ディスパッチャーと航空管制官の違い
ディスパッチャーと航空管制官の仕事内容の違い
ディスパッチャーの仕事内容
航空機は自由に飛んでいるように見えますが、高度や経路など、事前にしっかりと練られた計画通りに飛んでいます。
天候などの情報を基にした「フライトプラン」を作成し、機長とミーティングを行って、航空機の安全なフライトを計画するのがディスパッチャーの仕事です。
また、フライト中には機長と無線で交信し、天候や航空機の状態を確認しながら、目的地まで安全に辿り着けるように誘導していきます。
航空機の運航を管理していくことから、ディスパッチャーは「運航管理者」と呼ばれることもあります。
航空管制官の仕事内容
航空管制官の仕事は、地上から航空機内にいるパイロットに対して離着陸の許可や滑走路への誘導などを行い、空の交通整理をすることです。
空では無数の航空機が飛び交っているため、きちんと交通整理をしなければ衝突してしまったり、予期せぬトラブルに見舞われたりする可能性もあります。
こうした事態を避けるために、航空管制官は地上からレーダーを使って航空機の位置や状態を把握し、無線を使って指示を出し、航空機の安全なフライトをサポートしています。
20代で正社員への就職・転職
ディスパッチャーと航空管制官のなる方法・資格の違い
ディスパッチャーになるには
ディスパッチャーになるためには、ディスパッチャーを募集する航空会社や運航管理を専門に行う会社の就職試験を受け、社員として採用される必要があります。
ただし、航空会社の中には「総合職」として募集をしているところもあり、必ずしも運行管理の仕事に携われるとは限りません。
また、ディスパッチャーは国家公務員ではありませんが、ディスパッチャーになるためには就職後、2年間の現場経験を積み、「運航管理者技能検定」を受けて資格を取得しなくてはなりません。
資格取得後はさらなる実務経験を積み、社内審査をパスすることで、ようやく一人前のディスパッチャーとしてデビューすることができます。
航空管制官になるには
ディスパッチャーが航空会社や航空会社の関連会社に勤める民間企業の社員であるのに対し、航空管制官は国家公務員です。
まず、国土交通省の「航空管制官採用試験」を受け、それに合格し採用されると国家公務員である国土交通省の職員になります。
試験合格後すぐに現場で働けるわけではなく、関西国際空港の近くにある「航空保安大学校」で1年間の基礎研修を受ける必要があります。
ディスパッチャーと航空管制官の資格・必要なスキルの違い
ディスパッチャーの資格
ディスパッチャーとして働くためには、航行中の航空機と交信するために必要な「航空無線通信士」と、運航管理に携わるための「運航管理者技能検定」の2種類の資格を取得する必要があります。
いずれも国家資格となりますが、まずは航空会社へ就職し、運航管理に関わる部署に配属されたのちに必要な勉強や訓練を経て、合格を目指すのが一般的です。
なかでも、運航管理者技能検定は受験のために一定の実務経験などが求められるため、誰もが簡単に合格できるものではありません。
航空管制官の資格
航空管制官になるために、特別な資格は必要ありません。
しかし、航空管制官採用試験に合格して採用され、航空保安大学校で研修を受けたのち、全国の空港や航空あるいは交通管制部などで訓練を積む必要があります。
20代で正社員への就職・転職
ディスパッチャーと航空管制官の学校・学費の違い
ディスパッチャーになるためには、航空会社や航空会社の関連会社に就職することを目指す必要がありますが、採用試験の受験資格として「大卒以上」されているのが大半です。
ディスパッチャー志望者は大学への進学を考えておいたほうがよいでしょう。
一方、航空管制官になるために合格が必要な国土交通省が実施する「航空管制官採用試験」を受験します。
受験資格として年齢制限がありますが、学歴関係なく誰でも受験することができます。
試験そのものの出来で合否が判断されるので、四年制大学卒だから有利になるということはありません。
ただし試験自体が「大学卒業程度レベル」となっているため、実質上は大学卒業と同等レベルの学力や適性が問われると考えて間違いありません。
ディスパッチャーと航空管制官の給料・待遇の違い
大手航空会社では「総合職」といった括りでディスパッチャー候補生を採用しており、一人前になるまでは、特別に高い給料がもらえるわけではありません。
一方、航空管制官は、国家公務員のなかでも専門性の高い仕事内容であるため、「専門行政職」の俸給表に基づく給料が支払われます。
公務員であるため、各種手当なども充実しており、安定性は高いと言えるでしょう。
ディスパッチャーと航空管制官はどっちがおすすめ?
ディスパッチャーと航空管制官の仕事は一見似ているようですが、その仕事内容や働き方は大きく異なります。
役割は違うものの、いずれも安全なフライトを実現するために欠かせない職業です。
自分はどのような仕事がしたいか、またどのような働き方をしたいかをしっかりと吟味したうえで進路を考えるとよいでしょう。