青年海外協力隊帰国後の就職・転職状況
青年海外協力隊帰国後の進路はさまざま
青年海外協力隊の任期を終えて帰国した人の進路は、さまざまなケースがあります。
JICAが2017年度帰国隊員を対象に実施した調査によれば、約6割が就職、約2割が復職、約1割が進学・復学となっています。
大学在学中に休学して海外の派遣先で活動した場合、帰国後は復学して引き続き勉強に励む人が多いようです。
大学卒業と同時期に、新卒の立場で青年海外協力隊に参加した場合は、あらためて民間もしくは公務員の就職活動をするか、NPO団体の職員になる人が多くいます。
一方、すでに社会人経験のある人が青年海外協力隊に参加した場合には、再び転職という形で会社で働き始める人もいれば、起業に挑戦する人もいます。
以前勤めていた会社の理解があれば、再び前職に戻ることも可能でしょう。
2年間も日本での仕事から離れていると、再び就職・転職する際に不利になるのではと心配する人もいるようです。
ですが、発展途上国でのボランティアに2年間参加して得られるスキルや経験は、国際協力関係、教育関係をはじめ、さまざまな分野の仕事に生かせます。
語学力が求められる職場では、海外での生活やボランティア活動の経験がプラスに評価されることもあるようです。
20代で正社員への就職・転職
就職先は紹介されないが、支援制度はあり
注意しておきたいのは、青年海外協力隊から帰国しても、JICAが就職先の紹介やあっせんをしてくれるわけではないということです。
自分で次の進路をよく考えて、希望の道に進めるよう努力していかなくてはなりません。
ただし、JICAでは帰国隊員向けの就職情報の提供やセミナー開催などの情報を提供していたり、就職に役立つ研修を実施していたりと、さまざまな支援制度を設けています。
必要に応じて、帰国後の進路相談やキャリアに関するアドバイスにものってもらえるため、そういった支援制度を積極的に活用して就職・転職先を決めていく人が多いようです。
国連ボランティア(UNV)へ参加する道も
青年海外協力隊に参加した人は、「UNV制度」というものを利用して、さらに国際ボランティア活動に取り組めます。
UNVとは、国連ボランティア計画が派遣するボランティアのことです。
JICAでは青年海外協力隊OB/OGを対象に、国連ボランティアの派遣にかかる費用を負担する「JOCV枠UNV制度」を設けています。
この制度を利用するには、2年間の任期を終えて帰国してから、JICAに申請し、推薦を得なくてはなりません。
そしてUNV事務局などによる選考に合格すれば、国連ボランティアとして再び国際的なボランティア活動に参加可能です。
通常の国連ボランティアは、全世界からの応募者で選考されるため、非常に倍率が高くなっています。
しかし、JOCV枠で応募すれば、JICA推薦者間のみでの競争となることから、比較的合格しやすいといわれています。