ゲーム業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
ゲーム業界とは
ゲーム業界は、情報通信業における「情報サービス業」の一部に分類される業界です。
ゲームに関わる企業を分類すると、次の3つに大きく分類することができます。
1つ目がゲームを企画・制作する「ゲームソフトメーカー」で、代表的な企業としては「バンダイナムコホールディングス」「スクエア・エニックス」「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」などが挙げられます。
2つ目が「ゲーム機メーカー」であり、PlayStationを販売する「ソニー」や、Wiiやファミコンを販売する「任天堂」などの企業がこれにあたります。
3つ目が「オンラインゲームのプラットフォームを提供する企業」であり、GREEを運営する「グリー」や、Mobageを運営する「ディー・エヌ・エー」などが挙げられます。
それ以外にも、ゲームソフトメーカーやゲーム機メーカーからソフトウェアの開発作業を受託する「ソフトウェアハウス」と呼ばれる企業もあり、こちらもゲーム開発の上では欠かせない存在です。
このように、一口に「ゲーム業界」といってもさまざまな種類の企業が存在しているため、就職先として選ぶ際には各企業の事業内容をよく確認することが大切です。
ゲーム業界の役割
ゲームは決して「生活をする上で必要不可欠なもの」ではありません。
しかし、ゲームを通じて人々の生活のなかに「娯楽」を提供することができ、心から楽しめる時間やリラックスできる空間を作り出すことにつながっています。
仕事や学校などの集団生活でストレスを抱えてしまう人も多く、ゲームを始めとした娯楽の存在は社会的にも大きな役割を担っていると捉えられるでしょう。
また、家族や友人と一緒にゲームを楽しむことで、絆をさらに深められたり会話のきっかけになったりと「コミュニケーションツール」としての要素も持ち合わせています。
とくにゲームは言語の壁を超えて国籍関係なく誰もが楽しめるものであり、人と人とのつながりを深めるうえでの存在意義も大きなものであると考えられています。
20代で正社員への就職・転職
ゲーム業界の企業の種類とビジネスモデル
国内大手企業
国内のゲーム業界大手としては、「ソニー」「任天堂」「バンダイナムコホールディングス」などが代表的な存在として挙げられます。
「ソニー」と「任天堂」はとくに家庭用ゲーム機で有名ですが、同時にゲームソフトの分野でも高いクオリティのゲームを提供し続けています。
また、「バンダイナムコホールディングス」は「機動戦士ガンダム」や「ドラゴンボール」などの人気タイトルの利権を独占している特徴を持ち、その強みを活かして幅広く事業を展開しています。
国内ベンチャー企業
ゲーム業界では企業の歴史や資本力だけに限らず、世の中のニーズをうまく捉えることで急激な成長を遂げる事例が少なくありません。
1998年に設立された「サイバーエージェント」は「Ameba(アメーバ)」と呼ばれるインターネット上のプラットホームを提供し、これが人気となり短期間での急成長を見せました。
同じく1998年設立の「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」は2012年にリリースしたゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ」が大ヒットを記録し、こちらも短期間で大幅に業績を伸ばしています。
世界市場で活躍する外資系企業
日本国内での知名度はそこまで高くありませんが、ゲーム業界の世界シェア1位の企業は「テンセント」という中国の企業です。
「テンセント」は世界中で非常に人気の高いゲームである「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンズ)」「クラッシュ・ロワイヤル」などを運営する企業の親会社となる企業です。
今もなお自社開発のゲーム領域に力を入れており、世界での存在感はますます高まっている状況です。
ゲーム業界の職種
