生きることは書くこと。どんな経験も財産!

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シナリオライター三島 ゆたかさん

東京都立川市出身。俳優、シナリオライター、演出家として活躍中。現在は劇団『おにぎりスキッパーズ2』を主宰。自分の劇団以外にもさまざまな舞台脚本を執筆。
座右の銘:理由は後からついてくる

シナリオライターの仕事内容を教えて下さい。

シナリオライターの仕事は、セリフ立てで物語を作る人のことです。戯曲でもドラマでも、企画からあらすじ、シナリオまで全部の作成をして、監督、演出家に渡すまでを担当します。企画を立ててから依頼を受けて執筆という形です。

一日はどんな流れで過ごしていますか?

仕事の流れではないけれど、大抵は物語のことについて考えています。アイディアが浮かんできたり、素敵なセリフが思いついたら、自転車に乗ってる時も、電車に乗ってる時も、お風呂場でも、どこでもメモするようにしています。

いまはどんな仕事をしていますか?

今は自分が主宰する劇団の舞台『みまもりゼロ』の脚本を書いています。『みまもり刑事』っていうシリーズなんですが、逮捕権を持たない、事件を見守るしかない刑事の話です。これが結構人気で、シリーズも7作目になっています。

シナリオライターを目指そうと思ったきっかけを教えて下さい。

昔から何かを創るのが好きで、最初は漫画家になろうって決めていたんです。手塚治虫や赤塚不二夫が好きだったから。赤塚不二夫の「まんがプロ入門」なんかを読んだりもしてたんですが、その流れで脚本も書くようになりました。漫画もシナリオも、物語りを創るという意味では同じですしね。

シナリオライターになって思い出に残っているエピソードはどんなものでしょうか?

『スカイフック』という「星の王子様の帰還」の物語を書いた時に、舞台を観たお客様から「『ピーターパンコンプレックス』という本を読まれたんですか?」と言われて。実は読んだことなかったんですけど(笑) 

「大切なことは目に見えない」という星の王子様の名セリフ、あるじゃないですか? あとで読んだらそのことを『ピーターパンコンプレックス』の中で「スカイフックという」と書いてありまして、偶然の符合にとても驚いたことが思い出に残っています。

逆にシナリオライターになって失敗したエピソードはありますか?

1999年頃に、いつも誰かに見られているように感じている主人公の話を書いたんだけど、その主人公っていうのは実は漫画の主人公だったっていうオチでした。

その半年くらい前に『トゥル―マンショー』っていう映画が公開されまして(※筆者注:トゥルーマンショー/1998年公開 ジム・キャリー主演 平凡な人生を送っていと思われていた主人公だが、実はテレビショーの出演者であり、生活の全てがテレビで放映されていた)、お客様から「トゥルーマンショーに似てますね」って感想を頂いて、実はその映画観てなかったんですが、確認するとあまりにも内容がそっくりで……。物語は数え切れないぐらい多く存在するし、必ず似たものはあるはずだと言われているけど。

自分のリサーチ不足を感じました。悔しかったし、それからは世に出ている物語には、なるべく目を通すように心がけています。

シナリオライターの仕事での苦労や悩みはありますか?

小説や漫画や絵画なんかは、自己完結できる職業だと思います。シナリオライターは特に外注の場合、自分で直し、編集のできない場合が多いです。

自分で直せないから、クリエイティブなようでクリエイティブじゃない仕事かもしれない。カッコいいからとかクリエイティブな仕事ができるからという憧れではじめると苦労するかもしれないですね。

20年脚本を書いているんですが、10年後も上手行っているとは限らない仕事です。今、上手くいっていても2年後でさえ、上手く行っているかもわからない。続けるのは覚悟が必要ですね。ただ、その苦労してもやるっていう覚悟があって、信念を持ち続けていれば、やがてクリエイティブな仕事には届くはずだと思います。

シナリオライターはどんな人が向いていると思いますか?

いつでもどこでも、書いちゃう人。書きたい欲求を抑えられない人。三度の飯より書くのが好きな人。そういう衝動みたいなものを持っていれば向いていると思います。

書くということに“ときめく”か、どうかが大事ですね。書くということにときめかないなら辞めた方がいい。自分でときめくと思うなら書けばいい。今、そういう本、流行っていますよね?(笑)

周りに何を言われても突っ走る。つまり書かずにはいられない。そういう人が、シナリオライターに向いていますね。

今後、シナリオライターという職業はどのようになっていくと思いますか?

今、書ける人が少なくなってきています。ドラマなんかの作り物の質が落ちている気がしますし。オリジナルの脚本が減って、漫画や小説の原作があるものばかりになってきていて、企画も原作ものしか通らなくなっている状態です。

書ける人自体が少なくなっているから、シナリオライターにはなれるかもしれません。けれども、そこからが大事。シナリオを書く人はもっと勉強すべきだと思います。シナリオは基本を学べば、誰でも書けるようになるんですから。

仕事以外の楽しみはありますか?

おいしいものを食べること。はまりやすく飽きやすい性格です。去年はモツ鍋、今年は焼き肉なんかにはまっています。あとは、アロハシャツ集め。200着ぐらい持ってます。スカジャンやス二―カ―も周りが引くくらいあります。

その他には映画も好きです。DVDは家に1,200本ぐらいありますし。映画を観に行くのに大事なことは、近くでおいしいものを食べれるかどうかですね。映画館は近くでおいしいものを食べれるところじゃないといけないね(笑)

高校生に戻れるとしたら何をしますか?

戻りたくないです(笑) 今のままでいい。

自分が高校生の時はたくさん遊んでいました(笑)25歳でこの業界をはじめたんですが、それまではいろんなことをしました。一回、なんの職業でもいいから就職してもいいですね。そこからシナリオライターを目指したっていい。遊んだことや失敗したこと、穴があったら入りたいような過去が今、とても役に立っているような気がします。後悔はあるけど戻りたいとは思いません。

将来の夢や目標はありますか?

米国アカデミー賞のレッドカーペットを歩くこと。

シナリオライターを目指す方にメッセージをお願いします。

シナリオライターになるのに、無駄なことなんて一つもありません。いろいろ経験することが全部、シナリオライターにとっての財産になります。だから、もし今高校生であれば、目一杯遊んで、バイトして、恋して、今を楽しんでから、シナリオライターを目指しても遅くない。

生きてるってことは書いてるってことなんだから。

(取材:舟崎 泉美)