奨学金の返済はいつから? 返済期間は選べる?

奨学金制度を利用する場合、将来の返済計画をよく考えておく必要があります。

奨学金の返済はいつから始まるのか、返済期間はどうなるのか、あらかじめ確認しておかないと将来的にトラブルになる可能性があるからです。

また、返済期間を選べるのかどうか、申し込む時点で知っておくことも大切です。

奨学金の返済方法について確認しておきましょう。





奨学金の返済はいつから?

奨学金に申し込むとき、まずは奨学金を貸与してもらえるかどうかに気が向いてしまい、将来の返済はずっと先のことのように思えるかもしれません。

しかし、奨学金の返済は貸与を受けている期間よりもずっと長く続きます。

返済がいつから始まるのか、どのように返済しておくことになるのか把握しておくことは非常に重要です。

とくに次に挙げる3点については、奨学金に申し込む時点でしっかりと理解しておきましょう。

奨学金は未来の自分が返す借金

そもそも奨学金とはどのようなお金なのかを正確に理解しておく必要があります。

奨学金を利用することは、在学中の学費をまかなうために未来の自分自身から借金をすること意味しています。

給付型奨学金であれば返済の必要はありませんが、貸与型奨学金であれば将来まちがいなく返済しなくてはなりません。

4年制大学であれば奨学金の貸与を受けるのは4年間ですが、貸与額によって15年、20年といった期間、返済を続けることになります。

このように、奨学金とは「将来働いて稼いだ給与から返済するので、学費を貸与します」と約束して受給する「借金」である点をよく理解しておきましょう。

奨学金はどのように返済することになる?

利用する奨学金制度によって、返済方法は異なります。

ここでは、日本学生支援機構の奨学金について、返済方法を解説します。

奨学金の返済方法には「月賦返還」と「月賦・半年賦併用返還」の2種類があります。

月賦返還とは、返済期間内は毎月一定額を返済する方法です。

これに対して月賦・半年賦併用返還とは、毎月一定額の返済と併せて、1月と7月の年2回、上乗せして返済する方法です。

たとえるなら、半年賦返還はショッピングローンなどの「ボーナス併用払い」とよく似た仕組みです。

月賦・半年賦併用返還の場合、月賦返還よりも月々の返済額を抑えることができますが、年2回の年賦返還にあたる月は上乗せして返還しなくてはなりません。

そのため、月賦・半年賦併用返還を選択する場合、将来の就職先は年2回のボーナスが安定的に支給される職場を選ぶ必要があります。

貸与が終了した月の翌月から7ヶ月目に返済開始

奨学金の返済はいつから始まるのでしょうか。

大前提として、奨学金は貸与期間中(つまり在学中)には返済する必要がありません。

日本学生支援機構の貸与型奨学金の場合、返済が始まるのは「貸与終了月の翌月から数えて7か月後」です。

この時期に、指定した銀行口座から返済額の引き落としが開始されます。

就職して半年あまりが経ってから返済開始となりますので、収入が安定し、工夫しだいで少しずつ貯蓄に回せる余裕が生まれる時期にあたると想定できます。

見方を変えれば、就職して半年以内に退職してしまったり、出費を計画的にコントロールできておらず給与を貯蓄に回せていなかったりすると、奨学金の返済に苦慮することにもなりかねません。

奨学金の返済期間は選べる?

奨学金を将来返済していく期間は、申し込む時点や返済開始時点で選択できるのでしょうか。

奨学金の返済は定められた金額を確実に返していくのが原則ですが、将来の収入など経済状況は未確定の要素がほとんどですので、ある程度柔軟に対応してもらうことができます。

奨学金の返済期間はどのようにして決定されるのか、返済開始後に返済期間を変更するにはどうすればいいのか解説します。

所得連動返還方式と定額返還方式の違い

日本学生支援機構の奨学金の場合、返済方法には「所得連動返還方式」と「定額返還方式」があります。

所得連動返還方式とは、毎年の所得に応じて返還月額が変わる返済方法です。

つまり、無理なく返済できる額を基準に考えるため、返済期間は人によって異なります。

具体的には、貸与総額を「割賦金基礎額」で割って返還年数を求めます。

《奨学金返還年数算出表》

貸与総額 割賦金基礎額
200,000円以下 30,000円
200,001円〜400,000円 40,000円
400,001円〜500,000円 50,000円
500,001円〜600,000円 60,000円
600,001円〜700,000円 70,000円
700,001円〜900,000円 80,000円
900,001円〜1,100,000円 90,000円
1,100,001円〜1,300,000円 100,000円
1,300,001円〜1,500,000円 110,000円
15,000,001円〜1,700,000円 120,000円
1,700,001円〜1,900,000円 130,000円
1,900,001円〜2,100,000円 140,000円
2,100,001円〜2,300,000円 150,000円
2,300,001円〜2,500,000円 160,000円
2,500,001円〜3,400,000円 170,000円
3,400,001円以上 総額の20分の1

