警備員(ガードマン)の年収・給料はいくら? 平均月収や年齢別の収入についても解説
警備会社の規模は多岐にわたり、その数だけ収入のあり方も変わってくるといえます。
また、「施設警備」「交通誘導警備・雑踏警備」「輸送警備」「身辺警備」といった業務内容によっても収入には違いが出てきます。
本記事では、警備員の平均年収や初任給、収入の上げ方などを紹介します。
警備員の平均年収・給料の統計データ
一般的に、警備員の給料水準は低めです。
警備員の平均的な給与水準で手取りの月収を20万円にするには300時間程度の勤務が必要とされ、これがひとつの勤務時間の目安となります。
警備員には「正社員」「契約社員」「派遣会社の警備員」「アルバイト」といった雇用形態があり、一般的な職業と同様、正社員になれば年収は高くなります。
また、警備会社によっては階級制度があり、同じ勤務形態でも、階級によって年収が変わります。
警備員の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、警備員の平均年収は51.6歳で376万円です。
・平均年齢: 51.6歳
・勤続年数: 11.1年
・労働時間/月: 169時間/月
・超過労働: 22時間/月
・月額給与:279,800円
・年間賞与:403,400円
・平均年収:3,761,000円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
警備員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
統計データをもとに算出すると、警備員の平均年収は370万円前後と思われます。
厚生労働省の統計調査より、ボーナスが年間でおよそ1.5ヶ月であることから、月額総支給額は27万円、ボーナスは年間40万円ほど支給されていると考えられます。
東京都で勤務する警備員で、独身の人の場合、交通費などを除外して考えると月の手取り額は18~19万円ほどになると見込まれます。
現在、日本人全体の平均年収が約460万円と言われていることから考えると、一般的な職業よりも給与水準は低めです。
警備員の初任給はどれくらい?
初任給の場合はさらに低く、都内で勤務する場合の基本給は18~19万円、地方の場合は16~18万円ほどと見込まれます。
夜勤をする場合は、このほかに夜勤手当が支給されます。
アルバイトやパートの場合は時給1000円~1200円程度となるところが多いです。
警備員の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
警備員の年収は、年齢とあまり関係なく、どの年代においても300~400万円ほどとなっています。
全年代の平均年収は376万円となっています。
警備員の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
警備員の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める警備員の平均年収は291万円、100〜999人規模は347万円、1,000人以上の規模では473万円、10人以上規模の事業所平均は376万円となっています。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
警備員の福利厚生の特徴は?
警備員は警備業法という法律によって雇用条件が守られ、基本的には安定した条件の元で働くことができます。
業務上危険にさらされることもあることから、各種保険をはじめとした福利厚生を整えているところが多く、夜勤や残業代などもしっかりと支給されます。
交通警備の場合は、勤務時間よりも早く仕事が終わったとしても日給(月給)は保障されるため、現場によっては時給に換算すると非常に高くなることも少なくありません。
そのほか、「正社員登用制度」のある警備会社も多いです。
これは、パートやアルバイト、契約社員などの雇用形態で働く警備員が一定の期間働いたり、働きぶりが認められた際に、正社員へ登用される制度です。
まったくの未経験から働きたいという場合は、こうした会社を選ぶとよいでしょう。
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警備員の給料・年収の特徴
雇用形態と階級によって差がある
警備員は、外見上は同じであっても、その雇用形態はさまざまです。
- 警備会社と直接契約を雇用契約を交わしている正社員の警備員
- アルバイトの警備員
- 人材派遣会社から派遣されて働いている警備員
正社員として働く警備員の場合は月給制や年俸制が適用され、アルバイトの警備員は時給が適用にされます。
人材派遣の場合は派遣会社との労働条件が適用され、それぞれ給与形態には違いがあります。
また、階級によっても年収には差があります。
警備会社によっては独自の階級制度があり、同じ勤務をしていても階級によって年収が変わります。
警備会社によって階級の分類や呼び名には違いがありますが、おおよそのめやすは以下の通りです。
- 管理職 年収340万以上
- 隊長警備 年収300万円以上
- 副隊長警備 年収250万円以上
- 一般警備 年収230万円以上
これらはキャリアアップの指針にもなるため、階級制度についてはあらかじめ調べておくとよいでしょう。
年俸制をとりいれているところも
最近では警備会社の多角化により、新卒採用も活発になってきています。
新卒採用などキャリア採用の場合は、時給ではなく月給制、または年俸制などを導入する企業が増加しています。
年俸制は1年単位の給与をあらかじめ決め、その金額を分割して毎月支払う制度です。
年俸制の場合、年齢や勤続年数に関係なく個人の能力が評価されるため、年収を上げやすい一方で、成果を出し続けることができなければ、給与が下がる可能性があるデメリットもあります。
勤務する地域によっても差がある
警備員は、勤務する地域によっても収入が変わります。
警備員の勤務地をみると、東海地方や関東地方の方が、東北地方よりも年収が高い傾向にあり、とくに都市部であればあるほど年収が高くなります。
これは警備が必要な施設や工事現場が多いことなどが理由として挙げられます。
これに伴って、都市部には警備会社の数も多いため、働く側としても選択肢が広がり、年収も上げやすくなるでしょう。
警備員の年収は男性のほうが高い?
