プロゴルファーになるには? 必要な資格・年齢の上限・プロテストについて解説
ゴルフの世界特有の試験やライセンスなどもあるため、きちんと情報を集め、早めに準備をしていくことが大切です。
この記事では、プロゴルファーになるための道のりや、資格、プロテストなどについて詳しく解説します。
プロゴルファーになるまでの道のり
まずは、プロゴルファーになるまでの道のりを見ていきましょう。
日本プロゴルフ協会の認定が必要
プロゴルファーには、大きく分けて、ゴルフのツアートーナメントに競技者として出場する「トーナメントプレイヤー」と、ゴルフを指導するプロである「ティーチングプロ」の2種類の人たちがいます。
日本では、プロゴルファーになるためには、男子は日本プロゴルフ協会(JPGA)、女子は日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)から認定される必要があります。
これは、トーナメントプレイヤー、ティーチングプロのどちらを目指すにしても同じです。
プロゴルファーの種類1.トーナメントプレイヤーになるための方法
トーナメントプレイヤーになるためには、2種類の方法があります。
- アマチュア時代にツアートーナメントで優勝する
- プロテストに合格する
以下で、それぞれについて説明します。
1.アマチュア時代にツアートーナメントで優勝する
男子は16歳、女子は18歳以上という年齢基準を満たすアマチュア選手が、ツアートーナメントに参加して優勝すると、プロ宣言を行うことができます。
プロ宣言を行えば、プロゴルフ協会からもツアープロとして認められます。
宮里藍選手や石川遼選手、松山英樹選手は、この方法で高校や大学の在学中にツアープロとなりました。
2.プロテストに合格する
たいていの選手は、日本プロゴルフ協会(JPGA)と日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が実施するプロテストを受け、合格することでツアープロとして認定されます。
男性は、その年に16歳以上となる人、女子は、最終プロテスト開催年度の4月2日時点で満17歳以上という条件を満たせば、プロテストを受けることが可能です。
プロテストは、「プレ予選」「第1次」「第2次」「最終」の4段階に分かれ、それぞれの段階で2〜4日間の競技を行い、成績上位者が次の段階に進みます。
(※女子の場合は「プレ予選」はありません)
アマチュア大会での成績優秀者や関連団体からの推薦者、ティーチングプロなどは、実力に応じて各段階の予選が免除されます。
ツアープロとして認められるのは、最終プロテストの上位50位まで(男性)、同じく上位20位まで(女性)の選手たちです。
ただし、この資格を得ただけでは、ツアートーナメントに参加できません。
毎年実施される「クオリファイングトーナメント(QT)」に参加して、成績上位に入って出場資格を取得することも必要となります。
プロゴルファーの種類2.ティーチングプロになるための方法
ゴルフを教えるティーチングプロになるためには、日本プロゴルフ協会(PGA)の研修を受けることが、最初のステップとなります。
そして、技術や筆記を含めた試験を合格し、資格を得ることでティーチングプロとして働けます。
ティーチングプロの資格は、「ティーチングプロB級」と「ティーチングプロA級」の2種類に分かれています。
どちらも受験資格は「受験年度に20歳以上に達する者」です。
ティーチングプロB級
ティーチングプロB級は、ティーチングプロを目指す人が最初に取得する資格です。
試験の流れは、書類審査後のプレ実技審査からスタート。これに通過すると、実技審査、筆記試験、面接審査が行われ、これらに合格したのち講習(合計26日間)を受講します。
ここまで修了し、入会セミナーを受ければB級資格を取得することができます。
B級の合格率は50%以下ともいわれており、決して簡単な試験ではありません。
ティーチングプロA級
ティーチングプロA級は、B級よりも上位の資格です。
B級の試験内容に加えて、さらに16日間の講習を受けることによって、資格を取得できます。
参考:プロテストには受験料と認定料などで100万円以上かかる
トーナメントプレイヤーを目指す人が受けるプロテストは、受験料が必要で、総額で20万円以上になります。
会場までの交通費と宿泊費も必要ですし、合格すると、認定料やセミナー料などで80万円以上のお金がかかります。
つまり、受験料や認定料などで100万円以上の額が必要というわけです。
それに、プロテストを受けるまでにかかったレッスン料やゴルフ場の使用料などを入れると、かなりの額にのぼります。
こういった事情から、ゴルフ場で働きながら練習する研修生制度が設けられています。
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プロゴルファーになるための学校
ここからは、プロゴルファーになるために、どのような学校に通えばいいのかについて紹介します。
ゴルフ強豪校に進学する
ツアープロとして活躍する選手の多くは、野球やサッカーなどと同様に、日本各地のゴルフ強豪校に進学しています。
たとえば、沖縄出身の宮里藍選手は宮城県の東北高校に進学しています。
大学のゴルフ強豪校としては、東北福祉大学が有名です。
この大学は、松山英樹選手など多くのツアープロを輩出し、現在アマチュアで大活躍の金谷拓実選手も在学中です。
こうした厳しい環境に身を置いて、プロを目指し研鑽を積み重ねる必要があります。
ゴルフ留学の道もある
プロゴルファーを本気で目指すのなら、10代のうちにゴルフ留学をするのもひとつの道です。
