音楽プロデューサーの需要、現状と将来性
音楽プロデューサーの現状
音楽ビジネスのあり方が大きく変化
1990年代は日本の音楽業界が全盛期を迎えた時期で、小室哲哉氏をはじめとして「音楽プロデューサー」という職業が注目された時代でもありました。
しかし近年は、音楽配信サービスやYouTubeなどの無料動画サービスの台頭とともにCDの売上が低迷し、1998年をピークに音楽市場規模は縮小傾向にあります。
最近では、Apple MusicやSpotifyなどのサブスクリプション(定額制)ストリーミングサービスの売上が急速に拡大し、市場は回復の兆しを見せていますが、それにより音楽ビジネスのあり方も大きく変化しています。
これまでは、レコード会社が数千万円かけて制作したCDを、大手マスメディアを使って宣伝し大量販売することでミリオンセラーを作り、短期間に大きな利益を目指すというやり方でした。
それに対して、定額制のストリーミングサービスは、一つの作品が繰り返し聴かれることで利益を生み続けるというビジネスモデルです。
これからの時代は、一過性のヒットを出すことより、アーティストが長いスパンで売れることが重要になります。
時代の流れを察知してビジネスを仕掛けることが重要
アーティストがメジャーデビューをしなくても、インターネットを利用して個人で楽曲を自由に配信できるようになったことで、アーティストとレコード会社との関係性も変わりつつあります。
このような音楽業界のビジネスモデルの変化により、音楽プロデューサーのあり方も見直され始めています。
現在、音楽プロデューサーには、時代の流れを見極め、こうした変化にフレキシブルに対応していくことが求められています。
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音楽プロデューサーの需要
音楽配信サービスという新しいビジネスモデルの台頭は、音楽プロデューサーにとってデメリットばかりではありません。
業界内外からさまざまな企業が音楽配信ビジネスに参入し、新たな雇用の場を生み出しています。
またスピーディーな配信サービスの波に乗り、次から次へと新たな楽曲を求めるニーズも高まってきました。
デジタルコンテンツの多様化、多チャンネル化により、番組やドラマ、CMに採用される楽曲の数も圧倒的に増えています。
それにより、楽曲を制作するための専門知識やスキルをもつ音楽プロデューサーへの需要も高まっています。
音楽プロデューサーの将来性
2019年、全米の音楽チャートを取りまとめるビルボード・チャートが、作曲家やプロデューサーに特化したランキングチャートを新たに開設しました。
また音楽ストリーミング配信の草分け的存在でもあるSpotifyは、作詞家・作曲家・プロデューサーにスポットライトを当て、彼らの作品を国内外の幅広いリスナーに紹介する新しいプレイリストシリーズをスタートさせています。
これにより、ヒット曲を裏側から支える作曲家や音楽プロデューサーの仕事に注目が集まる機会が増えています。
現在、海外各国ではすでに定額制音楽配信サービスが主流になっています。
日本ではいまだCD販売のほうが多いですが、今後は日本でもサブスクリプション型のストリーミング配信が増えていくと考えられます。
これからストリーミング配信の利益分配が見直され、楽曲の制作を支えるクリエイターへ利益が還元される仕組みが定着すれば、作曲家や音楽プロデューサーが努力とチャンス次第で高収入を得ることも不可能ではありません。
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音楽プロデューサーの今後の活躍の場
音楽ビジネスの総合的なマネジメント能力が求められる
音楽市場において、CDの売上が低迷する一方、ライブや大型フェスの動員は増えており、コンサート市場は大きく伸びています。
音楽ビジネスの中心は、CDなどのパッケージソフトからライブへと移行し、ライブやコンサートに観客を動員するプロモーションツールとしてCDや音楽配信を利用することが主流になっています。
今後はライブエンターテイメントビジネスにおいて、ライブ専門の音楽プロデューサー、もしくはイベントの企画・運営、ファンクラブ運営、グッズ開発なども含めて、あらゆる音楽エンターテイメントを総合的にマネジメントする音楽プロデューサーの活躍が期待されます。
音楽プロデューサーの可能性はさらに広がる
また、海外とのインターネット会議やデジタルデータのやりとりが一般的になったことにより、作曲家や音楽プロデューサーが国境を越えてコラボレーションしやすくなっています。
日本では音源制作の主体はレコード会社や事務所などですが、海外では、アーティスト自らが個人事業主としてプロデューサーやスタッフを雇い、制作を行うのが一般的です。
今後は海外も含めて、フリーランスとしてアーティストから直接制作を請け負うケースが増える可能性があります。
さらに、アーティストの持つ権利を管理し、制作からプロモーションまで担うエージェントとして活躍するケースも考えられます。
また、音楽業界に携わる女性の権利向上を進める動きが国際的に広がっていることから、今後は女性の音楽プロデューサーの活躍も期待されています。