カフェオーナーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「カフェオーナー」とは
カフェの経営やマネジメントに携わり、魅力的な店づくりのための経営方針を考える。
カフェオーナーは、カフェの経営者として働く人のことをいいます。
店のコンセプトを決定し、予算計画に基づいて出店場所や物件を決め、外装やインテリアを検討し、メニューを考えて店を運営します。
個人店のオーナーの多くは「兼店長」としてお客さまにサービスをしていますが、自分以外の店長やスタッフを雇い、その人たちにサービスを提供してもらう場合もあります。
カフェオーナーになるのに特別な資格や学歴は必要なく、決まった道のりもありません。
ただ、よくあるパターンとしては、まずはアルバイトや社員としてカフェ・喫茶店にしばらく勤め、経験を積んで独立の準備をし、開店を目指す流れです。
カフェオーナーに憧れる人は多くいますが、カフェは飲食店のなかでも最も客単価が低水準、かつ回転率が低い部類の業態です。
カフェオーナーとなってどれだけの収入が得られるかどうかは、ひとえに自分の経営手腕や計画、努力にかかってくるといえるでしょう。
「カフェオーナー」の仕事紹介
カフェオーナーの仕事内容
カフェの経営者として、店を計画的に運営する
カフェオーナーとは、カフェの経営者として働く人のことをいいます。
新しくカフェを開業する際には、「どのような店にしたいのか」というコンセプトを決定し、予算計画に基づいて出店場所や物件を決め、コンセプトに合う外装やインテリアを検討します。
さらに、原価率を考えながらメニューを決定し、集客方法なども考えて、魅力的な店づくりを行います。
個人店のオーナーの多くは「兼店長」として自らドリンクやフードを作ったり、接客・サービスをしていますが、自分以外の店長やスタッフを雇い、その人たちに店舗での実務を任せていくケースも少なくありません。
カフェオーナーの役割とは?
たくさんのお客さまに満足していただける店づくりをし、確実に利益を生み出していくことが、カフェオーナーに求められる大きな役割です。
そのためには、原価計算や売上管理など、数字をしっかりと見て、計画的に経営を進めていかなくてはなりません。
また、食品や飲料、厨房機器といった仕入れ先の選定など、外部の業者との付き合いも重要です。
カフェオーナーになると、現場でサービスをする「カフェ店員」とはまったく異なる能力と知識が求められてきます。
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カフェオーナーになるには
成功のためには綿密な計画と準備が不可欠
カフェオーナーになるために、必須とされる資格や学歴などはありません。
意欲さえあれば誰でもすぐカフェオーナーを目指すことはできますが、実際に自分でカフェを出し、店を続けていくのは極めて困難です。
カフェは飲食業のなかで、最も客単価が低水準なうえに回転率が低い部類の業態となっており、安定的に収益を出すことが難しいとされています。
きちんと時間をかけて出店計画を立て、収支シミュレーションをしてから開業に至らなければ、まずうまくいかないと考えておいたほうがよいでしょう。
こうした事情もあり、まずはカフェなど飲食店のスタッフとして勤務し、店長などを務めて現場感覚と経営ノウハウを養ってから独立する道を選択する人が多いです。
フード系の専門学校やスクールの活用もおすすめ
カフェサービスの幅広い技術や、カフェ開業に関する知識を効率的に学べる場として、飲食系の専門学校やスクールに通う方法もあります。
専門学校であればフード系、なかでもスイーツや製菓の学校では、しばしば「カフェビジネス学科」などの名称で、カフェオーナーになるための勉強ができる学科・コースが設置されています。
なお、カフェオーナーは、社会人が転職によって目指すことも多い職業です。
社会人を対象とした民間のフードスクールでも、カフェ経営の知識や技術を学べることがあるため、調べてみるとよいでしょう。
カフェオーナーの学校・学費
開業ノウハウやドリンク、サービスなどを学べる学校がある
カフェオーナーは、特別な学校を出ていなければならないという職業ではありません。
学歴が問われるわけでもなく、どのような人でもやる気さえあればカフェオーナーを目指すことはできますが、経営者として必要なビジネスの知識や、飲食業のノウハウ、サービスなどを総合的に学んでおくことはプラスになるでしょう。
