カスタマーエンジニアの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「カスタマーエンジニア」とは
コンピュータなど各種機器が正常かつ安定的に動くように、保守点検や修理を行う仕事。
高度な専門知識と技術を駆使し、各種システム及び機器の保守点検、修理を行うのが、カスタマーエンジニアの仕事です。
1件の顧客に対して同じカスタマーエンジニアが一貫して業務を担当し、あらゆるトラブル解決に尽力しています。
高卒でも活躍できるチャンスは大いにありますが給与や出世面で不利になることは否めません。
理系の大学や専門学校で情報関連の勉強をしておくと入社後の助けになります。
基本給は低めに設定されている会社もありますが業務の特性上、残業が避けられないため、時間外手当で補われます。
外資系の場合、基本給は高めですが各種手当や退職金、福利厚生面が不十分であると感じる可能性があります。
現場での信頼を得やすい立場にあることから営業を兼務するカスタマーエンジニアも増えてきておりインセンティブで収入を伸ばすチャンスも増えてくるでしょう。
「カスタマーエンジニア」の仕事紹介
カスタマーエンジニアの仕事内容
機器の導入からメンテナンスまで行う
カスタマーエンジニアは、コンピュータ本体を中心とした各種機器が良好な状態で稼働しているかを保守点検し、必要であれば修理を行う仕事です。
すでに設置された機器の保守点検や修理だけでなく、企業に導入する際の設置や調整、運用の段階から、移設や撤去を含めたメンテナンスまでも継続して行います。
コンピュータ本体を中心とした各種機器は、情報システムの中枢なので、致命的なトラブルを回避するために、カスタマーエンジニアを常駐させている企業もあります。
コンピュータを中心とした各種機器を扱うためには高度な専門知識と技術を要するものが多いので、カスタマーエンジニアは、数か月~1年ほどの研修を受けた後に現場に配属される場合があります。
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カスタマーエンジニアになるには
一人前になるには勉強をし続ける姿勢が必要
カスタマーエンジニアは高卒でもなることができますが、コンピュータや担当する製品の知識が求められる仕事のため、その方面の知識を事前に学んでおくと有利になります。
具体的には大学や専門学校で、コンピュータに関する分野としての情報工学や通信工学、機械に関する分野としての機械工学や電気・電子工学などといった分野です。
ただしこのような事前知識を備えていたとしても、実際に現場で一人前に活躍するためには長い研修を受け、常に勉強をし続ける姿勢が必要になります。
カスタマーエンジニアの学校・学費
最低限の工学の知識は持っておくことが必要
カスタマーエンジニアは高卒で活躍している人が比較的多い業種です。
その理由としては、年齢的に若いことをメリットととらえる会社が多いことが考えられます。
カスタマーエンジニアは覚えることがとても多く、研修も一定期間を受講しないと現場に立てないので、柔軟な思考力を持った人のほうがより歓迎されるわけです。
とはいえ、就職には工業高校卒業程度以上の工学の知識は、持っていたほうが良いです。
進学するなら機械、電気・電子・通信工学、情報工学などを学べる専門学校や大学を選ぶとよいでしょう。
学費は国立大学の理系学部の4年間の総額で、およそ250万円です。
私立大学の場合は、4年間の総額で、およそ620万円です(東京都内のある私立大学の例)。
カスタマーエンジニアの資格・試験の難易度
ITエンジニア向けの国家試験の難易度は高い
コンピュータやシステム機器に関する知識をアピールためにまず挙げられるのが、「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」といった、ITエンジニア向けの資格です。
どちらも知名度が高く、取得していればカスタマーエンジニアへの就職にもアピールできますが、国家資格のため難易度は決して低くはありません。
また電気系統の配線や保守をするための資格としては「電気工事士」や「認定電気工事従事者」というのもあり、入社してから上司から取得するように命じられる場合があります。
カスタマーエンジニアの給料・年収
残業代の有無と国内企業か外資系企業かで異なる
