騎手の1日のスケジュール・生活スタイル

騎手は年間を通じて、自身が出場する「レース」を中心に、コンディション調整やトレーニングなどをして過ごします。

もちろん休みの日もありますが、フルで休める日はあまり多くなく、多忙な日々を過ごしている人が多いです。

この記事では、騎手の1日のスケジュールや、生活スタイルについて紹介します。

騎手の1日の過ごし方

騎手が毎日をどのように過ごしているのかを紹介します。

騎手の生活はレース中心

騎手の生活は、競馬レースを中心に組み立てていくことになります。

競馬レースは、中央競馬では土日に、地方競馬では平日に行われます。

騎乗が決まっていれば、レース前日には「調整ルーム」と呼ばれる宿泊施設に入ります。

中央競馬においては、調整ルームは各競馬場と、美浦・栗東のトレーニングセンターに併設されています。

競馬場とトレーニングセンター、どちらの調整室に入るかは騎手の自由ですが、どちらもレース前日の18時までに到着しなければなりません。

地方競馬であれば、調整ルームは競馬場に設けられています。

地方競馬は平日に開催されるため、その間、ずっと自宅に帰れない騎手もいます。

なお、地方の競馬場には調整ルームのないところもあり、その場合はレース当日、発走の2時間前までに競馬場に入ればよいことになっています。

調整ルームでは外部との接触が禁止される

調整ルームに到着した騎手は、携帯電話(スマホ)を預けなくてはならず、外出はもちろん、新聞やインターネットを見ることも禁止されます。

面会も、家族か、厩舎関係者に限られ、騎手は外部と接触できない状態に置かれます。

調整ルームには、個室のほか、食堂やサウナのような風呂場、娯楽室などがあり、騎手たちは麻雀をしたり、ゲームをしたり、DVDを見たり、あるいはレース展開を考えたりしながら過ごします。

