専門商社業界(読了時間:11分21秒)

専門商社業界とは

専門商社業界とは、専門分野に特化した卸売などを生業とする専門商社で構成させた業界のことです。

専門分野に特化している分、あらゆる商品をあつかう総合商社と比べると規模が小さく、企業の数は圧倒的に多いのが特徴です。

また、年収は総合商社に比べると低いとされていますが、それでも他業界に比べると高いほうだといえるでしょう。

実際、平均年収が公表されている企業のトップ10を確認すると、のきなみ800万円台となっています。

ただし、年収が良い一方で働き方がハードとされる一面もありますので、仕事内容や職種も含めて専門商社業界について、詳しくご紹介していきます。

先に紹介したとおり専門商社の企業数は多く、特化している分野としてはたとえば以下のような分野が上げられます。

・繊維
・鋼鉄
・食品
・自動車部品
・医薬品
・医療機器
・その他多数

他にも多種多様な分野に特化している専門商社が数多くあり、1つの分野においても複数の専門商社があることが一般的です。

ちなみに総合商社は専門に特化せずに、なんでも取りあつかっている大型の商社といえ、三菱商事などを含めた、いわゆる7大商社のみが該当します。

専門商社業界の役割

専門商社が果たしている社会的な役割としては、大きく分けて以下の2点です

・国内外をつなぎ外貨を稼ぐ卸売業
・事業者同士をつなぎ、商品に付加価値をつけていくこと

上記2点について、詳しく説明していきましょう。

まず卸売業は、外国で仕入れてきたものを国内で販売したり、逆に国内で精算したものを外国で売ったりして外貨を稼いでくることです。

国内外のニーズや時代を先読みし、流通に関わる多くのことを解決して利益に変える仕事だとも言えます。

卸売業は、商社と聞いてイメージされることも多い、専門商社の基本的な仕事といえるでしょう。

次に、付加価値をつける仕事も専門商社業界で、最近多く行われています。

ときには事業投資を行って、メーカーや小売店に働きかけ、より顧客のニーズに応えられる独自性と付加価値のある商品作りをしているというわけです。

さまざまな立場の事業会社とやりとりをする専門商社ならではの役割といえるでしょう。

専門商社業界の企業の種類とビジネスモデル

特定のジャンルの商品をあつかうのが専門商社といっても、設立された背景などから、ある程度分類することができます。

具体的には、大きく分けると以下の3つとなります。

 ・メーカー系専門商社
 ・独立系系専門商社
・総合商社系専門商社

それぞれ有り様やビジネスモデルが異なり、就職してからのイメージに大きく影響しますので、詳しく解説していきましょう。

メーカー系専門商社

メーカー系専門商社は、商品を製造しているメーカーの販売部門が独立、あるいは中核として設立されたイメージの専門商社です。

したがって、基本的にはグループ会社の商品を主力として、販売や流通を行っています。

もちろん、より利益を上げるために、海外の商品を仕入れて販売するといったこともしていることが多いです。

代表的な企業としては、以下の企業などが上げられます。
 
・日産トレーディング
・日立ハイテクノロジーズ
・花王カスタマーマーケティング
 

独立系系専門商社

メーカーなどとは関連がなく、特定のジャンルでまったく新しく設立された背景を持っているのが、独立系専門商社です。

基本的には、特定のジャンルで独自のパイプや人脈を持っていることが多いでしょう。

また、独立系といっても閉鎖的なわけではなく、海外へのネットワークを積極的に作りにいったり、事業投資をおこなったりしていることも多いです。

あくまでも特定のジャンルで設立され、おのずと取り扱う商品もジャンル周辺のものになっているだけで、商社としての役割は同じと言えます。

代表的な企業を以下に上げましょう。

・阪和興業
・岡谷鋼機
・兼松

総合商社系専門商社

総合商社から一部の分野が独立して設立されるのが総合商社系の専門商社です。

基本的には、成長を目指せる分野への事業投資や小会社化により、設立されます。

総合商社は特定のジャンルを深掘りすることができないので、特化することが求められる一方で、親会社では手が回らない小規模な案件を扱うこともミッションの1つです。

代表的な企業は以下の通りです。

・三菱食品
・伊藤忠丸紅鉄鋼
