キックボクサーに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
キックボクサーに向いている性格・適性
魔裟斗は、2008年「K-1 WORLD MAX」で世界王者になったとき、リング上でのインタビューに答えて、「俺は1%の才能と99%の努力でここまできた。継続は力じゃないけど、ずっと続けてきたことがこのチャンピオンベルトにつながったと思います」と話していました。
魔裟斗がK-1チャンピオンになったのは、キックボクサーとしてデビューしてから9年目のことです。
デビュー直後には、ライバルとされた小比類巻貴之と対戦し、ヒザ蹴りの連打を受けて3RKO負けをしています。
直前になって試合への出場を拒否して「敵前逃亡」と批判されたこともありますし、判定負けした後、控室へ向かう通路で号泣したこともありました。
それでもコツコツと努力を重ね、絶頂期のK-1で2度も世界王者に輝きました。1%の才能を毎日のたゆまぬ努力で花開かせたのです。
キックボクサーとして長く選手生活を続けられるのは、この魔裟斗のように、基礎技術のレベルアップと1%の才能を開花させるため、コツコツと努力を続けられる人です。
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キックボクサーに必要なスキル・能力
仕事とキックボクシングを両立させなければならない
キックボクシングが大好きなことに加え、相当な覚悟がなければ、長くは続けられないでしょう。
キックボクサーとして活動しようと思うと、耐えねばならないことが多いからです。
まず、キックボクシングでは、たとえ日本チャンピオンや世界チャンピオンになったとしても、ファイトマネーでは生活できません。
他の仕事をもつか、アルバイトをすることになりますが、強くなるには、最低でも週5日はジムに通い、2、3時間のトレーニングをする必要があります。
平日、仕事帰りにジムへ寄れば、帰宅は夜の9時か、10時頃。クタクタで、お風呂に入って寝るしかないという生活が続きます。
仕事とボクシングを両立させることは、心身ともに大変です。
相当な痛みや体へのダメージにも耐えられる人
キックボクシングでは、パンチとキックに加え、ヒジ打ちや膝蹴り、首相撲も認められています。
とくにヒジ打ちや膝蹴りの威力は強烈で、まともにくらえば相当な痛さで、ケガや打撲をすることも頻繁にあります。
キックボクサーは顔やボディへのダメージや相当な痛みにも、じっと耐えなければなりません。
さらに、まともにヒジ打ちや膝蹴りを受けても、逆襲に出るくらいの闘争心も必要です。
高校を中退した魔裟斗が、キックボクシングを始めた理由は「ケンカにつかえそう」だったそうです。
しかし、実際にケンカに使うのは論外ですが、それくらいの強い気持ちがなければ、キックボクサーとして第一線で戦い続けるのは難しいでしょう。
キックボクサーの練習方法・トレーニングの内容
キックボクシングの基本中の基本は構え方
スポーツは何でも同じですが、キックボクシングも、まず基本が大切です。
キックボクシングの基本中の基本といえば、構え方です。
攻撃と防御、すべての動きがスムーズにできる構えが理想とされ、その基本ができなければ、パンチやキックを覚えても、なかなか強くなれないといわれています。
ところが基本中の基本である構え方でも、日本のキックボクシングとタイのムエタイでは違っています。
さらに、日本のキックボクシングでも、教える人によって構えの基本が違っているほどです。
大切なことは、教えてもらった構えをベースにしながら、自分にとって攻撃と防御がスムーズにできる独自のスタイルを確立していくことです。
ムエタイとキックボクシンはもちろんですが、キックボクシングの国内団体によってもルールや判定の基準が違っています。
試合に勝つためには、ルールや判定の基準によって戦術や戦い方も変わります。
それを考えれば、基本の構えがそれぞれに違っても当たり前のことです。
基本の構えが違えば、パンチやキックの出し方も微妙に違ってきます。
キックやパンチでも基本をベースにしながら、自分に合ったスタイルを見つけ出していくことです。
普段のトレーニングは実戦を想定して行う
ふだんのトレーニングは、サウンドバック打ちやミット打ち、シャドーボクシング、スパーリングなどが中心です。
これらのトレーニングを行う時は、常に攻撃と防御の基本を意識しつつ、実戦を想定した練習をすることです。
実戦を想定せず、単にパンチやキックを浴びせているだけでは、ストレス解消のための練習と変わりません。
試合に勝つのが目標なら、キックとパンチのコンビネーションや攻撃と防御の連動性を考えて練習します。
