テレビADの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
テレビADの仕事とは
テレビADは、放送業界を代表する職業のひとつです。
「AD」とはアシスタントディレクター(Assistant Director)の略で、「テレビディレクター」が思い描く演出プランを実現するために、あらゆる雑務を引き受ける役割を担います。
ADの業務内容は多岐にわたり、たとえばインターネットや電話を使った情報リサーチ、番組で使うイラストや小道具の発注、取材先との連絡、ロケ車両の運転やロケで必要な物品や機材の準備など、その内容を挙げればきりがありません。
最近ではADが出演してリポートを行うバラエティ番組や情報番組なども増えており、その仕事の幅はますます広がってきています。
ディレクターがイメージする映像を作れるかどうかは、まさにADの働きにかかっているのです。
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テレビADの業務の内容
ADは番組制作者としてのファーストキャリア
テレビ番組の企画・制作に携わる場合、基本的に、まずはAD(アシスタントディレクター)からキャリアをスタートします。
テレビプロデューサーが予算や人員などの責任もとる総監督、テレビディレクターが番組を演出する現場監督とするならば、ADはディレクターの補佐として、彼らの手足となって動く役回りを担います。
ひとつの番組を作り上げるには、出演者のほかにカメラマンや照明・音響、大道具・小道具スタッフなど多くの人が関わっていきます。
現場監督であるディレクターひとりだけでは、彼らへの細かな指示をすべてこなすことができません。
そこで、ADはディレクターの手が回らない細かな仕事を引き受けます。
取材からロケまでサポート
ひとつの番組には複数のADがつくことが多く、各自がディレクターの指示を仰ぎながら働きます。
出演者のアポとりやロケ先のリサーチ、移動や宿泊の手配、はたまたロケ弁当の手配と、ADの仕事は多岐にわたります。
ロケによって状況も環境も異なりますから、その場の雰囲気を素早く察知して、臨機応変に行動しなければなりません。
たとえば、真冬の屋外ロケで、寒くて具合が悪そうにしている出演者がいたとします。
そこで、何も気がつかずにボーッと立っているか、それとも温かい飲み物や毛布をすっと差し出すことができるか。
この気の利く対応が、簡単なようでいて非常に難しく、優秀なADになれるかどうかの分かれ目です。
よく気がつくADがいると、スタッフも出演者も、気持ちよくスムーズにロケを進めることができます。
優秀なADなくして、番組作りを円滑に進めることはできません。
テレビADの役割
ADはディレクターのアシスタントについたら、24時間体制で働かなければいけません。
番組によっては深夜のロケもありますし、極寒の地や大荒れの海の上でのロケになることもあるでしょう。
それでも、どんなときもロケ先には一番に乗り込んで、ロケがうまく進むようセッティングするのがADなのです。
ときには満足に睡眠時間や食事がとれない日が続くことや、深夜残業や休日返上で仕事をすることもあります。
スタッフロールに名前が出るわけでもないのに、どうしてここまで仕事をしなければいけないのだと悩むこともあるかもしれません。
しかし、実際のところ、テレビADが縁の下の力持ちとしてディレクターを支えているからこそ、番組が成立しているのです。
全身全霊で番組作りの土台を支えるのがADの大切な役割です。
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テレビADの勤務先の種類・活躍の場
テレビADの活躍の場
テレビ番組の演出を手がけるディレクターのアシスタントをするのが、テレビADです。
ディレクターとADは別の職種というわけではなく、ディレクターになるための修行期間としてADをするのが一般的です。
そのため、ADの主な勤務先は、ディレクターと同様にテレビ局や番組制作会社、プロダクションなどになります。
入社後の数年間はADとして、番組企画会議の資料を用意したり、ロケ・スタジオ収録のサポートをしたりして経験を積みます。
一人前のADとして認められるようになると、やがてディレクターに昇格して番組そのものの演出を任されるようになります。
ディレクターとして経験を積むと、将来的にはデスクやプロデューサーに昇格することがあります。
このようなキャリアアップの流れに関しては、基本的にどの番組制作会社でも同じです。