警備員の仕事は男女で年収に差があり、厚生労働省の調査によると、男性警備員の平均年収は364.2万円、女性警備員の平均年収は274.8万円となっています。
男性は女性と比べて約100万円ほど年収が高いですが、これは女性が結婚や出産で現場を離れることが多いことや、女性の管理職が少ないことが理由と考えられます。
警察庁の令和4年度の調査によると、全警備員のうち女性が占める割合は6.8%に留まっています。
警備員は一般的に労働時間が長く、昼夜を問わず働くことが多いため、まだまだ男性が主力となっている職種だといえるでしょう。
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警備員のアルバイトの年収・月給・時給はいくら?
警備員のアルバイトでは、一日の勤務当たりの「日給」で支払われる場合が多いです。
これを時給に換算すると時給1000~1200円ほどが相場となっており、仮に1時間1000円、1日8時間で25日間勤務した場合の年収は240万円です。
日給の場合は1万円程となることが多いですが、アルバイトの場合でも、資格があったり、夜勤をしたりすることで手当がつくため、たくさん稼ぎたい人にはチャレンジしやすい仕事です。
警備員の種類別平均年収
施設警備の平均年収
警備会社の採用情報などを参考にすると、施設警備員の平均年収は約300万円ほどです。
ショッピングセンターや病院などの大きな施設内を巡回したり、防犯カメラのモニターを監視したりするのが主な業務内容です。
多くの場合は契約社員やアルバイトからの採用となり、年収をアップさせ正社員になるには資格を取得することが必要です。
とくに施設警備の中でも、機械警備業務にたずさわる場合、平均年収は約450万円と格段に上がります。
これは、深夜の時間に無人の建物をセンサーで監視するなど夜勤が多いほか、資格を持った人が担当することが多いためです。
交通誘導警備・雑踏警備の平均年収
交通誘導警備員・雑踏警備員の平均年収は約220万円~260万円程度です。
交通誘導や雑踏警備の日当は多くが8000~10000円程度です。
日給8000円で月22日勤務すると考えると、月収は17万6000円、年収は約211万円となります。
工事現場やイベント会場などで事故やトラブルが起きないよう、人や車を誘導するのが主な業務内容です。
交通誘導警備や雑踏警備の仕事は時間の融通がききやすいため、仕事を掛け持ちして大きく稼いでいる人もいるようです。
輸送警備の平均年収
輸送警備の平均年収は約200万~400万円と幅があります。
「普通自動車免許」を持っていなければ採用されない仕ため、施設警備や交通誘導警備・雑踏警備に比べると待遇がいい傾向にあります。
さらに現金や貴金属などの輸送警備にあたる場合「貴重品運搬警備業務検定2級以上を取得している人を、必ず一人配置しなければならない」と定められています。
そのため、資格保持者は年収がより高くなりやすいです。
また、輸送警備は身辺警備と同様に、身の危険を感じる場面が多いため、高めに設定されている場合が多いです。
身辺警備の平均年収
身辺警備の平均年収は420万円~550万円となっています。
身辺警護の年収は、担当する案件や規模によって大きく異なりますが、場合によっては命に危険が及ぶ場面も少なくないため、平均として高めになっています。
時給制の場合でも3,000~7,000円と、ほかの警備の仕事に比べ大幅に高くなります。
民間企業では勤務先による収入差が出やすく、警備の難易度が高ければ高いほど収入は高くなりやすいです。
50代~60代の警備員の年収は?
