飲食業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
飲食業界とは
飲食業界は「食品の調理・加工・食事をする場所の提供」に関する事業を展開しています。
ひとくちに飲食業界といっても、ファーストフード、ファミリーレストラン、和食、麺類、中華料理、カレー、寿司、お弁当、カフェなど幅広い形態があるのが特徴です。
飲食業界のトップを走るのは、すき家、なか卯、ココスなどを展開する「ゼンショーホールディングス」、ファミリーレストランでおなじみの「すかいらーく」、ファーストフードでトップを独走している「日本マクドナルドホールディングス」があげられます。
私たちの生活にとって身近な業界で安定した需要があるので、大企業から中小企業までさまざまな飲食店を展開しています。
しかしおいしいものを提供するだけでなく、料金以上のサービスや効率化することも求められており、生き残り競争が激しい世界であることも特徴です。
職種には店長、エリアマネージャーなど責任あるポジションにも、ほかの業界に比べて短い期間で抜擢される可能性が高く、活躍できるチャンスも多いでしょう。
2013年12月に和食が無形文化遺産に登録され、和食ファンが増えたことから、次々に海外進出している企業も多く、今後も積極的な海外進出が広がっていくようです。
飲食業界の役割
飲食業界における代表的な企業では、食品の調理、加工、食事場所の提供に関連する事業を手がけています。
多くの企業があるため、より多くの顧客を獲得するためには、世間にニーズに合わせたサービス作りが大切です。
たとえばファミリーレストランでは共働き家庭や、独身世帯が多いことを受け、お一人様用のテーブルやメニューの開発、高齢者向けに割引サービスを行っています。
来る人が飽きないように昼はカフェ、夜はバーなど、時間帯に合わせて形態を変えたり、外国人観光客の増加に伴い外国語メニューを充実させ、売り上げアップに繋げている企業も増加しているのです。
近年は食材費や物流費のコストの上昇しているものの、値上げすると顧客離れが懸念されることから、サービスの質を落とさずに効率化して収益につなげることも課題になっています。
おいしいだけでなく、お客さまに選ばれる飲食店であることがミッションといえるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
飲食業界の企業の種類とビジネスモデル
国内大手企業
飲食業界といっても食事内容が幅広いため、たくさんの企業があります。
その中でも代表的な企業は「ゼンショーホールディングス」「すかいらーく」「コロワイド」「吉野家ホールディングス」といった企業です。
ゼンショーやすかいらーくに代表される大手企業の特徴は、自社内に「和食」「ファミレス」「回転寿司」「居酒屋」など複数のブランド店舗を抱えていることでしょう。
その理由は消費者の食の好みは、流行や時代に左右されることが大きいため、人気店であっても急激に売り上げが減少することが予想されるためです。
複数のブランドを用意しておくことで、カジュアルな層からハイクラスな層まで多くの顧客を獲得し、売り上げが落ちた店舗のカバーをすることができます。
中小企業
飲食業界には、規模がそこまで大きくない企業も多数存在します。
カフェや和食、中華料理、居酒屋など形態も幅広く、小規模でチェーン展開している店舗から、1店舗のみの地元密着型店舗まで形態もさまざまです。
食品を調理し、食事の場所を提供するビジネスモデルは変わりませんが、大手企業のチェーン店との競争も激しく、店舗ならではの匠の技術やサービスが売りとなっています。
外資系企業
日本の飲食業界には「マクドナルド」「KFCコーポレーション」「スターバックス」といった、誰もが名前を聞いたことのある、もしくは行ったことのある企業が多数参入しています。
国内の店舗数は、マクドナルドは3000店舗以上、ケンタッキーフライドチキンとスターバックスは1000店舗以上と日本全国にチェーン展開していることが特徴です。
3社ともアメリカ企業ではありますが、日本人向けメニューを開発するなど、好みやニーズに合わせたサービス・メニュー開発を行っています。
飲食業界の職種
飲食店を経営するには、店舗のホール、キッチンスタッフだけでなく、多くの人の力が必要です。
ここからは飲食業界の特殊な職種のうち、代表的なものをご紹介します。
店舗スタッフ
店舗スタッフは、飲食業界の中でもっとも働く人数が多い職種です。
お客さまに接客する「ホールスタッフ」や、仕込みや調理、片付けをする「キッチンスタッフ」、責任者である「店長」の大きく3つに分けることができます。
店長以外に社員は少なく、ほとんどはアルバイト・パート社員で構成されています。
店長は売り上げ管理、スタッフの教育、在庫管理、勤務シフト表など幅広い業務を担当します。
研究開発
店舗で販売するメニューや商品、レシピを開発するのが研究開発の仕事です。
商品開発、バイヤーとも呼ばれていて、世間のニーズや予算、栄養バランスなども考えながら考案していきます。
その企業が「おいしい」と認められヒットするかどうかがかかっている、重要なポジションといえるでしょう。
エリアマネージャー