カフェについて学べる学校としては、フード系の専門学校や民間のスクール、講座が候補に挙がります。
カリキュラムは、コーヒーの「バリスタ」資格を得ることを目的としたものから、カフェの食事やスイーツの作成技術を高めるためのもの、また開業のためのプランニングまで総合的に学べるものなど多様です。
学費も、学校や講座によって数万円程度から100万円以上と幅があるため、自分が何を学びたいのかを明確にしてから選択しましょう。
カフェオーナーの資格・試験の難易度
難しい資格は取らなくてもカフェオーナーにはなれる
カフェオーナーになるために必要な資格としては、まず、飲食店や食品販売店では必ず1名以上置くことが定められている「食品衛生責任者」が挙げられます。
この資格を取るための講習は1日で修了しますし、内容も決して難しいものではありません。
開業にあたって行政関連の手続き等はありますが、カフェオーナーになるために特別な学歴や資格はとくに必要なく、誰でもやる気さえあれば目指せる職業といえます。
コーヒーや紅茶、調理関連の資格を得る人も
カフェオーナーとして自ら店舗にも立って接客する場合には、コーヒー・紅茶関連の資格を取得しておくのもよいでしょう。
コーヒーに関していえば、「バリスタ」としてのスキルを証明する「JBAライセンス」や、「コーヒーマイスター」「コーヒーインストラクター」などが代表的な資格です。
紅茶関連の資格では「紅茶マイスター」や「ティーインストラクター」などがあります。
調理にも力を入れるのであれば「調理師免許」なども候補に挙がるでしょう。
ただし、これらの資格があったからといって、それだけで店が繁盛するとは限りません。
カフェオーナーの仕事では資格というよりも、経営に関する知識や経験、そしてお客さまに満足していただけるメニューや、ホスピタリティあふれるサービスをどれだけ提供できるかが重要だといえます。
カフェオーナーの給料・年収
店の繁盛具合によって収入は大きく変わる
カフェオーナーとなってどれだけの収入が得られるかどうかは、ひとえに自分の手腕や努力にかかってくるといえるでしょう。
「自宅兼カフェ」のような形をとり、少しでも経費を抑えて経営するのであれば多少のプラスが出るかもしれませんが、個人経営では、最初の数ヵ月~1年ほどは赤字になる人が非常に多いといわれています。
一般的なカフェは客単価が低く、さらに回転数がさほど上がらないことから、なかなか大きな収益を生み出すのが難しい業態です。
カフェで安定収入を生み出し続けるには、出店前の立地選定から店のコンセプト計画といったところから、綿密な計画が必要になるでしょう。
安定収入のためにフランチャイズオーナーになる方法もある
カフェオーナーとして、収入面を優先するのであれば、フランチャイズオーナーになる方法があります。
フランチャイズに加盟すれば、ブランド力や集客の仕組み、経営ノウハウを確保されたうえで開業することができ、自分で一から店を開くより、だいぶ経費も抑えられます。
フランチャイズで経験を積んだのちに、自分の店をオープンするという方法もあるでしょう。
厳しい世界ではありますが、事業が軌道にのって多店舗展開をすることで、年収1000万円以上を得ている人もいます。
関連記事カフェオーナーの年収はいくら? 給料についてくわしく解説
カフェオーナーの現状と将来性・今後の見通し
経営者としてのさまざまなスキルが求められる
飲食業界のなかでも、カフェ経営は大きな利益を出すことが難しい業態で、決して簡単に儲かるとはいえません。
とくに、昨今は「カフェブーム」によって参入者が増え、都市部を中心に競争がますます厳しくなっています。
カフェ経営に憧れる人は多くいますが、ただ開業しただけで成功するわけではなく、むしろ廃業に追い込まれている店舗も少なくないのが実情です。
しかしながら、魅力的な場には大勢のお客さまが集っているのも確かです。
おいしいドリンクやフードを提供することはもちろんですが、SNSを活用した集客、戦略的なメディア活用、イベント企画など、さまざまな工夫を凝らして、お客さまを集めていけば、大人気店になる可能性も十分にあります。
飲食ビジネスのしくみや特徴をよく理解し、経営者としてたゆまぬ努力を続けることが大切といえるでしょう。
カフェオーナーの就職先・活躍の場