50代~60代になってから警備員をはじめた場合の年収は200万円~250万円ほどが相場です。
警備業界は慢性的な人手不足が続いており、特別な経験を必要としないため、年齢を重ねてから転職したいという人にも人気があります。
勤務場所によっては体力を使わず、残業も少ないところもあるため、50代以上から警備業をはじめるという人も少なくありません。
仕事を始める際にはしっかりとした研修がありますし、雇用形態もさまざまであることから、中高年に人気の職種となっているのです。
一方で、年収はほかの職種に比べるとさほど高くはありません。
警備員の年収は年齢や経験に応じて上がっていくため、50代~60代ではじめて警備の仕事をするという人と、これまで長年警備員を続けてきた人とは、大きな差が出てしまいます。
警備員の代表的な企業の年収
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
セコム株式会社 | 601万円 | 44.0歳 |
ALSOK | 554万円 | 40.9歳 |
CSP | 474万円 | 43.7歳 |
出典:2024年現在(各社有価証券報告書より)
セコム株式会社の全従業員の平均年収
セコム株式会社の平均年収は601万円です。
日本初の警備保障会社であるだけでなく、警備サービス業に関して国内首位を誇っています。
ALSOKの全従業員の平均年収
ALSOKの平均年収は554万円です。
コーポレートブランド「ALSOK」を展開し、特に金融機関での輸送警備や機械警備をメインとしています。
セントラル警備保障株式会社(CSP)の全従業員の平均年収
セントラル警備保障株式会社の平均年収は474万円です。
三井グループの企業の一つで警備サービス業では業界第3位を誇り、大手企業と連携し施設警備を行っています。
警備員が収入を上げるためには?
働き方を見直す
時給制で働いて収入をアップさせるには、労働時間数を増やすことが考えられます。
労働時間を増やして年収を上げようとする場合、日中の勤務よりも時給が高い夜勤を選びましょう。
しかし、単純に労働時間や夜勤を増やすには限界があり、心身の負担のことも考えなくてはなりません。
自分のライフスタイルを考え、効率よく稼ぐ方法を見つけることが大切です。
警備に関する資格を取得する
収入をアップさせる方法として効果的なのは、警備に関する各種資格を取得することです。
それぞれの資格を持っている人でないと担当できない業務があり、現場によっては最低1人は有資格者を配置しなければならないという法律の規定があるため、必然的に有資格者の待遇はよくなります。
働く地域を変える
地方で働いている場合、より都市部で働いた方が仕事の数も多く、警備会社の数も多いため、年収をアップさせやすいです。
都市部へ通勤や転職が可能な場合は、転職することも視野に入れて考えるとよいでしょう。
警備員は年収1000万円を目指せる?
警備員の仕事のみで年収1000万円を目指すのは難しいといえます。
大手警備会社の社員の年収を見ても、1,000万円を超えるところはなく、警備員で年収1,000万円を超えるのは厳しいと言えるでしょう。
警備の資格を取得し、警備指導責任者などの管理職にまで上り詰めることができれば、年収500~600万円ほどに達する人は少なくないようです。
警備員の給料・年収のまとめ
統計データをもとに算出すると、警備員の平均年収は300万円前後と推測されます。
警備員は警備業法という法律によって雇用条件が守られ、基本的には安定した条件の元で働くことができます。
業務上危険にさらされることもあることから、各種保険をはじめとした福利厚生を整えているところが多く、夜勤や残業代などもきちんと支給されます。
収入をアップさせる方法として効果的なのは、警備に関する各種資格を取得したり、働き方を見直して効率アップしたりすることです。