担当するエリアの店舗が、より売り上げアップするようにスタッフの教育、販売促進などを行う責任者です。
店舗だけではできないような、会社をあげて行うキャンペーン作りや、ポスターの作成など、店舗が盛り上がるような支援業務を行います。
店舗開発
新しい店舗を出店するために、市場調査や物件探し、競合他社を調査する仕事です。
飲食業界はどこに店舗を出すかが、売り上げにつながってくるため、この店舗開発の仕事がとても重要な役割を果たします。
飲食業界のやりがい・魅力
コミュニケーションがやりがいに
飲食店にはおいしい料理を食べるためでなく、その店で過ごす時間を楽しみにしているお客さまが大勢います。
そのため店の対応や料理に感動してくれたこと、「ありがとう」と直接伝えられたときにやりがいを感じることができます。
また飲食業界ではアルバイト従業員が多いので、少数の社員が育成することになりますが、自分の教育で人が育つことがモチベーションにつながる社員も多いようです。
店長や独立を目指す人も多く、ほかの業界に比べて短期間で叶えられるチャンスがあることも魅力でしょう。
待遇は企業によって異なる
飲食業界での待遇は、企業によって大きく異なり、大企業では一般的なサラリーマンのような、「交通費完全支給」「賞与年2回」などの待遇が整っていることが多いです。
一方中小企業ではボーナスは特別支給のみなど、待遇に大きな差があります。
しかし業界全体の課題となっている人員不足を解消するために、多くの企業では待遇改善を行なっているのが現状です。
活躍できるチャンスが多い仕事
飲食店で店舗責任者に抜擢されるまでの時間は、ほかの業界に比べて短いのが特徴です。
そのため未経験で飲食業界で働き始めても、短期間で責任のある立場として活躍できる可能性が高いでしょう。
またチェーン展開している企業では、各店舗を統括するエリアマネージャーや、本社での商品開発、ブランド戦略などの職種もありますので、キャリアアップも見込めます。
企業によっては海外進出を進めている企業もあり、海外で活躍したい人にもフィールドは広がっているといえるでしょう。
飲食業界の雰囲気
飲食業界では毎日お客さまや職場の仲間と話すことになるので、コミュニケーションが好きな人にとって、刺激的で楽しい職場だといえるでしょう。
飲食店ではスタッフがやめてしまうと、人手不足になってしまうため、職場の人間関係も大切になります。
そのため優良店の雰囲気は、店長やリーダーをはじめメンバーが助け合い、連携が素晴らしいのが特徴です。
「そのお店が好き」「料理が好き」「食べることが好き」という人が多いため、食事や店の話で盛り上がることも多く、明るい雰囲気で仕事ができるでしょう。
店舗の特色によっても異なりますが、一般的な飲食店の男女比は半々になるように採用されている場合が多いので、男性・女性ともに活躍できるチャンスがあります。
特に大手の企業では、店舗責任者、エリアマネージャー、商品開発、営業などさまざまな職種に携わるチャンスが得られるので、キャリアアップとともに多くの人と働くチャンスに恵まれます。
飲食業界に就職するには
就職の状況
飲食業界では、慢性的に人員不足が課題となっているため、求人の需要は高く売り手市場です。
そのため大手企業では、毎年新卒採用が実施されており、今後も人材採用が大きく減るとは考えにくいでしょう。
職種は企業によって大きく異なり、現場での「店長候補」から、本社勤務の「管理部門」「マーケティング担当」、店舗で扱う食品を生産する「工場勤務」などその内容も幅広いです。
学歴はほとんど不問とされる場合が多く、アルバイト経験が評価されることが飲食業界の特徴といえます。
近年は外国人観光客の増加から、英語や中国語などの語学が堪能な方は有利になるかもしれません。
就職に有利な学歴・大学学部
飲食業界では、就職に有利な学歴や学部は特にありませんが、マーケティングや経営学の勉強をしているとアピールになるようです。
大卒で就職した場合は、短期間で店長に抜擢され、より上のエリアマネージャーなどの管理職へのステップアップを目指すことができます。
高卒や専門学校卒の方の就職でも、数年でベテラン並みの働きができるようになるため、他業種に就職する人に比べると早く出世できるでしょう。
ただし企業によっては店長どまりということもあるので、さらに上のステップアップを希望する方は企業のキャリアパスに注目しておくことをおすすめします。
アルバイトで働いていたことが評価され、そのまま正社員として雇用されたという例も多数ありますので、飲食業界ではその店舗での経験、知識が評価される業界といえるでしょう。
即戦力として活躍したい方は、調理の専門学校を卒業し、調理師免許を持っていると有利です。
就職の志望動機で多いものは
飲食業界はへの志望動機は「食が好き」「食を通じて人に影響を与えたい」という志望動機が多いです。
そのほか、お客さまと接することが多い仕事になるので「人と話すのが好き」といったコミュニケーション能力、「細かいところも気づけフォローしたい」といった協調性などもあります。
コミュニケーション能力や協調性は、店舗運営にとって欠かせないポイントとなるので志望動機に入れ込む人が多いようです。
また外国人観光客が増えていることから「語学力を活かしたい」という志望動機も、採用担当に評価されるポイントとなるでしょう。