参考:日本学生支援機構「返還期間(回数)」

たとえば、毎月3万円の奨学金を4年間貸与された場合、総額は144万円となります。

貸与総額144万円の場合、割賦金基礎額は11万円ですので、156回(13年間)で返済していくことになります。

「毎年の所得に応じて」とあるように、割賦金基礎額は毎年見直されますので、就業年数に応じて給与が上がれば返済額が上がり、返済期間は繰り上がっていくことになります。

これに対して、定額返還方式は月々の返済額が固定されているため、所得額に関わらず定められた金額を毎月返済していくことになります。

返還期間変更願を提出すれば返済期間を変更できる場合がある

経済的理由や傷病・災害などの事情で奨学金の返済が困難な場合、毎月の返済額を2分の1または3分の1に減額し、その分だけ返済期間を延長できる「減額返還」と呼ばれる制度があります。

第二種奨学金(有利子)の場合、返還期間が延長されたとしても利息が増えることはありません。

減額返還を申請するには、返還期間変更届を提出し、審査を受ける必要があります。

あくまでやむを得ない事情があると判断された場合に限り、返済期間を延長できる制度ですので、基本的には定められた返還期間通りに貸与額を返済できるようにしなくてはなりません。

なお、前述の所得連動返還方式を選択した場合、すでに所得に応じた返済額が適用されているため、減額返還制度を利用することはできません。

猶予制度を利用して返済期間を延長できる場合がある

経済的理由や傷病・災害といったやむを得ない事情で一時的に奨学金の返済ができなくなった場合、返済期限を猶予してもらえる制度もあります。

「返還期限猶予」と呼ばれる制度で、適用されると猶予期間中は返済をストップすることができます。

猶予期間中が生じることによって返還期間は延長されますが、利息が増えることはありません。

ただし、猶予期間が終了すれば翌月から返済を再開する必要があります。

猶予期間中は奨学金を返済しないわけですから、貸与額の残額が減ることはありません。

つまり、猶予制度を利用しても将来的な返済の負担は変わらないことになります。

前述の減額返還の場合、少しずつでも残額は減っていきますので、将来的な負担を考えるとまずは減額返還を検討するほうが望ましいでしょう。

繰上返還によって返済期間・返済総額を減らせる

返還期日前に割賦金を返済することを繰上返還と言います。

奨学金の返済開始後、経済的な余裕があれば繰上返還によって返済期間を短縮することができます。

また、有利子の奨学金であれば、返済期間が短くなることで借用期間を短縮できますので、利息がかかる期間が短くなる分だけ返済総額を減らすことにも寄与します。

日本学生支援機構の場合、繰上返還をするには申し込みが必要になります。

繰上返還はオンライン(スカラネット)で申し込みできますので、少しでも返済期間を短くして将来的な負担を減らしたい場合は、繰上返還をしておいたほうがいいでしょう。

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奨学金を返済できないとどうなる?

冒頭で触れた通り、奨学金は学生自身が将来の返済を約束して借りる「借金」です。

そのため、奨学金の返済ができなくなってしまった場合、さまざまなトラブルに発展するリスクがあります。

返済が滞ることのないよう減額返還や猶予制度といった各種制度が設けられていますので、こうした制度を活用して完全に返済できない状況にならないよう、手を打っておくことが大切です。

では、奨学金を返済できないとどうなるのか、万が一のことを考えて知っておくようにしましょう。

延滞金の発生や信用機関への事故情報登録

貸与された奨学金のうち、定められた額を返済できない場合、規定によって延滞金が加算されていきます。

延滞金を払えば返済が遅れてもよいわけではなく、貸し手の機関等に迷惑をかけることになりますので、返済日に遅れることのないよう忘れずに返済することが重要です。

延滞が3か月以上続くと、延滞している事実が個人信用情報機関に登録されます。

いわゆる事故情報ですので、今後クレジットカードを申し込んだりローンを組んだりする際、経済的信用が低いと判断され審査で不利になることが考えられます。

個人信用情報機関に登録された事故情報は延滞を解消しても5年間は消えないため、先々の暮らしに影響する可能性があります。

「事情があれば返済が遅れても仕方がない」などと軽く考えず、期日に間に合うようにきちんと返済していくようにしましょう。

連帯保証人への請求や差し押さえなどの法的措置もあり得る

督促に応じず滞納を続けた場合、残額の一括返済を求められることがあります。

未返済の奨学金はもちろんのこと、利息や延滞金も含まれますので、大きな金額になることも考えられます。

返済に応じない場合、債権回収会社が本人と連帯保証人および保証人に対して回収を行います。

父母・親戚に連帯保証人や保証人を依頼しているケースが多いはずですので、身近な人に迷惑をかけてしまうことになります。

また、保証機関が法的措置として給与や財産の差し押さえをすることもあり得ます。

奨学金の返済請求に応じない状態が続くと周囲のさまざまな人に迷惑をかけるだけでなく、最悪のケースでは自分や父母、親戚が連鎖的に債務整理に追い込まれることも考えられます。

このような事態を招かないためにも、計画的に返済可能な範囲で奨学金制度を活用し、もし返済が難しくなった場合は早めに問い合わせ窓口等へ相談しましょう。

この記事のまとめ

奨学金は、卒業後長い期間をかけて返済していくことになります。

返済が滞るようなことがあれば、自分自身がつらい思いをするだけでなく、周囲の人にも多大な迷惑をかけてしまいかねません。

奨学金制度を活用する際には、返済が始まる時期や返済期間についてもよく調べて把握しておくことが重要です。

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