ひとつのゲームを作り出すには、たくさんの人たちの力が必要になります。
ここでは、ゲーム業界の代表的な職種を5つ紹介します。
ゲームプログラマー
企画書に沿ってゲームのプログラムを組んでいく仕事であり、ゲーム業界の仕事で一番イメージしやすいのがこのゲームプログラマーでしょう。
PCスキルを身につけている必要があり、ゲームのリリース直前などは体力的なタフさも求められる仕事です。
就職する上では、情報学部の専攻者や専門学校の出身者が採用されるケースがほとんどとなります。
シナリオライター
ゲームのジャンルのなかでも「ロールプレイング」や「アドベンチャー」などのストーリー性が含まれるゲームの場合、その筋書きを考えるシナリオライターが必要となります。
そしてシナリオライターの仕事は、単にプロローグからエピローグまでのシナリオを考えるだけではありません。
各キャラクターの個性やキャラクター同士の会話を作り上げることもシナリオライターには求められるため、豊かな想像力が不可欠となる職種です。
サウンドクリエイター・グラフィックデザイナー
サウンドクリエイターは、ゲームのなかで使われる音楽や効果音をパソコン上で作り出す仕事です。
一方、グラフィックデザイナーはキャラクターのデザインや背景などを作成する仕事ですが、最近では3Dゲームが主流になっていることから仕事量も増え、プロジェクトに割り当てる人数も手厚くする企業がよく見られるようになりました。
どちらもゲームの雰囲気や臨場感を左右する大切な仕事であり、専門知識と高い創造性が求められる職種です。
ゲームプロデューサー・ゲームディレクター
ゲームプロデューサーは予算やスタッフ配分、スケジュール管理など、プロジェクト全般を統括する立場の職種です。
ゲームディレクターが「現場」で制作管理をする職種であることから、ディレクターである程度の経験を積んだ人がプロデューサーに昇進していくことが多いようです。
プロジェクトの規模にもよりますが、大きいものでは数百人規模のスタッフを管理していくのがプロデューサー・ディレクターの役割であり、責任も大きい仕事です。
営業
基本的には専門知識が必要になるゲーム業界ですが、そのなかでも文系の学生が採用される職種の一つが営業です。
完成したゲームを効果的に販売していくための営業計画を考え実行することが、営業のメインの仕事となります。
ゲームの魅力を最大限に伝えるために、開発部と連携して営業活動をおこなうこともあります。
ゲーム業界のやりがい・魅力
チームで一つの作品を作り上げる達成感を感じられる仕事
良いゲームを作るためには、そこで働く社員が「ゲームが好き」「モノ作りが好き」という気持ちを持っていることも非常に大切です。
そのため必然的にゲーム好きの人が集まる業界であり、自分の好きなことに毎日携われることは大きなやりがいにもつながるはずです。
また、一つのゲーム作品を完成させるためには、プロデューサーをはじめプログラマーやシナリオライター、デザイナーなど、たくさんの人たちと協力して仕事を進めることが必要不可欠となります。
もちろん大変なことも多いですが、チームで協力して一つのものを作り上げたときには大きな達成感を得られることができるでしょう。
自分の技術力や経験次第で、好条件で働ける業界
自分の技術力や経験次第では好条件で働ける可能性があることも、ゲーム業界の魅力の一つです。
たとえばゲーム業界大手の「バンダイナムコホールディングス」の平均年収は1,000万円を超える金額となっており、同じくゲーム業界の大手企業である「ソニー」や「任天堂」も非常に高い年収額となっています。
ただし、会社としての規模やその人のもつ技術力や実績によっても、待遇面には大きな差が出てきますので注意しましょう。
一つの会社だけでなく複数の会社でさまざまなプロジェクト経験を積み、好条件でのオファーを獲得するといったキャリアアップも可能な業界となっています。
ゲーム業界の雰囲気
ゲーム業界にはもともとゲームが好きな人が集まるため、職場のなかでゲームの話題で盛り上がることも多いようです。
ゲームという共通の趣味を持っている人が多いことから、誰でも馴染みやすい環境だといえるでしょう。
