大学院は学費がいくらかかる? 国立と私立の違いや奨学金まで解説

(読了時間:6分30秒)

これから将来の進路を決める人のなかには「研究者になりたい」「技術開発の仕事がしたい」と考えている人もいるでしょう。こうした専門的な仕事をするには、大学院で学ばなければならないこともあります。

大学院は、2年から5年という長い期間学ぶため、相応の費用がかかります。 

高校生にとっては少し先のことですが、大学院で学ぶことと、学費のことを考えてみましょう。

大学院に進学するなら、学費がいくら必要になるのか事前に情報収集しておくことが大切です。

大学院の学費の相場は、国立・私立の違い以外にも修士・博士課程と専門職大学院の大学院の種類の違いによっても異なります。

この記事では以下についてわかりやすく解説します。

【この記事でわかること】

  • 大学院の学費が国立・私立、種類によってどのように異なるのか
  • 大学院生が利用できる奨学金

大学院の学費は非常に高額になることもあります。

どこの大学院で何を学ぶのかによっても費用は異なるので、この記事を参考に学費の目安を知っておきましょう。

大学院にかかる費用の大まかな金額を知る

まず、大学院にかかる費用の大まかな目安を紹介します。
国立大学院の学費は2年間で約135万円です。

【国立の大学院の学費目安】

  • 入学金:28万2,000円
  • 授業料:53万5,800円/年
  • 2年間合計:約135万円

国立の大学院の学費は、基本的に文部科学省が定めているので、学部による差はありません。(法科大学院を除く)

ただし、法科大学院の場合は授業料が年間80万4,000円、修了するまでは3年かかるため学費は約270万円となります。

一方、私立の大学院は大学毎、学部毎に学費が異なります。

文部科学省が毎年発表している「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より、目安を紹介します。

【私立大学の学費の目安】

  • 入学金:約20万円
  • 授業料:約70万円/年
  • 施設設備費:約7万円
  • 2年間合計:約180万円

私立大学院の授業料は、学部によっても大きく変動します。

上記の金額は平均値なので目安と考えてください。

大学院の学費は大学院の種類によって異なる

大学院の学費は、国立・私立の違い以外にも種類によって異なります。

大学院で学費が最も高額なのは専門職大学院

大学院は3つの種類に分けて考えることができます。

【大学院の種類】

  • 修士課程(博士課程前期):高度な仕事をこなせる職業人を育成
  • 博士課程(前期+後期):研究能力を備えた人を育成
  • 専門職大学院:ビジネス・会計・教職・法科等で専門的な知識と能力を持った人を育成

一般的な学部で4年間学んだ後に大学院へ進学する場合、修士課程(博士課程前期)と博士課程(前期+後期)があり、一般に修士は2年、博士は5年です。

また、特定の職業と関わりの深い、ビジネス・会計・教職・法科などの「専門職大学院」というものもあります。

法科大学院は専門職大学院の一種です。

それぞれ、修士課程は高度な仕事をこなせる職業人、博士課程は研究能力を備えた人、そして専門職大学院は特定の職業で、高度で専門的な知識と能力を持った人を育てるという目的があります。

大学院への進学は、4年制大学や高等専門学校の専攻科以外に、4年制の専門学校などでも入学資格が得られるところがあります。

一般的に、学費が高額になるのは専門職大学院です。

国立と私立の大学院にかかる学費の違い

国立と私立の大学院にかかる費用の違いについて、詳細に解説します。

私立大学院の学費は大学毎に異なる

国立の大学院は、学費について文部科学省によって「標準額」というものが定められています。

したがって、大学院や学部によって学費が大きく異なることはなく、どこの大学院に通っても2年間で約135万円です。

公立の大学院は、その地域内の学生なら入学金が安くなるしくみがありますが、授業料は国立とあまり変わりません。

例として、早稲田大学大学院の初年度の学費を学部毎に紹介します。

【早稲田大学大学院初年度納付額】
(※一部1,000円未満は四捨五入している箇所があります)

経済学研究科 商学研究科 情報生産システム研究科 法務研究科
入学金 20万円 20万円 20万円 20万円
学費 63万円 63万円 116万円 126万円
諸会費 6500円 8500円 3000円 10000円
初年度納付合計 83万円 83万円 137万円 147万円