・メタルワン

専門商社業界の職種

今回、具体的に紹介する職種としては、以下の4つです。

・営業
・技術営業
・営業・貿易事務
・事業・経営企画

注意点として、職種によってかなり求められる能力が変わるということが上げられます。

たとえば、事務であれば多言語で話せるのが望ましいですが、マーケティング能力はさほど必要ありません。

また、より企業の上流工程に関わる事業・経営企画の担当者になると、営業的なスキルよりもマネジメント能力などが重要になってくるでしょう。

というわけで、専門商社業界の仕事内容と職種のイメージをかためるために、それぞれの仕事を担当する職種とからめて、仕事内容を紹介していきます。

営業

企業によっては、国内と海外に担当が分けられることも多いです。

一般的な営業とあわせて、企画や調整をおこなって売上と利益を拡大していくための細かな業務もおこなうのが特徴です。

技術営業

機械やITなどの分野では、ユーザーへの説明やサポートなどが必要になります。

そのため技術営業職として、顧客対応などをしつつ、ときにはサポートサービスや商品を売ることもあるのです。

貿易事務

専門商社は多数の企業と関わりをもつので、事務職も外国語が求められます。

営業とのかけ橋や帳簿をつけるのはもちろん、他国との通関の手続きなどをすることもあるのが特徴です。

事業・経営企画

海外や国内の情勢をみて、既存事業や新規事業の計画を立てていくのが、事業企画職です。

国内で生産と販売が完結しているメーカーなどと比べると、やはり言語や世界情勢への理解が必要になり、企業の規模や分野によっては、経営とセットで担当することもあります。

専門商社業界のやりがい・魅力

ここまでご紹介してきた通り、基本的に専門商社は、特定ジャンルに特化した商社ですから、総合商社と共通しているポイントも多く、たとえば高めの給与などが該当します。

一方で、特定ジャンルに特化している分、総合商社よりも浅く、深い知識が求められ、知識を活かせる喜びもあることでしょう。

上記2点について、もう少し詳し紹介していきます。

責任ある仕事と高めの給料

冒頭でもご紹介差通り、専門商社のトップ10を確認すると、のきなみ800万円台と、他の業界と比べて高めの給与となっています。

一方で、海外を相手にする場合、時差の問題などから、タフさが求められるのも事実です。

逆にいうと、基本的にどの専門商社も取引先が多いですから、責任感をもてる仕事を担当できるといえます。

専門知識が身につくし、活かせる

特定ジャンルに特化した商品をあつかうわけですから、おのずと求められる知識は狭く深くなっていきます。

逆にいうと、深めてきた知識や経験が、存分に役に立ってくれるともいえるでしょう。

特に、学生時代に専門的におさめた分野と専門商社で扱っている商品に関連があれば、大きなやりがいと活躍が見込めます。

専門商社業界の雰囲気

ここからは専門商社業界の全体的な雰囲気についてご紹介していきますので、就職や転職の参考にしてください。

先に説明した通り、専門商社も3種類に分けることができ、雰囲気にも多少の違いが出てきます。

具体的には、総合商社系やメーカー系の専門商社は、親会社の社風に似ていることが多いとされています。

親会社から出向してくる人も多いのが理由であり、親会社商品への愛着やエリート意識などがあることも多いでしょう。

独立系の専門商社は、独自の歴史を誇りますから、より現場を重視する傾向にあり、比較的規模も小さいため、風通しがいい傾向にもあるようです。

挑戦的だったり、堅実的だったりなどの社風は企業毎に異なりますが、総じて売上高が高い傾向にある業界ですので、人材への投資にも力を入れている企業も比較的多いとされます。

専門商社業界に就職するには

専門商社業界への就職事情についても、詳しくみていきましょう。

志望動機などもみていきますので、ここまで業界ご紹介してきた中で魅力的に感じた部分があれば、要チェックです。

就職の状況

専門商社への新卒採用は毎年行われていますが、やはり給与面や安定性などから人気が高く、就職への難易度はそれなりに高いとされています。

とはいえ、総合商社と比べると、さすがに知名度などは落ち着いたものであり、あつかう商品が狭いこともあって、専門性や関連性のある学歴なら、有利にアピールすることも可能です。