日本全国どこでも活躍できるチャンスがある
カフェオーナーは、どこかの会社に就職して働くのではなく、自ら経営者として店を出店し経営していくことになります。
どのような立地で、どのようなコンセプトの店を手掛けるかは、カフェオーナー次第です。
日本全国、ありとあらゆる場所で活躍できる可能性がありますが、きちんと利益を出して店を継続させていくためには、事前の調査や計画が欠かせません。
なお、なかには「フランチャイズ」という形で、大手カフェチェーンなどに加盟し、一定のお金を支払う代わりに、本部のブランド力や看板、ノウハウを生かしながら経営を行っていく人もいます。
また、カフェオーナーとして店を軌道にのせていくと、引き続き何店舗も新しいカフェを出して多店舗展開するケースも見られます。
カフェオーナーの1日
自ら店に立つカフェオーナーは忙しくなりがち
カフェオーナーが「兼店長」として店で働く場合、基本的には店舗の営業時間に合わせて仕事をします。
一方、接客・サービスは、雇った別の店長やスタッフに任せるのであれば、営業時間に捉われずに事務所で作業する時間が長くなるでしょう。
ここでは、個人店を経営し、店長としても活躍するカフェオーナーのある1日を紹介します。
カフェオーナーのやりがい、楽しさ
自分の理想とする店づくりができる
カフェオーナーの一番のやりがいは「自分の店を持てる」という、まさにそのことだといえるでしょう。
オーナーになれば、ゼロの状態から店舗のコンセプトや内装などの雰囲気、メニューにいたるまで、すべて自分で決めることが可能です。
誰に指図されることもなく、まさに一国一城の主として、理想とする店づくりができることは非常に大きな魅力といえます。
そして、自分の店でたくさんのお客さまが笑顔になってくれたら、それほどうれしいことはありません。
店の経営が成功すれば収入面でもゆとりがでるかもしれませんし、いくつも店舗を出して、より事業を大きくしていくこともできます。
雇われて働くのとはまったく異なるやりがいを感じられるのが、カフェオーナーの魅力です。
カフェオーナーのつらいこと、大変なこと
成功を目指すための強い意志と努力が必要
「カフェオーナーになりたい」と夢を持つ人は多くいますが、いざ開業しても、1年後、3年後に生き残っている店舗は半分以下といわれます。
飲食業界のなかでも、カフェは客単価が低く、業界内でも最も経営が難しいといわれている業態のひとつです。
開業は、そこにいたるだけでも大変な労力を要し、お金の面に関しては、銀行などから融資を受ける人も少なくありません。
多大なお金と時間をかけてようやく出した店がうまくいかないとなれば、身も心も擦り減らすことになるでしょう。
少しでも成功の可能性を高めるためには、ぬかりない準備と計画、そして相当な覚悟を持つことが不可欠です。
ただし、飲食業界は「水物(みずもの)」ともいわれており、少なからずリスクがあることも受け止めていかなくてはなりません。
カフェオーナーに向いている人・適性
目標を設定し、一つひとつ課題を乗り越えていける人
カフェオーナーになるにあたって大事なのは、きちんと現実を見て、自分の夢を叶えるためにはどうすればいいのか、具体的な目標と行動計画に落とし込むことです。
ただ「楽しそう」「稼げそう」といったふんわりとしたイメージだけでは、厳しい競争社会で店を経営していくのは不可能に近いです。
日々の資金繰りや収支シミュレーションなど、お金について考えなくてはならないこともたくさんあります。
「好きな店を作りたい」という情熱はもちろん必要ですが、ゴールを見据え、目の前のやるべきことを一つひとつコツコツとこなしていく努力ができる人が、カフェオーナーに向いているといえます。
また、もし従業員を雇うことになれば、マネジメント力も必要です。
多くの人に信頼されうる人間性、誠実さを備えた人が、カフェオーナーとして長く経営していけるでしょう。
関連記事カフェオーナーに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
カフェオーナー志望動機・目指すきっかけ
自分が理想とするカフェを作りたい
カフェオーナーになる人の志望動機は人それぞれですが、よくあるのは「カフェが好きで、自分の理想の店を作りたい」というものです。
