感じる
買い物をする時に、店頭でパッケージデザインを見て興味を惹かれ、購入を決める場合も多いでしょう。
パッケージデザインは売り上げに大きくかかわる仕事です。
売り上げが上がればよいですが、逆にデザインしたパッケージに変更したとたん、売上が落ち込んでしまうこともあります。
商品の売り上げを左右する仕事のため、常に重い責任感をもって仕事をしなくてはなりません。
また、商品のパッケージがリニューアルされるのは数年に一度なので、なかなかやり直しがきかないというのもつらいところです。
パッケージデザイナーに向いている人・適性
アイディアがある柔軟性を持った人
パッケージデザイナーに向いているのは、日頃からデザインやアートワークへの好奇心が強く、さまざまなソースからアイディアを得られる柔軟性を持った人でしょう。
日常生活の中で消費者目線を理解し意識することができることも大切です。
またコミュニケーションが非常に重視される職業のため相手の意図をしっかり理解し、作品に落とし込んで行く能力がある人に向いているでしょう。
さらに試作段階では素材感やフォント、色味、サイズなどの微調整を繰り返す仕事のため、細かい作業をこなしていく根気も必要とされます。
パッケージデザイナー志望動機・目指すきっかけ
仕事をするうちに興味を持つ人も
パッケージデザインは人の目につきやすいものですが、パッケージデザイナーという仕事はまだあまり認知されていません。
身近な商品のパッケージデザインに惹かれて、特定の商品のパッケージデザインに興味を持ってパッケージデザイナーという仕事を知ったという人が多いようです。
またデザイン会社や広告代理店に就職した人の場合、クリエーティブディレクターやグラフィックデザイナーなどとして働いているうち、パッケージデザインを担当し、パッケージを専門に仕事をするようになったという人もいるようです。
パッケージデザイナーの雇用形態・働き方
多くは正社員として働く
パッケージデザイナーの多くは正社員として企業に雇用されています。
デザインを行うためには商品特性などを知らなければならず、企業の秘密保持のためにもアルバイトや契約社員は少ないようです。
ただし、デザイン会社や広告代理店の場合はアルバイトや契約社員での雇用もあるようです。
この場合は、すぐにパッケージデザインに携わるわけではなく、既に活躍しているデザイナーのアシスタントとしての役割が多く、一人前のスキルを身に付けたのち正社員として登用される場合もあります。
パッケージデザイナーの勤務時間・休日・生活
締め切り前は残業も
パッケージデザイナーの勤務時間は、勤め先の就業時間に準じます。朝9時から10時の間に始業し、18時から19時までに終業する、一般的な勤務スタイルです。
ただしデザインの締め切り前や仕事が詰まっている場合は残業をすることもあります。
フリーランスの場合は、就業時間は自由ですが、取引先との打ち合わせなどは一般的な企業の勤務時間内に行うことになるでしょう。
パッケージデザイナーの休日は勤務先に準じ、土日祝日が休日となるのが一般的です。
フリーランスの場合は休日や休暇は自身で調整します。
パッケージデザイナーの求人・就職状況・需要
デザイン事務所の求人が多い
企業内デザイナーを雇うことができるのは、一部の大企業に限られているため、企業内デザイナーとなるパッケージデザイナーはそれほど多くありません。
メインとなるのは、デザイン事務所や広告代理店に雇用されるパターンです。
メーカー企業の商品開発部門やマーケティング部門、広告代理店からパッケージデザインを請け負うことになります。
パッケージデザイナーが企業に雇用される場合、雇用形態は正社員や契約社員が多くなっています。
十分なスキルがあれば独立してフリーランスになり、在宅でパッケージデザインを行う人もいます。
パッケージデザイナーの転職状況・未経験採用
他の職種からの転職がメイン
プロダクトデザイナーや広告デザイナーなどから、パッケージデザイナーへの転職を希望する人も見られます。
デザインの知識や基礎的なスキルは既に備えているため、別な仕事をしながらパッケージデザインも扱うことが可能です。
パッケージデザイナーの募集はそもそも少なく、未経験者がこの仕事に転職するには非常に狭き門です。
どうしてもパッケージデザインに携わりたい場合は、専門学校へ通って知識を学んだり、アシスタントとして先輩のデザイナーについて勉強したりする覚悟が必要でしょう。