留学先は、冬でもラウンドができるように、暖かくて雨や雪の少ない地域がベストです。
具体的にはアメリカの南部か、西海岸、オーストラリア、ニュージーランドの人気が高くなっています。
長期の留学では、現地のゴルフアカデミーに入学します。
寮に入り、提携先の中学や高校に通いながら、平日は午後からレッスンを受け、週末はトーナメントに出場します。
ゴルフ留学のメリットは、恵まれた環境でゴルフ漬けの日々が送れることがひとつ。
また、世界各地から集まる同世代のゴルファーと競い合って友人になれることや、ゴルフを学びながら英語も習得できることなどが挙げられます。
プロゴルファーに向いている人
プロゴルファーには、スポーツ選手の中でも、高い集中力が求められます。
ここでは、プロゴルファーに向いている人や適性の一部を紹介します。
プレッシャーにも負けないタフな精神力
「ゴルフには精神力が重要」と、よくいわれます。
実際、焦って手元がちょっと狂っただけで、ボールは予想もしていない方向に飛んでいってしまいます。
有名プロゴルファーでも、プレッシャーに負けて惨敗してしまう姿をテレビで見かけることがあるでしょう。
プロゴルファーとして成功した選手に共通する性格として、以下のことが挙げられます。
- 「失敗するんじゃないか」と考えるより、「うまくいく」成功イメージをもてる
- 失敗したからといってうろたえず、冷静でいられる
- プレッシャーを恐れず、やりがいととらえる
自分の精神状態がプレーにすぐ現れてしまうスポーツであるため、自分の精神をうまくコントロールできることが大事です。
努力を継続する力
プロゴルファーに向いている人は、コツコツと努力を続ける根気がある人です。
小学生か中学生のうちから、毎日コツコツとボールを打ってスイングの基礎を身につけたいものです。
そのうえで、自分の体や特性に合った、自分の描いた軌道のイメージ通りに飛んでいくスイングに微調整していきます。
高い集中力
競技中には高い集中力を発揮できる人も、プロゴルファーに向いています。
そうした選手は、パットを打つとき、グリーンの上に輝くようなラインが見えるそうです。
そして、そのラインが見えると、ボールは、そのライン上をきっちり転がっていくといいます。
このラインのことをゴルフ界では「樋(とい)」と呼んでいますが、集中力が高まると、そういう不思議なことも体験できるようになります。
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プロゴルファーのキャリアプラン・キャリアパス
競技に出るプロゴルファーは、プロになってからもツアーへの出場権を確保するべく「クオリファイングトーナメント(QT)」に参加して、成績上位に入る必要があります。
なお、日本のゴルフ界では毎年50人前後の新たなプロゴルファーが誕生します。
ライバルに囲まれながら厳しい戦いを制して、賞金を獲得していかなくてはなりません。
強い精神力でプレッシャーのかかるツアー大会で結果を出し、自身の技術を不断の努力で磨き続けていく日々は、引退するまで続きます。
厳しい闘いの日々ですが、ツアープロとして成功すればスポンサー企業を獲得できたり、メディア出演など露出が増えたりして、大会での獲得賞金以上の収入を得られます。
また、自身のゴルフの知識・技術を一般の人々に教えるティーチングプロであれば、ゴルフスクールでのレッスンなどを通じて、もう少し安定した働き方をすることも可能です。
実際に、プロゴルファーは、ツアープロよりも、ティーチングプロとして活躍する人のほうがだいぶ多いといわれています。
女性でもプロゴルファーになれる?
女性もプロテストを受ける権利があるため、プロゴルファーとして活躍することができます。
実際、第一線のプロゴルファーとして活躍する女子選手は、1000名以上いるといわれます。
ただし、プロテストの合格率は決して高くなく、年度によっては3%程度しかありません。
女子プロゴルファーに興味がある人は、一度、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のサイトをチェックしてみるとよいでしょう。
選手のプロフィールや戦績なども公開されています。
プロゴルファーを目指せる年齢は?
プロゴルファーのプロテストを受ける年齢の制限は、男子16歳以上、女子18歳以上です。
年齢の上限はないため、いくつになってもプロテストを受験することは可能です。
男子だと63歳(霍本謙一選手)、女子は43歳(鎮西まゆみ選手)がこれまでの最年長合格者で、ゴルフのプロテスト受験者のなかには70代のゴルファーもいます。
年齢を重ねてもプロになれるチャンスがあるのが、ゴルフの魅力といえます。
なお、現在は日本ゴルフ協会が、中年以上のプロゴルファー向けに「シニアツアー」を主催しています。
これは50歳以上のプロゴルファーが参加できる大会です。
また、女子ゴルフ界では45歳以上のゴルファーが参加できる「レジェンズツアー」があります。
「プロゴルファーになるには」まとめ
プロゴルファーは、男子16歳以上、女子18歳以上であれば目指すことが可能です。年齢の上限はありません。
女性プロゴルファーも多く、性別は関係なく、実力を発揮すれば第一線で活躍できるチャンスがあります。
ただし、この仕事でずっと生計を立てていくためには、プロゴルファーになってからもツアーに参加して成績を残し、賞金を獲得し続けなくてはならない厳しさもあります。
また、プロ選手として競技をするだけではなく、教えるプロとして活躍するティーチングプロになる道もあります。