僧侶(住職・坊さん)の需要・現状と将来性
僧侶の現状
寺院は生活に密着した身近な存在でしたが、人々のライフスタイルの変化に伴い、僧侶と人々の関係性が希薄化しているのが現状です。
日本は古くから生活の中に仏教文化が根付いており、日本人は信仰にかかわらず、自然と仏教に親しんできました。
歴史的に見ても政治や文化などのあらゆる面に、仏教が大きな影響を与えていることから、日本の歴史は仏教抜きにして語ることは不可能であるといえるでしょう。
2017年度の宗教統計調査によると、全国には77,000もの寺院があり、この数はなんとコンビニエンスストアの数を大きく上回っているのです。
かつては人々の生活に直結し、心の拠り所ともなっていた寺院でしたが、今は葬儀や法事のときだけに関わるものと考える人が多くなりました。
とくに若者にそうした考えを持つ人が多いことが課題とされ、時代に即した仏教のあり方を模索する僧侶が増えています。
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僧侶の需要
僧侶の需要は、時代の変化によって格段に減ってしまいました。
たとえば今まで寺院の重要な収入源であるお布施(ふせ)や寄付を支払う檀家(だんか)制度は、地域差はありますが、寺院を維持するためには200〜300以上の檀家が必要だといわれています。
しかし、核家族化や地方都市の過疎化などの諸問題により継続が難しい寺院が増えており、こうした状況を受け、思い切って檀家制度を廃止する寺院も出てきました。
また葬儀や法事は、僧侶にといって主要な業務のひとつですが、金銭的な問題や家族の多様化などにより、葬儀や法事を簡素化する傾向も強まっています。
このように、時代が変わっても多くの檀家を抱える寺院がある一方、ニーズが減り僧侶のあり方や、経営の変化が求められる寺院が増えているのも現実です。
僧侶の将来性
僧侶の将来性は、新たな支持層の獲得が必須となるでしょう。
これからも葬儀や法事で故人が安らかに成仏できるように読経すること、遺族を癒すことに変わりはありませんが、ニーズに合わせて提供するサービスの変化が求められています。
たとえば葬儀や法事を簡素化するニーズに対しては、大手スーパーや百貨店と提携して時代に即した葬儀や法事、墓地のあり方を考え、低価格プランを提供する寺院も増えました。
またこれまで不明瞭だったお布施を明確な料金設定にしたり、通販サイトで僧侶の派遣サービスを行う寺院も誕生しています。
これらの動きは、「宗教の商品化」だと仏教界から批判を受けたのも事実ですが、お寺との付き合いがない人でも気軽に依頼できるため新たな顧客の獲得に成功しているのです。
このように仏教にとくに関心の薄い若年層や、金銭的に余裕のない人々、また家族を持たない人々など、仏事一般に後ろ向きな層を取り込む解決策を講じる必要があるでしょう。
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僧侶の今後の活躍の場
僧侶や寺院の存在をもっと身近に感じてもらいたいという取り組みから、活躍の場が広がっています。
たとえば仏教の教えを知ってもらおうと、寺院を解放して一般の人向けに仏教の勉強会や、写経教室、坐禅会などが多く行われるようになりました。
また変わったところではカフェやバーなどの飲食店を経営し、気軽に仏教に親しんでもらおうと考える僧侶もいます。
地域の人が気軽に足を運べるようにお祭りやイベントを開催したり、SNSなどを使って仏教の魅力を発信する人も多いです。
この結果、地域住民の憩いの場として機能することに成功した寺院も出てきています。
今後も寺院を継続するためには、「どうしたら若者に仏教への関心を持ってもらえるか」「時代に合わせた僧侶のあり方」を考えて実践することが、活躍の場を広げる大事なポイントとなるでしょう。