強いキックボクサーほど、常に実戦を意識しながら練習しています。
スタミナ作りのためのロードワークと、キックやパンチにパワーをつけるためのウェートトレーニングも必要です。
練習メニューの中にうまく組み込み、継続していくことが大事です。
体の柔軟性を身につけるとパンチやキックにキレがでる
ジムでは、通常、トレーナーに教えてもらいます。
また、スパーリングのように相手のいる練習は、同じジムの所属選手と組んで行います。
試合が近づくと、現役のプロ選手や、元プロ選手で定期的に教えに来ているコーチに練習相手になってもらうこともあります。
練習の前後にストレッチングなどを入れて、体の柔軟性を養うことも大切です。
体が柔軟になると動きにスピードとキレが出て、パンチやキックも威力が増します。
キックボクシングは、ランキングが上がると、対戦する相手も強くなってきます。
それだけトレーニングのやりがいがありますが、攻撃や防御のテクニックが急激に上達することはありません。
ランキングが上がることを目標と励みにしながら、コツコツと努力することが大切です。
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キックボクサーの身体能力・キックのテクニック
キックボクサーの身体能力
キックボクシング界のトップ選手である、那須川天心選手はかつて、「フィジカルトレーナーには「身体能力は並」と言われます」と語っていました。
その上で那須川選手は「試合中は無いけど、試合前の恐怖心があります。 勝つために何をしようと常に考えて練習していて、そこで補っているというか、そこは人より優れている部分かなと思う」と、怖さを補うために練習を工夫し集中するとのことでした。
もちろん、一定以上の身体能力がなくては格闘技の世界で生き残っていくことは不可能です。
しかし、それ以上に試合に向けた工夫や、適切な練習の仕方を考え、実践していける力は、世界のトップに行くために必要なことがわかります。
いま自分に必要な練習が何か、向上しなくてはいけないのはどのような技術か、常に自分と向き合い続ける必要があります。
キックボクサーのキックのテクニック
的には足の甲ではなく、スネを当てる
キックボクシングの初心者には、足の甲でサンドバックをベシーンと大きな音を響かせて蹴っている人がいます。
格闘技の種目によっては、足の甲で蹴る方法もあるものの、キックボクシングでミドルキックは、的にスネを当てます。
実戦でいえば、相手の肋骨に真横からスネを叩き込むというイメージです。
しかも、キックボクシングはムエタイがルーツですので、キックのときも、できるだけ全身から無駄な力を抜きます。
こうすることでキックに体重が乗り、重くて衝撃度の強いキックになるのです。
強い選手は、脚全体からムダな力が抜けています。
そのため、スネが相手の脇腹に当たると同時に、脚がしなって脇腹から背中にムチのように巻き付きます。
脚がムチのようにしなるミドルキックは、足の甲を叩きつけるキックと比べて威力が相当高くなります。
ハイキックでは足が相手の後頭部を直撃する
キックボクシングのハイキックは、片方の足を振り上げ、スネを相手の顔に入れます。
上級者のハイキックは、脚のムダな力が抜けており、スネが耳のあたりに当たった瞬間、足首が相手の顔に巻き付き、後頭部に大きな衝撃を与えます。
ハイキックが、まるでムチのようにしなって入るのが特徴です。
ハイキックで、大切なのは股関節の柔らかさです。
股関節が柔らかくなければ、そもそも脚が高く上がりませんし、脚全体がムチのようにしなりません。
基本に忠実にハイキックの練習をすれば身体能力が上がる
逆にいえば、基本に忠実にハイキックの練習を繰り返していると、しだいに股関節が柔らかくなります。
股関節が柔らかくなると、全身の筋肉も柔らかくなり、身体が以前より軽く感じられます。
身体が軽くなると、自分の身体の動きがよくわかるようになります。
そして、自分の身体の動きがよくわかるようになると、今度は自分の思い通りに動きやすくなります。
基本に忠実なミドルキックやハイキックの稽古を繰り返すと、たいていの人は、自分の身体能力がアップしたと感じられます。
キックボクサーに向いていないのはどんな人?
キックボクシングの1ラウンドは3分と長くはありませんが、相手に的を絞らせないように動き続けるスタミナとスピードが要求されます。
加えて、決して恵まれてはいない環境や報酬の中でも「チャンピオンになる」という高い目標に向かって努力を続けない限り、栄光に手は届きません。
また、格闘技である以上、相手からの攻撃を受ける痛みを伴います。
こうした厳しさに打ち勝って、さらにハードなトレーニングを積める強い心を持ったものでなくては、キックボクサーとしての成功はのぞめません。