独学で翻訳者(翻訳家)になれる? どんな勉強が必要?
翻訳者を独学で目指す人はいる?
翻訳者として仕事をするにあたり、必須の資格や学歴はとくにありません。
したがって、独学でも翻訳者となって仕事をすることは可能です。
とくにフリーランスの翻訳者として仕事をしていこうと思うならば、「フリーランスの翻訳者です」と名乗りさえすれば、誰でも今日から翻訳者家になることができます。
しかしながら、継続してクライアントから仕事を請けて、腕ひとつで質のよい翻訳ができる翻訳者になるためには、確かな基礎力を身につけるのが不可欠です。
そのためにも、実績を積み上げていくのに加え、客観的に自身の翻訳スキルを証明できる資格を取得していくことも重要です。
ここからは、翻訳者に関する実力を示せる資格対策として、取っておいて損にはならない語学関連の資格を独学で勉強するメリットやデメリット、おさえておきたいポイントを紹介します。
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取っておくべき語学関連の資格は?
英語の翻訳をするうえで、「実用英語検定1級」と「TOEICスコア900点以上」の2つのレベルをクリアしていることはもはや必須といえます。
そのほか、一般社団法人日本翻訳協会が主催する、「JTA公認翻訳専門職資格試験」、厚生労働省認定の「翻訳技能審査」などを取得しておくと、翻訳者としての活動のほかに、就職や仕事にも有利になります。
英語以外の言語で翻訳者を目指す場合でも、各種外国語の実用技能検定がいくつかあるので、ぜひチャレンジしてみましょう。
語学系の資格試験を独学で勉強するメリットは?
費用を抑えられる
独学で勉強することの大きなメリットのひとつは、語学試験対策講座やコースを受講するよりも費用を大幅に抑えることができる点です。
かかる費用はテキストや過去問程度で、市販のものを購入すれば、1冊あたり数千円程度でそろえることができます。
通学講座より割安であることが多い通信講座であっても、受講時は少なくとも数万円前後はかかってしまいますので、独学だと費用面で大きく抑えられます。
費用を抑えながら語学系資格を取得したい人には、独学はおすすめの方法です。
また、さらにコストをかけたくない人は、スマホの無料アプリで過去問を探すことも可能です。
自分のペースで学習できる
独学で語学の勉強を進める選択をすると、仕事や家事・育児などのすきま時間をうまく有効活用しながら自分のペースで学習することができます。
ただし、学習スケジュールを自分で計画的に立てられない場合や、どうしても後回しになってしまうことなどが時間管理の面でハードルになる可能性があります。
コツコツと根気よく最後まで計画的に学習を進められる性格の人には、マイペースで勉強に取り組める独学はメリットが多いでしょう。
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独学で勉強するデメリットは?
インタラクティブな勉強や練習ができない
語学系の資格試験のなかには、スピーキングやライティング、面接などの一問一答勉強では対応できない種類の試験が課される場合があります。
とくにスピーキングやライティングは、自分一人で採点ができる種類のものではありませんので、できることならばネイティブで添削をしてもらえる環境が望ましいです。
リアルな友人やWebサービス、アプリを使ってネイティブスピーカーが語学学習を手伝ってくれるものもありますので、それらを上手に活用しましょう。
テキストや過去問選びで迷ってしまう
語学系試験対策の過去問、問題集や単語集は数多く出版されているため、どこの出版社の過去問や基本テキストを選ベばよいか迷ってしまうこともあるでしょう。
複数冊試験対策の過去問や問題集、単語集を購入したとしても、結果的に手を付けずに終わってしまうとかえって試験範囲を取りこぼすことになりかねません。
独学での学習は、教材選びからハードルが高めになってきます。
自分で学習スケジュールを管理する必要がある
独学で語学系試験のための対策をする場合には、当然試験当日までの学習スケジュールは自分で立てる必要があります。
しかし「1日何時間勉強しよう」と目標を立てても、仕事の忙しさや時間管理の難しさなど、生活環境によってはなかなか継続しづらい面があるかもしれません。
独学で学習を進める場合は、ライフスタイルや学習を始める時期なども考慮しながら無理のないスケジュールを立てる必要があるでしょう。
翻訳者の訓練・ブラッシュアップ
訓練のやり方はさまざま
翻訳者は、自分の実力が常に試される職業です。
自分が作り上げた結果が直接反映されるものであり、ミスや間違いはすべて自分の責任です。
とくに個人で仕事を行っている場合は、誰かに責任転嫁をすることもできず、評価は直接自分に返ってきます。
訓練のやり方に正解はありませんが、以下のようなことをする人が多いです。
たとえば字幕翻訳に従事している人の場合、仕事がないときでも必ず1日に1回は映画やDVDを借りてきて観るそうです。
内容をすべて理解できるかどうか、自分ならどうやって字幕を作るか、といったことを参考に考えながらトレーニングします。
もし何か引っかかる場面や疑問点があればそのままにはせず、ちゃんと調べ上げてノートやファイルに蓄積していくことも重要です。
そうやって将来の自分のウィークポイントとなる可能性になるものを埋めていき、日頃から欠かさず翻訳の能力の向上を目指す必要があります。
できる人ほど日ごろの努力を怠らない
ほかにも該当分野の外国語の学術論文などに目を通したり、新技術やトレンドなどを扱う雑誌などは欠かさずにチェックたりして、時代遅れになったり知識が古びたりしないように努力している人もいます。
また、日本語の美しさに定評のある作家の本をそろえ暇さえあると書き写している人や、俳句や詩を読んだり覚えたりして語彙力を増やし、原文に負けない文章力を備えようとしている人など、訓練の方法はさまざまです。
こうした日ごろの蓄積が現場での仕事で役立っていくことになるわけです。
「エリート翻訳者」と呼ばれるクラスの人や高給の単価で仕事を行っている翻訳者ほど、こうした努力を怠りません。
営業面の努力
フリーランスの翻訳者はいわば自分が経営者ですから、人脈や交渉する力、人間性なども重要になってきます。
いまは競争が激しいので、複数の翻訳会社のトライアルを受けてツテを増やしておいたり、現在の仕事に満足せず、別の新たな会社への登録や違う分野にも挑戦して、代替手段を増やすのもひとつのあり方です。
個人で仕事を行うからこそ、収入を失うリスクを分散させるのは生計を立てていくうえでも大切です。
自分の腕一本で食べていくには、このようなさまざまな継続的な努力が欠かせません。