環境科学とは? 大学で学ぶことや就職先は?

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環境科学の概要・理念

環境科学における「環境」とは、自然環境や環境問題はもちろんのこと、私たちが暮らす社会環境や都市の環境といった広い範囲を指しています。

環境科学では、私たちを取り巻くさまざまな環境について、理学、工学、医学農学をはじめ、社会学法学経済学などの観点から検証します。

近年、環境問題において注目されているキーワードの1つに「持続可能な社会」があります。

科学技術や産業の進歩は私たちの暮らしをより便利で快適なものにしてきた一方で、大気汚染やごみ問題、騒音といった問題を引き起こしています。

短期的な利便性を追い求めるだけでなく、将来を見据えて暮らしやすい環境を考える必要があると、多くの分野の研究者が真剣に考え、研究を進めているのです。

環境科学には文系・理系の垣根はありません。

環境に関する課題を解決するために、あらゆる分野の知見を活用するのが大きな特徴です。

このように、環境について総合的な観点から取り組む環境科学は、次世代の社会を築いていくために欠かせない重要な学問分野といえるでしょう。

環境科学で学ぶこと

環境科学は環境全般に関する広い範囲を研究対象とすることから、求められる知識の裾野も広くなります。

そのため、1・2年次には化学生物学地学についての基礎的な知識を確認しつつ、専門科目の研究に入っていくための土台を作っていきます。

研究分野をある程度絞っている大学がある一方で、研究テーマの自由度の高い大学もあります。

中には、経済学や社会学といった科目を履修し、理解を深めるケースもあります。

3・4年次になると、実習やフィールドワークを通じて調査や検証を行い、より実践的な形で研究が進められます。

とくにゼミが始まると、専門分野の研究を進めるために必要な研究手法や実験の方法を習得しながら、卒業研究に向けての準備を進めることになります。

環境科学の大学での授業科目の例

化学生物環境学

化学・生物学・環境学を融合させ、それぞれの知見を越境することで環境化学について総合的に考える土台を作ります。

地球環境科学

人間の活動が環境に与える影響について、地球規模で気候変動や汚染問題を探求していきます。

生物多様性学

地球上に生息する豊かな個性を持つ生物や生物同士のつながりについて、進化の過程を踏まえて学びます。

森林生物学

生態学や遺伝学の観点から、森林を形成する動植物の行動様式や相互作用について研究します。

海洋生物学

海に生息する生物の生態や行動について学ぶとともに、自然環境の保全などの観点からも研究を進めます。

環境科学のレポート・テーマの例

環境科学は研究対象とする分野が幅広いことから、レポートについても多様なテーマのものがあります。

身近なごみ問題を取り上げることもあれば、地球規模での環境問題に関する考察、電子機器などが私たちの心身に与える影響といったように、扱う問題はさまざまです。

  • ・家庭ごみ受領削減法について
  • ・浮体式洋上風力発電について
  • ・遺伝子組み換え作物について
  • ・ブルーライトと白内障の関係

環境科学と関連する学問

環境科学と似た名称の学問に環境工学があります。

環境科学が現在起きている現象や問題点を明らかにし、それらの解決策を摸索するに対して、環境工学では明らかになっている問題を解決するための技術を考案するなど、具体的な解決策について考えます。

環境科学は環境という多くの要因が絡む複雑な問題を扱うことから、化学、生物学、医学、農学、社会学、法学、経済学など、関連する学問分野が非常に広い範囲にわたっているのが特徴です。

環境科学を学んで就職に有利な業界・仕事

環境科学の研究領域が広範囲に及んでいるため、環境科学を学んだ人の進路もさまざまです。

リサイクルや生態保全に関する仕事に進む人もいる一方で、他学部と同様に製造業や金融、IT関連企業、電力会社などに就職する人もいます。

ただし、近年はどの業界においてもエコの考え方が浸透しつつあることから、環境問題に対して取り組み続けることは企業にとって課題の1つとなっています。

企業戦略の面からも、持続可能な社会の実現に向けて貢献しようと企業努力を続けていることが企業としてのイメージアップにつながることも考えられます。

そのため、環境科学で学んだ専門知識を活かして、企業の商品企画広報といった仕事に携わることも可能です。

また、環境コンサルタントなど環境に関する新しい職業も登場しています。

このように、環境科学の知識を活かして活躍できるフィールドは非常に幅広く、今後も多くの業界や職種でその知見が求められていくでしょう。

環境科学の知識は人生でどう役立つ?

私たち人間が地球上で暮らし、より便利で快適な生活を求めて経済活動を行うことで、予想を上回るスピードで地球環境に影響を与えているのは紛れもない事実です。

無理のない現実的な方法で環境への影響を最小限に抑え、将来にわたって暮らしていくことのできる環境を維持できるかどうかは、長い目で見れば私たち自身に降りかかってくる問題なのです。

こうした環境への配慮は、一人ひとりの暮らし方やわずかな工夫の積み重ねが大きな成果となって表れることが少なくありません。

環境科学の知識を得ることによって、次の世代にできる限り良い環境を引き継いでいくための具体的な方法も理解できるようになります。

日常生活の中でも工夫ひとつで環境に貢献できると知ることによって、今後の社会で生きていく上で役立つ実用的な知識となっていくでしょう。