騎手の練習方法・トレーニング内容
騎手の練習方法・トレーニング内容
持久力と体幹、バランス感覚を磨く
騎手のトレーニングとして大切なのは、まず、体力作りです。
地方競馬なら、平日は毎日のように騎乗しますし、中央競馬では週末に何レースも騎乗することがあります。
競走馬に騎乗すると、見ている以上に体力の消耗が激しく、筋力も使います。
さらに、美しい騎乗姿勢を保つためにも、とりわけ持久力と体幹の筋肉を常に鍛えることが重要です。
かといって、ウェートトレーニングをしすぎると、筋肉がついて体重の増加につながります。
そのため、持久力の強化はランニングが中心。
体幹の筋肉は、昔ながらの腕立て伏せや腹筋、背筋運動が中心です。
これに、馬上でのバランス感覚につながる柔軟な体を維持するため、柔軟体操やストレッチング、バランスボールを使ったトレーニングなどを行っています。
馬への負担を減らすしなやかな体
同じ体重の騎手でも、その乗り方によって、馬は重く感じることもあれば、軽く感じることもあるといわれています。
その差は何かといえば、柔らかな体の使い方と騎乗姿勢にあるようです。
たとえば、日本を代表するトップ騎手、武豊さんはあるテレビ番組で騎手の練習用木馬に乗って馬を追う姿勢を披露した際、背中のラインが、馬の背中のラインと並行を保ったまま乱れることはありませんでした。
一方で、最後の直線に入って馬をトップスピードにするために追い始めたときに騎乗姿勢が乱れてしまい、馬の背中にお尻がついてしまう騎手もいると言われています。
競走馬への負担を少しでも軽くしようと思えば、日頃から柔らかく、しなやかな体と、美しい騎乗姿勢を取る練習も大切になってきます。
レースの駆け引きを磨く
レース運びや駆け引きといったレース感覚を磨くことも大切です。
多くの騎手が、DVDなどで日本国内だけでなく、ヨーロッパやアメリカの競馬レースを見ています。
有名な騎手やお気に入りの騎手が、競走馬の特徴やレース展開によって、どのような乗り方をしているか研究するのです。
まずはレースを映像で見て、レース展開や乗り方を脳に焼き付けます。
そして、時間を見つけては、それらのレース展開を頭の中で何度も思い描いておきます。
こうして、実際のレースで、とっさに応用できるように準備しておきます。
大きなレースでも緊張しない心を磨く
騎手が馬上で緊張すれば、その緊張は確実に馬にも伝わります。
ファンから期待され、人気になっている馬に騎乗するときは、通常とは違うプレッシャーを背負うことになります。
大きなレースになるほど大きな重圧の中で、馬の力を発揮させる騎乗が求められるのが騎手の仕事です。
どんな場面に置かれたとしても緊張せず、騎乗するためのトレーニングも欠かせません。
あの武豊騎手でさえ「ダービーの緊張感の中でいつも通りの力を発揮して勝つことができたのは、2013年のキズナが初めて」と語ったほど、G1レース、特にダービーなどのレースは精神的重圧を受けます。
若いうちは、メンタルトレーニングや呼吸法などを行い、どんな大舞台、どんな展開になっても慌てず、動じないメンタルを養っておくことが大切です。