もともと起業家志向がある人もいますし、最初は「バリスタ」や飲食店の「サービススタッフ」などとして働いているなかで、カフェ経営に興味を持っていくような人もいます。
いずれにしても、既存の店で働くのではなく、自分で一から理想のカフェを作り上げていきたいという思いが、多くのカフェオーナーの志望動機となっています。
若い人がカフェ開業することも増えていますが、ある程度の年齢を重ねてから「地域の人々に愛されるカフェを作りたい」といった思いで、脱サラしてカフェ経営に挑戦するケースもあります。
カフェオーナーの雇用形態・働き方
個人店のオーナーとフランチャイズのオーナーがいる
カフェオーナーは「経営者」であり、自身が運営するカフェのトップのポジションに立って仕事をします。
会社に雇われて働くのではなく、自らさまざまな判断を下して経営を進めていくことが最大の特徴です。
カフェオーナーの種類は、「自分で一から個人店を立ち上げる人」と、「フランチャイズに加盟し、本部のサポートを受けながらオーナーとして店を運営する人」の2パターンに分けられます。
また、自身が店長を兼任して現場にも立つオーナーもいれば、自身は現場には出ず経営に専念し、別の店長や従業員を雇って店を回すオーナーもいます。
カフェオーナーの勤務時間・休日・生活
店で働くオーナーの勤務時間は長くなりがち
カフェオーナーの勤務時間や休日は、自身も店に出て働く場合、基本的には店舗の営業時間や定休日に準ずるものとなります。
たとえば、10時に開店をして20時に店を閉めるのであれば、その営業時間内と、前後1時間ずつほど開店準備や閉店作業をすることになるでしょう。
一方、接客・サービスは別で雇った店長やスタッフに任せるのであれば、営業時間に捉われずに事務所で作業する時間がメインになり、やや自由度は上がります。
しかし、小規模な個人店オーナーは、人件費のことも考えると自分が店舗に出て働くことも多く、勤務時間は長くなりがちです。
また、休みの日にも、仕入れ先との商談や他店舗の調査などを行い、仕事の延長のような1日を過ごす人は少なくありません。
ある程度、事業が経営にのるまでは忙しく働くことになるでしょう。
カフェオーナーの求人・就職状況・需要
就職ではなく、一人の経営者として働く
カフェオーナーは、自分自身の力でカフェを立ち上げて経営していく立場になるため、基本的には「就職」といった考え方はされません。
一般企業に置き換えてみると、自分で一から会社を設立する「起業家」と同じような立場となります。
カフェブームは根強く、どのような地域でも愛されるカフェが存在するということを考えても、新たなカフェを作り出すオーナーの需要は十分にあるといえます。
しかし、カフェは競争が厳しく、とくに個人店のオーナーは大きなチェーン店に負けない、独自の強みや特徴を打ち出していかなくてはなりません。
カフェオーナーの転職状況・未経験採用
参入はしやすいが、成功するのは極めて難しい
日本でも欧米風の「カフェ」がすっかり身近なものとなり、どの街にも個性あふれる個人店のカフェがたくさん見られるようになりました。
カフェ開業を目指す人も年々増えているといわれ、いわゆる「脱サラ」によって、中年以上の年代からカフェオーナーになる人も決して少なくありません。
しかし、カフェオーナーへの転職は、一般的な会社員が同業界あるいは別の業界の企業へ転職するというのとは異なる苦労があり、簡単に成功できるとも限りません。
異業種からの参入、あるいは個人がカフェオーナーになる場合には「フランチャイズ」に加盟する方法も検討してみるとよいかもしれません。
カフェオーナーは副業でできる?
副業でやる人もいるが、綿密な経営計画が必要
カフェに関わらず、飲食店経営を副業によって行っている人は少なからず存在します。
しかし、オーナーとして一つの店をうまく経営していくのは、決して楽なことでも簡単なことでもありません。
資金の問題をはじめ、立地やコンセプト、メニュー、従業員、集客など、さまざまなことを考えていく必要があります。
カフェにもさまざまな規模の店があるため、工夫すれば費用を抑えつつ経営することは可能です。
しかし、副業で行うとなると、他に安定した収入が見込める仕事を持っておく必要があるでしょう。
とくに初めての出店であれば、すでにオーナーとして活躍している人からアドバイスをもらったり、コンサルティングを受けたりしながら、安定した経営ができるようにきちんと準備・計画していくことをおすすめします。