ひとくちに飲食業界といっても、志望する企業によって職種や将来のキャリアパスも変わってくるので、それぞれの企業に合わせた志望動機を研究する必要があります。
飲食業界の転職状況
転職の状況
新卒採用と同様に、飲食業界では人材不足が課題となっているため、常に求人募集がされている状況です。
中小企業から大企業まで、多くの企業で求人募集がかけられています。
募集職種は店舗配属となる「店舗スタッフ」「店長候補」、エリアを統括する「エリアマネージャー候補」、工場の「工場担当」「食品製造スタッフ」など、企業によって多岐に渡ります。
学歴は「大卒」「専門学校卒」「高卒」以上とされる場合が多く、未経験問わずに募集がかけられていることが一般的です。
ただし職種によっては即戦力が問われるため、「経理」や「Webマーケティング」など一部の職種では実務経験が求められることもあります。
転職の志望動機で多いものは
転職の志望動機で多いものは、「食が好き」「食を通じて人に影響を与えたい」ということです。
また飲食業界は、応募する前にその店舗に足を運ぶことができるので、メニューの味や店の雰囲気、スタッフの接客を体験することができます。
自身がその店舗で接客されてよかった経験から「ここで働きたいと思った」という経験から、志望する人も多いようです。
特にその企業のこだわりに共感して応募した人は、採用担当者もぜひ採用したいと考えてくれるでしょう。
転職で募集が多い職種
募集が多い職種は、店舗配属で現場で活躍する「店舗スタッフ」「店長候補」です。
続いてエリアを統括する「エリアマネージャー候補」、工場で食材を調理する「工場担当」「食品製造スタッフ」などの募集も多くなっています。
店舗スタッフや工場担当は、学歴不問で未経験でも歓迎されることが多いので、転職で不利になることはなく応募しやすい職種でしょう。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
飲食業界では職種にもよりますが、一般的には特別な経歴やスキルがなくても転職することが可能です。
お客さまや働くスタッフと良好な関係を築いていける「コミュニケーション能力」や「協調性」、食を提供する場にふさわしい「清潔感」があれば、一から研修をして育成してくれます。
しかし、応募する企業の店舗でのアルバイト経験があると、大きな評価のポイントとなるでしょう。
飲食業界の有名・人気企業紹介
ゼンショーホールディングス
飲食業界のトップのシェアを誇るのが、ゼンショーホルディングスです。
すき家、なか卯、ココス、ビッグボーイ、はま寿司など和食からハンバーグ、コーヒーショップまでシーンに合わせて利用できるバラエティ豊かな店舗を取り揃えています。
また「すき家」を中国、台湾、タイ、メキシコ、ブラジルなどの国々へ、積極的に海外展開しています。
すかいらーく
すかいらーくグループは、飲食業界第2位のシェアを誇る企業です。
ガスト、ジョナサン、バーミヤン、夢庵などのレストランから、とんかつ専門店、からあげ専門店、カフェなど幅広い店舗を展開しています。
グループ従業員数は10万人、店舗数は3,200店を展開しており、年間約4億人のお客さまが来店しています。
日本マクドナルドホールディングス
飲食業界第3位のシェアを誇るのが、外資系企業の日本マクドナルドホールディングスです。
国内では約2,900店舗を展開し、14万人のスタッフが働くスケールの大きさが特徴で、ファーストフード店の中ではマクドナルドが独走状態となっています。
飲食業界の現状と課題・今後の展望
競争環境
飲食業界は新規参入が容易でつぎつぎと新しい店舗がオープンしていますが、生き残り競争が激しい業界です。
近年はファーストフード、ファミリーレストラン、居酒屋などを中心に、高品質かつ低価格なものを提供できるかが求められており、各企業が注力しています。
時代やターゲットのニーズに合わせて、おいしいものを提供するだけでなく、効率化や収益性アップも求めなければ生き残ることができません。
また和食ブームの影響を受け、海外展開する企業も増えています。
最新の技術動向
人員不足や効率化アップに効果を発揮するとして、IT化が進められているのが特徴です。
お客さまからの予約、顧客管理、シフト管理などこれまで時間がかかっていたアナログ作業をIT化することで、従業員の負担を減らすことが期待されています。
特に注目されているのは、キャッシュレス会計です。
従来のクレジットカードだけでなく、Suicaなどの交通系ICカード、スマホ決済、QuickPayなどを導入することで、店長業務の圧縮につながることから導入する飲食店が増えています。
業界としての将来性
飲食業界は市場規模が大きく、私たちの生活に根ざしていることから今後も安定して働くことができる業界です。
ただし競争環境が激しいので、おいしいものを提供するだけでなく、時代のニーズに合わせて効率化や収益性アップを求める必要があります。
近年は従業員が長く働けるようにと、給与アップや休みを取りやすくするなど、待遇面を整える企業も増えているので、働きやすさにも期待ができるでしょう。
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