なお、家族が事故にあったなど緊急の場合には、係員の立ち会いのもとで電話をかけることができます。

しかし、無断で第三者と連絡を取った場合(メールやSNSも含む)、一定期間の騎乗禁止処分となります。

これほど厳しいルールが設けられているのは、公正な競馬レースを行うことと、騎手のコンディションを整えることが理由です。

レース開催日の動き

レース当日は、発走の70分前までに競馬場の検量室へ行き、検量を受けます。

そして、鞍をつけてパドックに下り、いよいよゲートに入ります。

翌日にもレースがあれば、騎手はレース終了後、再び調整ルームに入ります。

翌日に出場する競馬場が違う場合は、係員に同行者について報告、移動途中にも逐一報告することになっています。

レースのない日は調教をすれば勤務終了

レースのない日は、朝の4時、5時頃からレースで騎乗する馬を中心に調教を行います。

競馬界は朝が早く、調教は9時頃には終わってしまいます。

フリーの騎手の場合、調教が終われば、あとはフリータイムです。

とくにフリー騎手の場合、レースで騎乗できるように日頃からの営業活動が大切となるため、馬主や調教師と話をしたり食事や遊びに付き合ったりして、信頼関係を築きます。

厩舎に所属する騎手は、調教後も厩舎の作業を手伝います。

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騎手の1日のスケジュール

ここでは、騎手が1日をどのように過ごしているか、「レース日と」「調教日」に分け、タイムスケジュールで紹介します。

レース日のスケジュール例

ここでは、若手騎手の1日のスケジュール例を紹介します。

2:45 トレセンへ出発
朝の調教に騎乗するため、調整ルームからトレセンへ出発。
3:00 調教準備
調教の準備を手伝いつつ、4時の馬場開場を待って調教を行う。
4:45 調教終了
調整ルームに戻り、競馬場に出発する準備をする。
5:00 タクシーで競馬場へ出発
調整ルームから、同僚の騎手とタクシーに相乗りして、競馬場へ向かいます。
6:00 競馬場調整ルームに到着
競馬場内にある調整ルームに入り、第1レースまでの朝食を取ったり、仮眠をとるなどして過ごします。
9:00 検量室で前検量
レースの70分から50分前に受けることが義務付けられている検量を済ませる。
9:05 鞍検量
渡されたゼッケン番号と共に鞍の装備を整えて、JRA職員から鞍検量を受ける。
9:10 装鞍
馬房内で、騎乗する馬に鞍をつける。
9:50 パドック
装鞍を終えたら、ヘルメットや鞭を準備して騎手控え室に行く。レース20分前の合図で騎乗。
9:55 馬場入場
「返し馬」とよばれる準備運動をしながら待避所へ。集合合図があるまで周回して待機。
10:10 レース
見事な騎乗で1着になる。
10:15 後検量
7着以上の騎手は負担重量を確認するため検量室へ。無事全員がクリアし、レースが確定。
10:18 表彰式
スタンド前のウィナーズサークルで馬主らと記念撮影。
10:20 コメント提供
レース後のマスコミへの対応。次のレースへの意気込みなどを伝える。
11:40 合間
騎乗しないレース中は、体を休めたり、ストレッチなどをして次の騎乗レースに備える。
16:30 騎乗終了
翌日のレースに備えて、また調整ルームに戻る。

調教日のスケジュール例

ここでは、レース2日前の「調教日」の騎手の一般的な動きを説明します。

4:50 出発
寮を出て、調教へ出発。
5:00 調教準備
スタッフが調教に向けた準備を始めるので、それを手伝う。
6:10 調教前の乗り運動
調教を担当する馬に騎乗して、厩舎の周りを周回してウォーミングアップさせる。
6:30 厩舎を出発
準備運動後に調教師から調教コースや内容の指示を受ける。
7:00 調教開始
この日は坂路コースを走る調教を行った。
7:30 厩舎に戻り2頭目の調教準備
調教が終わった馬を厩舎スタッフに引き継ぎ、別な馬に騎乗して調教コースへ。
7:50 2頭目の調教
今回はウッドチップコースを走らせた。
8:35 取材対応
朝食を食べつつ、週末の騎乗予定馬などについて取材を受ける。
10:10 打ち合わせ
調教スタンドで、週末の騎乗予定馬について、調教師らと打ち合わせ。
10:50 出走手続き
レースに出走するための手続きを済ませる。
11:00 休憩・昼食
独身寮で昼食をとるなどして休憩。
15:00 出馬表を確認
出馬投票室で週末の騎乗レース番号や馬番号、馬名などを確認。
15:10 勝負服を準備
レースで着用する勝負服を準備する。勝負服は各厩舎で管理している。
16:20 寮に戻る
全ての勝負服を受け取り、寮に戻る。

騎手の休日の過ごし方

JRA(日本中央競馬会)の騎手が休みを取れるのは、基本的には月曜日のみです。

火曜日から金曜日まではレースに向けた調教や前日の調整ルーム入りがあり、土日はレースを行います。

そのため、唯一、月曜日だけがそういった予定から解放されるのです。

休みの日は、家でゆっくり体を休めたり、家族と一緒に過ごしたり、ここぞとばかりに趣味のゴルフに出かけたりと、使い方はそれぞれです。

いずれにしても、過酷な勝負の世界に身を置く日々が続く騎手の世界において、束の間のリフレッシュができる休日は大切な日といえます。

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騎手のオフシーズンの過ごし方

JRAの騎手にとってオフシーズンといえるのは年末年始でレースがない1週間だけです。

これ以外の週末は必ずレースがあり、人気の騎手になれば騎乗するレースも増え、休むことはできません。

日本を代表する騎手・武豊さんはその貴重なお休みをアメリカで過ごすことが多いそうです。

海外では、まとまったオフシーズンがある国もありますが、日本の場合は12月の最後にG1の有馬記念がある日程が組まれているため、長期の休みを取ることが難しい事情があります。

もちろん、自主的にレースから離れて休養したり、海外のレースに騎乗するために日本のレースを休むことはできます。

しかしながら、騎手は年間の勝利数で争っているため、貴重な騎乗機会を自ら手放すことは、かなりの割り切りが必要な行為となります。

騎手の1日・生活スタイル」まとめ

騎手の生活はレースを中心となり、一般的な会社員とはまったく違う生活を送ることになります。

レース前日になれば「調整ルーム」に入り、外界との接触を遮断し、レースに向けた準備を整えます。

休みもありますが、長期休みを頻繁にとるのは難しく、現役中は多忙な日々を送る覚悟が必要です。