ただし一般職だろうと総合職だろうと、基本的に大卒からの募集となっています。

というわけで、就職に有利になる要素などについて、もう少し掘り下げてみましょう。

就職に有利な学歴・大学学部

専門商社においても、総合商社と同じく難関や名門の大学生がライバルとして入社試験に挑んできます。

ただし、総合商社と比べると、専門商社の数やジャンルは多くありますので、知名度のある大学でなくても十分採用のチャンスがあります。

学部として多いのは、総合商社と同じく、法学部や経済学部、商学部などが一般的です。

ただし、先にご紹介した技術営業職を希望するなら、理系学部で学んだことが有利にアピールできることもあります。

他にも薬学部で医療関係、工学部の学生がプラント事業で有利になるなど、専門性と学んできたこととの接点が重要になってくるでしょう。

ちなみに一般的に修士や博士卒が優遇されるというわけでもありませんので、自己分析と会社分析をしっかりして、前向きに取り組んでいくべきです。

もちろん、大学で学んだことと商材に関連性があるなら、有名大学の生徒よりも有利になれる可能性もありますので、積極的に接点を探してみましょう。

就職の志望動機で多いものは

専門商社は特定のジャンルに特化しているわけですから、基本的に選んだ業界でなければ行けない理由などが志望動機の一部になることが多いようです。

また、同じ業界の競合他社ではなく、なぜ志望する専門商社を選んだのかという理由や取りあつかっている商材への想いなどが、志望動機として定番で多いでしょう。

専門商社業界の転職状況

続いて専門商社業界への転職状況についてもみていきましょう。

募集の多い職種などについて、詳しく紹介してきますので、ぜひチャレンジするかどうかの参考材料にしていただければと思います。

転職の状況

総合商社と比べると、専門商社の中途採用は控えめです。

というのも、専門商社業界において大企業の数は、そう多いといえないためです。

とはいえ、企業数自体は多く、複数のジャンルに目を向ければ求人の数に困ることはないでしょう。

実際、定年退職などで毎年退職者は出ていますし、通年で中途の募集がかけられている企業も少なくありません。

すでに社会人経験があり、これから化粧品メーカーで働きたいという人にも、チャンスは十分にあるといえるでしょう。

転職を考える場合には、企業側が求める人物像と自分のスキルをしっかりと照らし合わせ、入念な準備をして試験に臨む必要があるでしょう。

転職の志望動機で多いものは

中途採用の場合、単勝なりとも即戦力になることが求められますので、やはり希望職種への経験やスキルなどと関連させるパターンが多い傾向にあります。

もちろん、なぜその専門商社でなければいかないのかといった、モチベーションに繋がる部分も重要です。

専門商社はBtoBで働きぶりがすぐには見えてこない業界なので、しっかりと研究しておきましょう。

転職で募集が多い職種

最も募集が多いのは、やはり営業職です。

もちろん、あなたに専門性やスキルがあれば、営業職の経験がなくても採用される可能性はありますし、企画や広報などの部門での採用も考えられます。

また、新規事業の立ち上げによる募集であれば、一気にマーケティングや事業企画などの上流工程のポジションに挑戦できることもあるので、実力に自信があるならチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

国内から海外まで多数の事業者と調整を進めていくのが商社の主な役割ですので、折衝能力や外国語を含めたコミュニケーション能力はアピールしたいところです。

また、営業や企画、広報などの経験があると評価される傾向にあります。

また、昨今は商品に付加価値をつけることも専門商社の重要な役割なので、企画やマーケティングスキルもあると転職しやすいといえます。

専門商社業界の有名・人気企業紹介

ここからは、専門商社業化における代表的な企業を紹介していきます。

具体的には、専門商社の種類ごとに、代表的な企業をひとつずつ紹介していきますので、ぜひ、志望動機作りや就職時の働き方のイメージを固める参考にしてください。

メタルワン

2003年に三菱商事と双日の出資によって設立された総合商社系専門商社がメタルワンです。

鉄鋼の分野における専門商社ではありますが、4つの営業部署や多数の事業を営んでおり、社員数も1000名をこえる大企業でもあります。

メタルワン ホームページ

花王グループカスタマーマーケティング

マーケティング強いといわれる大手化学メーカー花王を支えているのが花王グループカスタマーマーケティングです。

花王製品の販売に集中し、連結での年間売上高8,449億円(2017年)を誇ります。

https://www.kao.co.jp/employment/kcmk/ ホームページ

阪和興業

1947年創業の独立系の専門商社です。

専門分野や鉄鋼でしたが、現在は非鉄金属や食品、化学品など多角化しているのが特徴です。

独立系の専門商社としては、最大級です。

阪和興業 ホームページ

専門商社業界の現状と課題・今後の展望

最後に、専門商社業界の現状と課題、今後の展望をまとめて、ご紹介していきます。

あなたが専門商社業界で活躍していけそうかやキャリアパスを明確にしていくためのヒントにしてください。

競争環境(国内・国外)

競争環境は特化しているジャンルにもよりますが、基本的には成熟した市場での安定したシェア争いをしているといえるでしょう。

一方で、流通の中間排除への動きがあるのも事実で、Eコマースの普及によって、合併や統合などによる再編の動きが活発になってきています。

最新の(技術の)動向

国内の人口減少や経営の効率化をすすめたい背景などにより、M&Aの流れが加速するといわれています。

一方で、海外進出もトレンドになっており、たくさんの企業が東南アジアや欧州、北欧などで新たな市場を開拓しようとしています。

進出した先の国でいかに根ざした経営をするかかが今後の競争環境のキーともいえるでしょう。

業界としての将来性

現状安定していますが、やはりグローバルに適応できるかが、将来性の重要なポイントになってきます。

サプライヤーとの直接取引する小売業者が増えてきており、単純に販路をつくるだけでは専門商社が安定した成長を続けるのは厳しくなっていくでしょう。

基本的には、付加価値をつけるのが上手かったり、グローバルや多角的に展開したりすることに長けた企業が生き残っていくでしょう。

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