カスタマーエンジニアの年収は基本給で400万円~800万円と大きく差がありますが、平均給与は450万円~500万円くらいとなるでしょう。
その原因としては、
・残業代が出るかでないか
・国内企業か外資系企業か
という2点が考えられます。
時間外労働が多い激務のような場合は、残業代や休日出勤などの上乗せによって、年収が上がります。
営業職を兼ねたカスタマーエンジニアの場合は歩合制によって、年収を上げることも可能です。
外資系企業の場合は比較的高収入の場合も多い反面、日本企業に比べて退職金制度などの福利厚生が不十分な場合があるので、注意が必要です。
カスタマーエンジニアの現状と将来性・今後の見通し
修理業務は減少傾向、これからは営業スキルが必要
カスタマーエンジニアの仕事そのものは、企業の中枢を担うコンピュータ関連の保守・点検、修理を請け負うという意味でもなくなることは考えられません。
ただし、従来からの主要な専門機器の修理業務の需要は、減少傾向にあるといわれています。
これは各種機器のコストダウンによって、修理よりも交換のほうにシフトチェンジしているところが多くなっているためです。
むしろこれからのカスタマーエンジニアの仕事として求められるのは、営業スキルです。
担当先企業に保守・点検に出向いた際、
「修理よりも新しい製品を導入されてはいかがですか?」
とさりげなく自社製品を売り込めるような、営業コミュニケーションスキルを備えた人材です。
カスタマーエンジニアの就職先・活躍の場
幅広い就職先があり女性も活躍できる
カスタマーエンジニアの就職先は、コンピュータ本体や各種機器のメーカー、保守サービス会社、それにアフターサービスをする販売会社などになります。
カスタマーエンジニアという仕事の特徴として、女性にも活躍の場が開かれているということがあげられます。
「エンジニア」といえば男性のイメージが強いかもしれません。
しかしカスタマーエンジニアはコミュニケーション能力が求められる仕事なので、そのスキルに長けた人であれば、男女関係なく活躍できる可能性があるといっていいでしょう。
カスタマーエンジニアの1日
作業内容に応じて、お客さま先を訪問する
カスタマーエンジニアの1日は、出社してから必要に応じてお客さま先を訪問し、帰社してから報告をして終了という流れが基本です。
安定稼働しているシステムの場合は、それほど時間外労働は発生しません。
ただしお客さまの都合によって、夜間や休日対応を迫れられる場合もあります。
9:00 出社
朝イチのメールチェック。そのあとメンバーと打ち合わせをして、1日の作業内容を確認。
10:00 お客さま先へ訪問
依頼されていたお客さま先へ訪問し、機器の点検をします。
12:00 休憩
14:00 別のお客さま先へ訪問
事前に連絡があった別のお客さま先へ訪問し、機器の修理を行います。
17:30 帰社、作業報告書の作成
会社に戻って、本日の作業内容をリーダーに報告します。
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カスタマーエンジニアのやりがい、楽しさ
お客との信頼関係がやりがいにつながる
カスタマーエンジニアは、お客さまのところにあるコンピュータ本体やシステム機器保守や点検、トラブル発生時の修理を行うので、仕事の成果が目に見えやすい職業といえます。
ときにはお客さまから感謝の言葉が聞けることもあり、ただ黙々と機械と向かいあう仕事では味わえない達成感を味わえることもあります。
お客さまとの信頼関係を活力にして、スキルアップにつなげられるということに、やりがいを感じる人が多い仕事といえるでしょう。
カスタマーエンジニアのつらいこと、大変なこと
突然のトラブルにも対応しなければならない
カスタマーエンジニアは、安定稼働しているシステムの保守点検をするだけが仕事ではありません。
システムのトラブルが起きた際には、顧客からの突然の呼び出しを受けることもあります。
お客さまサイドからみても、特にコンピュータを中心にした情報システムは生命線ですから、早急な対応を求められることも多いです。
時には夜間や休日にも対応を余儀なくされることもあり、しかも早急に復旧しなければお客からの信頼も失ってしまいます。
ときとしてそのようなプレッシャーとも戦わなければならないのが、カスタマーエンジニアという仕事の大変なところでもあります。