また、営業以外の職種については服装や髪型に関する決まりがあまり厳しくないこともゲーム業界の特徴であり、茶髪や私服での出勤なども個人の自由としている企業も少なくありません。
その点と併せて、始業や終業の時間を自分で決められる「フレックスタイム制」を導入している企業も多く、「自由な雰囲気で働きたい」と考える人にはおすすめな業界です。
労働時間に関してはゲームの発売間近などはどうしても残業が増える傾向がありますが、社員が過労にならないよう以前よりも厳しく勤怠管理をしている企業が増えてきています。
ゲーム業界に就職するには
就職の状況
ゲーム業界はゲームが好きな学生にとっては非常に魅力的な職場であり、就職先としても人気の高い業界です。
求人の状況としては、大手ゲーム会社の場合、新卒採用については毎年実施しているところがほとんどとなります。
募集職種は「プログラマー」「デザイナー」「事務系」など、職種ごとに分けて採用がおこなわれている企業が多いようです。
それぞれの職種によって応募条件に違いがありますので、各社の募集要項をよく確認しておくと良いでしょう。
とくに大手のゲーム会社の場合は職種に関係なく高倍率になる傾向があるため、面接対策など入念に準備しておくことが大切です。
就職に有利な学歴・大学学部
ゲーム業界への就職で有利な学歴については、どの職種を受けるのかによっても変わってきます。
実際のゲーム開発や各種デザイン・サウンドに関わる仕事であれば、その仕事がこなせる知識やスキルを持っていることが応募の条件となるため、理工学部や専門学校の出身者が採用されるケースが多いようです。
一方、営業や経理などの事務系の職種については「学部・学科不問」としている企業がほとんどであり、出身学部によって評価に差が出ることはありません。
将来的にゲーム会社への就職を希望する人は、どの職種で働いていきたいのかをよく考えてから、大学進学や専門学校を選択するとよいでしょう。
就職の志望動機で多いものは
ゲーム業界を受けるときの志望動機としては、やはり「ゲームが好き」「ゲームに携わりたい」という内容がよく見られます。
しかし、単に「ゲームが好き」という理由だけでは、就職する志望動機としては浅い内容になってしまう可能性が高いでしょう。
とくにゲーム業界は学生の人気が高いこともあり、他の学生の志望動機と「どう差別化していくか」が大きなポイントとなります。
たとえば、「自分が入社することで、会社にどんな貢献ができるのか」「今後のゲーム業界に必要なものは何か」など、自分なりの考えを志望動機に盛り込むことも効果的です。
ゲーム業界の転職状況
転職の状況
ゲーム業界に属する企業では、新卒者を対象とした定期採用のほか、既卒者を対象とした中途採用も積極的に行われています。
とくに大手のゲーム会社では従業員数も多く、毎年一定数の定年退職者も出ることから安定的に求人が出ている状況です。
また、ゲーム業界は他の業界に比べてもより専門的な仕事内容であることから、期間を限定して特定のプロジェクトの開発のみで採用をおこなうケースもあります。
このような情報は各ゲーム会社のホームページで発信されることが多いため、こまめにチェックしておくとよいでしょう。
転職の志望動機で多いものは
新卒の志望動機と同じくゲームが好きな人が集まる傾向にありますが、それに加えて「これまでの経験を活かして働きたい」という理由で志望する人が多く見られます。
プログラマーやデザイナーなどの職種であれば基本的に「即戦力」が求められる傾向があるため、自分のキャリアを志望動機に盛り込むことは効果的なアピールにつながるといえるでしょう。
その場合は、これまで培ってきた経験をその会社でどう活かせるのかを説得力を持たせて伝える必要があり、そのためには入念な企業研究も大切です。
転職で募集が多い職種
ゲーム業界では、中途採用もプログラマーやデザイナーなどの職種ごとに細分化されて募集がおこなわれています。
募集のかかる職種は時期によっても大きく異なり、会社ごとのゲームの開発状況によっても必要となる職種には違いが出てくるといえるでしょう。
