樹木医の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
樹木医の仕事とは
樹木医は、病気になった樹木を診察し、樹木にとってできるだけ負担の少ない方法で治療するのが仕事です。
樹木は人と違って声を出すことはできません。
どこが痛いのか、どこからどんな症状が現れているのかなど、樹木に起きている現象を見極めるのはとても困難です。
また、人間のようにたくさんの薬が開発されているわけではありませんから、どうすれば病気が完治するのかなどまだまだ未開発な部分も多く、治療は非常に困難です。
そんな中で、樹木の声を聞き取り、樹木にとって快適な環境となるように対処するのが樹木医の仕事です。
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樹木医の業務の内容
樹木の病気とは
昆虫やカビ、ウイルスなどによって、樹木が生活していくのに必要な機能が阻害され、正常に機能しなくなることを「樹木の病気(樹病)」といいます。
日照不足、大気汚染、土壌の踏み固め・養分不足、他の植物による寄生、動物による損傷などによって、樹木が弱っているとこれらの病気にかかりやすくもなります。
樹木は、根・幹・枝・葉などさまざまな部分から成り立っており、根からは、土壌中の水分や栄養分を吸収し、葉では光合成や呼吸を行い、樹木の成長を支えています。
葉や幹に昆虫がびっしりと着いて、樹木が生きていくための栄養素を横取りすれば、樹木は枯れてしまいますし、樹木の内側が腐って空洞化したり、木を支える土が減ったりしてしまえば、葉や枝の重みに耐えきれずに折れたり根から倒れてしまいます。
これらは厳密にいえば病気ではありませんが、樹木医はこうしたトラブルにも対処します。
樹木の治療とは
樹木の治療は主に
1.診察
2.分析
3.処置
の3ステップからなります。
一見単純に見えますが実際にはとても複雑な作業です。
樹木の発病にも同じように病気・栄養状態・害虫・気象や土壌などの環境といった外的要因があり、多くの場合いくつかの要因が複雑に絡み合って発病します。
依頼を受けたら、まず、該当の樹木がどうして病気になったのかを診察します。
原因が分かったら、生物学的、生態的、経済的な観点で治療方法を検討します。
たとえば病気を治すために薬を撒く上では、生態的に考えて適切かどうかも考慮しなくてはいけません。
樹木の病気は樹種の特性によって違い、治療法もそれぞれ異なるため、機能不全になってしまった樹木を健康的に生育していく手助けができるのは、高度な専門的知識を持つ樹木医のみなのです。
樹木医の役割
樹木を守るお医者さん
樹木医の主たる役割は、樹木の診断・治療を行う「樹木のお医者さん」です。
仕事の依頼の多くは、地方公共団体から来る街路樹などの診断と治療ですが、ときには天然記念物に指定されているような歴史ある樹木の検診をするなど、樹木の命を守る大きな役割があります。
最近では造園業務の一環として、民家の庭木の相談に応じるケースも増えつつあります。
植樹に関わる
樹木医が扱うのは病気にかかってしまった樹木だけではありません。
それまで緑がなかった場所に新たに樹木を育成するプロジェクトに携わることもあり、いわゆる都市計画に参加することも珍しくありません。
あらたに緑地を造成する場所の気候や地形を加味し、どのような種類の樹木を、どのくらい育成するか、検討するのも樹木医の役割の一つです。
一度参加した計画には長期的に関わることも多く、その過程でトラブルが発生した時には主治医のような立場で対処していきます。
緑の大切さを教える
私たちは日々の生活において樹木から多くの恩恵を受けています。
しかし、人々の生活環境の変化により樹木の生育にも悪影響を及ぼす事態も発生しています。
このような状況は樹木医などの専門家の力だけで解決できることではなく、一人ひとりが正しい知識を持ち、行動することが必要不可欠です。
樹木医はより多くの人に樹木に対する興味や関心を持ってもらうべく、樹木保護の普及活動も行い、講演を行ったり、自然に関するワークショップを開いたりして緑の大切さを伝えています。
後継者の育成
樹木医の数は、全国的に見てまだ十分であるとはいえません。
樹木医には後継者を育成するという役割もあり、樹木医志望の学生向けに、大学や専門学校などの各種教育機関で教鞭をとったり、研修や講演を行ったり、新人樹木医を対象とした研修や日々の指導を行ったりしています。
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樹木医の勤務先の種類
樹木医だけで生計をたてていけるだけの仕事量はほとんどなく、樹木医のほとんどは他に仕事をしており、その職業を充実させるものとして樹木医の資格を用いています。
樹木医の有資格者が多く就職しているのは、
・造園業
・植栽管理業
・植木生産業
・国・地方公共団体の農林・緑化関係職員
・大学および研究所の教職員
・農林高等学校・専門学校の教職員
・農林業・緑化関係の公益法人、会社の役職員
・農業・林業の従事者
などです。
樹木医の仕事の流れ
診察
発病の原因を突き止めるにはまず、樹木や生育場所などを実際に目で見て観察することから始まります。
多くの場合、樹勢や枝振り、周辺環境などを記録した診断書を作成します。
また、写真を撮影するなど対象となる樹木の情報を集めます。
分析
樹木のどの部分により精密な検査を行うかを決定し実行に移します。
この段階で原因箇所を見誤り、不必要な検査をすればそれだけ樹木に負担がかかりますし、経済的な損失を発生させることにもなります。
精密検査には専用の器具を使用します。
たとえば、幹に孔を開ける際の抵抗を測定したり、工業用内視鏡や放射線を使用したりして幹の内部の腐朽状態を診断します。
処置
治療では、枝の選定や薬剤の散布、土壌改良などを行います。
病気の原因や進行状態、季節によって対処方法はかわります。