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カスタマーエンジニアに向いている人・適性
機械だけでなく人と接することも好きな人に適性あり
カスタマーエンジニアは機械を触るのが好きなだけでなく、人と接することも好きな人が向いています。
コンピュータや周辺機器の突然のトラブルにも、迅速丁寧に対応できるようなフットワークの良さと、円滑なコミュニケーションを図れる細やかな神経を持った人に、適性があるといえます。
また困難な状況に置かれても、そこを打開できるような精神的にタフな人や、時に激務にも耐えうるような体力を備えた人にも向いています。
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カスタマーエンジニア志望動機・目指すきっかけ
コミュニケーション能力やタフな忍耐力をアピール
カスタマーエンジニアは、想像以上に顧客とのコミュニケーションが密になる仕事です。
「コンピュータが好き」であるのは当然で、その上でお客さまと円滑なコミュニケーションを図れること。
ときにお客さまが抱えているシステムの課題を発見し、自社のシステム機器をさりげなくセールスできるような、意欲的な人が向いています。
このようなカスタマーエンジニアとして一人前になるには、長い研修を受ける必要がありますので、それに耐えることのできる忍耐力も、志望動機としてアピールしたいところです。
カスタマーエンジニアの雇用形態・働き方
正社員と派遣社員のどちらの働き方もあり
カスタマーエンジニアは正社員で働く場合と派遣社員で働く場合のどちらもあります。
正社員として働くメリットとしては、以下の2点があげられます。
・雇用契約の定めがないので、じっくりと腰を据えながら仕事に取り組むことが出来る
・長く働くうちに責任あるポジションにつけるなど、キャリアパスが得やすい
派遣で働くメリットとしては、ボーナスの支給が基本的にないぶん比較的高時給に設定されていることが多いということです。
残業代もきちんと出るので、時間外労働が発生したときにはかなりの金額を稼げる場合もあります。
カスタマーエンジニアの勤務時間・休日・生活
トラブル発生時は時間外労働が発生することも
カスタマーエンジニアの勤務時間や休日は、勤務先企業に準じます。
1日の実働は7.5時間~8時間程度、週休2日程度が基本となるでしょう。
安定稼働しているシステムの保守点検などであれば、時間外労働や休日出勤などもなく、きちんと休日も取得できます。
その一方でシステムトラブルの発生時などには、急いで修理や復旧をしなければいけないため、やむをえず時間外労働や休日出勤が発生することもあります。
場合によっては自宅にいるときに連絡が入るということもあります。
カスタマーエンジニアの求人・就職状況・需要
従来からの業務範囲以外も求められる傾向に
「カスタマーエンジニア」という括りだけでみれば、求人をみつけるのはそれほど困難ではありません。
ただし応募する際には、その会社の業務内容を確認するのを忘れないようにしましょう。
一口に「カスタマーエンジニア」といっても、取り扱っている機器は会社によっても異なります。
例えばコンピュータ本体とプリンタなどの周辺機器では、必要になる知識や技術が大きく異なる場合もあるので、注意が必要です。
コンピュータ本体を中心とした情報システムがメインの、いわゆる「システムエンジニア」に近い場合や、機器の営業販売を兼ねた「セールスエンジニア」に近い場合をさしている会社もあります。
カスタマーエンジニアの転職状況・未経験採用
未経験採用のチャンスはあるが、資格でさらにアピールを
カスタマーエンジニアとして必要な技術や知識は入社後の研修で習得することが多いので、未経験の人でも採用されるチャンスはあります。
ただしコンピュータ本体を中心とした各種機器は技術の進化が激しい分野なので、古い知識や技術が通用しなくなることが多くあります。
そういう意味では、常に新しい技術や知識の習得にどん欲な人材が求められるといっていいでしょう。
また「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」といった情報処理関係の資格を取得しておくことで、採用の際のアピールポイントにすることもできます。