全体的には事務系の募集は少なく、エンジニア系の募集が多い傾向が見られます。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
ここまで説明してきたようにゲーム業界では専門的な業務が多いことから、「即戦力」として働ける経験やスキルを持っていることが前提での募集となります。
そのため、まったくの未経験からゲーム会社の専門職に転職することは難しいのが現実です。
未経験からゲーム会社への転職を目指す場合、たとえば「未経験可」としているシステム会社で業務経験を積んでから、ゲーム会社のエンジニア職に転職するという方法も一つとして考えられます。
業界全体として実力を重視する傾向があるため、学歴については不問としている企業も少なくありません。
ゲーム業界の有名・人気企業紹介
ソニー
1946年創業、連結売上高8兆6,657億円、連結従業員数114,400名(2019年3月期)
東京都港区に本社を構え、世界的な規模で事業を展開している日本を代表する企業です。
ゲーム分野をはじめ映画や音楽分野、それ以外にも銀行業、不動産業、教育事業など、非常に幅広い分野への進出を見せています。
任天堂
1889年創業、連結売上高1兆2,006億円、連結従業員数5,944名(2019年3月期)
ゲーム事業に限らず娯楽に関するさまざまな事業を展開しており、海外からの知名度も高い日本の大手ゲーム会社です。
1970年代から家庭用ゲーム機の開発を開始し、1985年に発売した「スーパーマリオブラザーズ」は世界的な大ヒットを記録しています。
バンダイナムコホールディングス
2005年設立、連結売上高7,323億円、連結従業員数8,360名(2019年3月期)
ゲームソフトの制作・開発をおこなう「バンダイナムコエンターテインメント」をグループ傘下にもつ、ゲーム業界大手の企業です。
代表作には「アイドルマスターシリーズ 」「太鼓の達人シリーズ」などがあり、ファンからの根強い人気を獲得しています。
ゲーム業界の現状と課題・今後の展望
競争環境(国内・国外)
国内の競争環境は少子化で子どもが減っているなか、ゲーム会社同士でパイを取り合っている状況が見られており、とくに「家庭用ゲーム」と「アーケードゲーム」は衰退しているといわれています。
スマートフォン向けゲームに関しては市場が伸びていますが、元々ゲーム機ではないため操作性に制約が多く、ゲームメーカーの更なる研究開発が必要となるでしょう。
そのなかでも、近年は個人開発者や小規模開発チームによるゲームからヒット作が生まれており、「UNDERTALE(アンダーテール)」「Minecraft(マインクラフト)」などの作品がその代表例です。
一部のクラウドファンディングサイトでも、個人や小規模開発チームが出資を集めてゲームを開発している状況があり、今後はこのような形でのゲーム開発が増えていくことが予想されています。
一方、ゲーム産業の海外市場については年々拡大を続けており、新技術の開発などゲーム関連の話題は今後も盛り上がりを見せるでしょう。
ゲーム業界で世界最大手の「テンセント」が中国の企業であることからも分かるように、発展途上国が多いアジア地区においてはまだまだ潜在的な発展が見込めそうです。
業界としての将来性
ゲーム業界は今も進化・拡大の途中であり、今後も順調に市場が伸びていく産業と考えられています。
とくに映像産業などで話題となっている「VR(バーチャル・リアリティ)」の技術は、ゲーム業界でも新しいコンテンツを生む技術としてすでに活用が始まっています。
また、業界全体のビジネスモデルも多様化を見せており、ゲームをプレイしている様子を「実況動画」として配信する領域や、ゲームを用いた競技である「eスポーツ」も認知度が高まり、ゲーム産業全体が盛り上がっている状況です。
日本国内でも、「吉本興業ホールディングス」「KDDI株式会社」などの大企業がeスポーツへの参加を表明しています。
今後も日本企業のゲーム市場へ参入は注目すべきポイントといえるでしょう。
30秒でわかる!転職サービス診断
-
20代・第二新卒・既卒の転職支援サービス:Re就活エージェント(PR)
-
未経験OK! IT・Web業界に特化:マイナビITエージェント(PR)