テレビADの勤務先の種類
テレビADの勤務先であるテレビ局と番組制作会社はどのような違いがあるのでしょうか。
ここではそれぞれの特徴を説明します。
テレビ局
テレビ局は、大きく分けると民放とNHKに分けることができます。
民放には「キー局」と呼ばれている主要放送局があり、「テレビ朝日」「TBSテレビ」「フジテレビジョン」「日本テレビ放送網」「テレビ東京」のことを指しています。
キー局に対して、全国各地にある民間の放送局のことを、地方局(ローカル局)と呼びます。
キー局やローカル局では例年ディレクターの採用試験が行われており、入社後まずはADとして働くことになるのが一般的です。
公共放送であるNHKの場合はAD制度がないため入局後すぐにディレクターとして仕事をすることになりますが、「FD(フロアディレクター)」としてディレクターの補佐をすることもあります。
番組制作会社
テレビ局から依頼を受けて番組作りを任されているのが、番組制作会社やプロダクションです。
テレビ局の資本が入っている番組制作会社もあれば、独立した番組制作を行っている会社もあります。
番組制作会社ではADの募集を積極的に行っていることが多く、正社員だけではなく契約社員やアルバイトで雇用されることも珍しくありません。
まずはアルバイトで採用し、慣れてきたら契約社員になり、一人前の働き方ができるようになったら正社員になる、というケースもあるようです。
テレビ局に比べると収入は不安定になりがちですが、独自のカラーがあったり若手の育成に力を入れていたりするのが魅力です。
大手のプロダクションから個人経営の事務所までさまざまな規模の会社があるので、こだわりさえ持たなければ、ADとしてどこかの番組制作会社に就職をすることは簡単かもしれません。
しかしながら、自分がどんな番組を作りたいのか、どんなジャンルの番組制作を希望するかを明確にしておいたほうがよいでしょう。
将来どんなディレクターになりたいか、何を視聴者に伝えたいかをきちんと考えておいた方がよいことは間違いありません。
テレビADの仕事の流れ
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0.関係者とのコミュニケーション
テレビADの仕事はリサーチやロケのサポートなどですが、実はその前にすべき大切な仕事があります。
それは取材先の人々との信頼関係を築くことです。
テレビでは、さまざまな業種・年齢・性別の一般人に協力してもらい、番組を制作することがたくさんあります。一般の皆さんの協力を仰ぐには、制作者側との友好な関係を築き上げなかればなりません。
ディレクターがイメージしている映像を確実に撮影できるように、常に取材先とよいコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことはADの大事な仕事のひとつです。
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1.リサーチ
ロケをする場所を探したり、番組づくりに必要なあらゆる情報を集めたりします。
雑務といえる業務が多々ありますが、ADの動きぶりは、より深みのある番組ができるかどうかにも影響してきます。
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2.ロケのサポート
ロケに出る際には、ロケ先との交渉や当日の段取りなどをしっかりと組んでおきます。
移動手段や宿泊場所の確保なども、綿密に行わなくてはなりません。
ロケに必要な機材や準備を滞りなく整えることは、ADの大事な業務です。ロケ中にはディレクターなどから指示を受けて、臨機応変に動き回ります。
テレビADと関連した職業
テレビ業界には、テレビADと関連する職業があります。
たとえば、テレビADが経験を積んでキャリアアップすると「テレビディレクター」になります。
ADはあくまでもアシスタントという立場であり、番組の企画に関する重要な部分を任せられることがありません。しかし、ディレクターになると演出や編集を自分で行うことができるようになります。
また、ディレクターがキャリアアップすると、全体の世話役となる役職に就いたり、統括する立場である「テレビプロデューサー」になったりします。
この他にも、ADと似たような仕事としては、生放送中の進行を管理するスペシャリストである「タイムキーパー」や、フロアのまとめ役である「FD(フロアディレクター)」があります。
また、ADの指示を受けてロケや収録の際にサポート業務を行うアルバイトの人たちもいます。