女性の航空整備士のキャリアパス・結婚後の生活
女性の航空整備士の現状
航空整備士全体で見るとその大半は男性が占めており、職場によっては、女性はわずか数%ほどしかいないこともあります。
たとえば大手の航空整備会社「JALエンジニアリング」では、航空整備士3000人のうち女性はわずか150人程度であるとのことです。
航空整備士が体を動かす仕事であること、また日常的に機械や大きな部品を扱う仕事でもあるため、やはり女性よりも男性に好まれがちな側面が多く、そういった部分が女性不足に関係しているようです。
とはいっても、近年は少しずつ女性航空整備士の人口は増加しつつあり、女性整備士のことを考え、出産や育児をサポートする仕組みを充実させる整備会社も増えてきています。
また女性がキャリアを形成する環境も整ってきており、一例を挙げると、2010年にはJALで初となる女性の中・大型旅客機「ライン確認主任者」が誕生しています。
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女性の航空整備士の強み・弱み
女性ならではの強み
航空機の整備は一人で行うのではなく、何人もの同僚整備士たちと力を合わせて進めます。
よい仕事をするにはチームワークが重要で、周囲と円滑に意思疎通が行える「コミュニケーション力」も問われます。
一般的に女性は男性よりもコミュニケーション力が高いといわれることが多い、女性ならではの細やかな気遣いや配慮が強みとなってくれる場面もあります。
また、航空整備の現場では間違いは許されず、小さな部品一つひとつまで漏れなく確実に整備する必要があります。
そのため、女性ならではの細かさ、丁寧さ、慎重さなどが生きることもあります。
女性ならではの弱み
女性の場合は、「身体面」や「体力面」がどうしても男性より不利になりがちです。
たとえば、手の届きにくい高所の整備ですと身長の低い女性では不利になりやすく、重いパーツを運ぶ場面では、筋力の少ない女性では不利になりやすいです。
また、24時間体制の整備が行われている空港では、日勤や夜勤が入り乱れた不規則な生活となることも多く、それで身体を動かす作業が続くと、肉体への負荷は想像以上に大きなものとなります。
とくに女性の場合は、そのようなハードな環境に適応するためにも、基礎体力を上げるための身体づくりや体調管理が求められてくるでしょう。
航空整備士の結婚後の働き方・雇用形態
女性航空整備士は、結婚を期に寿退社していく人も一部いますが、仕事にやりがいを感じている場合、結婚後もそのまま働き続ける人はめずらしくありません。
結婚によって雇用形態などが変更になることは少なく、もともと正社員で雇用された人であれば、結婚後もそのまま正社員として雇用されるのが基本です。
結婚後も働き続け、キャリアウーマンとして出世していく女性もいます。
また、結婚後に出産した女性に対し、「出産休暇」「育児休暇」など、お母さん向けの休暇制度を用意している航空整備会社も多いようです。
なかには何年間も育児休業が貰え、復職後も「時短勤務制度」などを利用して働ける会社もあるため、そのような会社に勤められれば、子育てや家事による負担も軽減できるでしょう。
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女性の航空整備士は子育てしながら働ける?
実際に、子育てをしながら働いている航空整備士もいます。
ただし、航空整備士には、次のような子育てをするうえでの弊害となる要素も存在します。
<航空整備士が子育てをする上での弊害要素>
・普段から身体を動かす仕事であるため、子育てとの両立は肉体的にハードになりやすい
・帰宅後毎日のように資格勉強が必要になる時期もあり、勉強と子育ての両立は時間的にハードになりやすい
・空港などでは、「夜勤」を含めた3交代制の不規則勤務となるため、子どもの生活時間と合わせにくい
・空港などでは、「休日」もシフト制となり、子どもの学校の休みと合わせにくい
など
とくに「空港」で働く航空整備士は、シフト制の不規則勤務である分、子育てと両立することで掛かる負荷は大きくなりやすいです。
航空整備士は女性が一生働ける仕事?
航空整備士はファッションモデルなどのように、若い女性としての容姿や感性などが求められる仕事でもありません。
それよりも、長年培った経験、技術、資格などが生きてくる仕事です。
また、航空整備の現場は全体的に高年齢化が進んでおり、今現在の中心層は40代~60代となってきています。
さらに昨今は、航空整備士の人手不足が進んでいることもあり、「定年後再雇用」も積極的に実施されています。
そのような状況ですから、年齢を重ねても比較的続けやすい仕事で、経験のある航空整備士であれば60代以降も現場で活躍し続けることも可能です。
ただし、航空整備士の仕事は、重いパーツを運んだり、冷暖房のない環境で長時間作業したり、夜勤で不規則な生活になったりと、身体を酷使する部分も多いです。
高齢になってもそのような環境下で活躍していくには、日頃から身体づくりを怠らず、若い肉体を維持していくことがテーマとなってくるでしょう。