最も学費が高額なのは私立の専門職大学院

最も授業料が高額になるのが、私立の専門職大学院です。

修了年限は2年、法科大学院は3年です。社会人を対象にした1年コースを設けているところもあります。

2年間の学費を比べてみると、私立専門職大学院は、国立大学院の2倍以上かかります。

文・理系別では、理系の方が一般に授業料が高く、実験実習費も5万円~10万円程度プラスされます。

ある総合私立大学の大学院の場合、文系前期課程(2年)で、約137万円、理系前期課程(2年)で、約205万円となります。

博士課程は5年間で、国公立は約300万円、私立は約400万円必要です

大学4年間の上に、大学院までの学費が加わると負担が重いため、奨学金や教育ローンを利用する人も増えてきます。

内部進学なら入学金が不要の大学院が多い

一般的な私立の大学院の場合、同じ大学の学部卒業者であれば入学金がかからないのが一般的。

他校の学部卒業者の場合は10万円~20万円程度の入学金が必要になるケースが多いです。

大学院の学費は高額。奨学金を上手く利用して

大学院の学費が想像よりも高かった、という方へ。

進学をあきらめる前に、奨学金を検討してみてください。

奨学金には、借りた後に返済する貸与型と、返済不要の給付型の2つがあります。

多くの学生は貸与型の奨学金を「日本学生支援機構」から借りています。

この章では、大学院生が利用できる奨学金について解説します。

日本学生支援機構の奨学金

貸与型を利用する多くの学生は、日本学生支援機構から奨学金を借りており、主に第1種と第2種の2つの種類があります。

  • 第一種奨学金:利息無しで約5万円を貸与。成績等による選抜になることも
  • 第二種奨学金:利息ありで月額5万円、8万円、10万円、13万円、15万円から選択

第一種奨学金は無利息のため、収入や学力などによる選抜になります。

ただし、私立大学院に通うには金額が十分ではないので、他の奨学金と併用する必要があるでしょう。

第二種奨学金は第一種よりも需給条件が厳しくないので、多くの学生が選択しています。

給付型は狭き門だが返済不要

給付型の奨学金は返済の必要がありません。

選抜条件などが厳しくなっています。

奨学金を給付しているのは以下のような団体になります。

【給付型奨学金を出している団体】

  • 地方自治体(県や市区町村など)
  • 民間企業
  • 大学

大学によっては、成績優秀者の学費を免除する「特待生制度」を設けている場合もあります。

民間団体の例としては、電通育英会が大学生に対して月6万円、大学院生に対しては月8万円を支給しています。

大学院の学費を上手く工面できるよう、様々な方面から情報を集めてみましょう。

大学院で学ぶと、どんな職業に就けるの?

ここまで、大学院の学費について紹介してきました。

「高い学費を払うけど、大学院を卒業するとどのような職業に就けるの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。

大学院で学ばなければ就くことができない職業があります。

大学や研究所の研究者のように、大学院で学ぶことがほぼ必須とされている仕事もあります

また、そのような職業に就かない場合でも、大学院へ進んで専門的な知識や技能を身につけることで、仕事の可能性を広げることができます。

たとえば、学校で児童・生徒から心の悩みを聞くスクールカウンセラーは、「公認心理師」という資格が実質的に必要です。

この資格は、大学院で心理学などを学んで、修士号の学位を取らなければなりません。

また、一般企業では、新しい商品や技術を研究・開発する部署で、大学院を卒業した人が専門的な知識や技術を活かして活躍しています。

職種によっては、大学ではなく大学院の修士課程を卒業した人だけを採用することもあります。

また、大学院で経営学を学ぶ人のなかには、ビジネスマンとして活躍するだけでなく、経営コンサルタントとしてビジネスのアドバイスをしたり、自分で会社を作って起業したりする人もいます。

大学院への進学を希望する場合には、学んだことをどのように自分の将来や、世の中の役に立てたいのかについて考えることが大切です。

大学院の学費・入学金まとめ

大学院の学費は、国立では約135万円、私立では180万円が目安です。

私立の大学院の場合は、文系・理系、学部、大学によって学費が大きく異なります。

大学院の学費は高額になるので、奨学金を利用する学生が増えています。

奨学金はあくまでもローンなので、返済する必要があることを念頭に置いて、慎重に検討する必要があります。

これから、社会は技術の高度化や、国際化がますます進むでしょう。仕事に就いてからも、勉強は常に必要となります。

昼間部だけでなく、仕事をしながら夜間部やインターネットを利用した通信制の大学院で学び、修士号を取る人もいます。