翻訳者(翻訳家)の需要・現状と将来性
翻訳者の現状
世界の社会環境が変化しているように、翻訳者を取り巻く状況もさまざまな変化があります。
かつて、翻訳者は該当分野に詳しい学者や専門家、翻訳会社に所属している人間が優遇され、人脈やコネが重視される面がありました。
しかし現在はインターネットを活用したクラウドソーシングサービスが普及したことなどから、とりたてて業界にツテのない人でも、翻訳業界に参入しやすくなっているのが現状です。
実際、このところは会社員の副業として、あるいは子育て中の主婦が、格安で翻訳の仕事を引き受ける例もあります。
一方、海外在住の日本語ができる人々が安く案件を請け負うケースも増えたことや、MTPE(機械翻訳の後処理)の案件などで値切られることなどもあり、全体として翻訳者の単価は下落傾向にあるといえます。
それでも、翻訳者としての実績や技量が十分な人や、専門分野の強さをアピールできる人は、引き続き高い報酬を得ることもできているようです。
20代で正社員への就職・転職
翻訳者の需要
経済のグローバル化によって、翻訳の需要は高まっているといわれます。
とくに貿易関連、国際事務の需要は安定しており、今後もこの分野は仕事が最も見込めるかもしれません。
ただし、このところ一般企業は専属での翻訳者としての正社員の採用を控えがちになっているので、会社に帰属する形の産業翻訳者のあり方も今後は変化していくかもしれません。
求人はあるとしても、厳しい経済状況を反映して有期制の労働や非正規雇用で働く翻訳者が増えてくる可能性があります。
しかしながら、機械やマニュアルなどでは対応できない分野を担う翻訳者に関しては、引き続きなくてはならない存在として重宝されるはずです。
翻訳者の将来性
最近では、個人でも外国語ができる人が副業など片手間に翻訳をやることが増え、相対的に外国語専門家の優位性が減っていると考えられます。
いまのところ、産業翻訳分野の特許翻訳はまだまだ需要が高く、単価も高いといわれますが、今後もそれが続くかは分かりません。
しかしながら、専門分野に特化した翻訳のニーズが小さくなることは、当面考えにくいといって間違いないでしょう。
とはいえ、ビジネススタイルが多様化し、たとえばネットショップが増えて従来型の大企業でさえ衰退した実例があるように、翻訳の請負いのシステムにも変化が出るかもしれません。
実際に翻訳の仕事を受注をめぐる世界的なネットワーク会社ができたりと、翻訳含めた新しいビジネススタイルが出てくる可能性は十分に考えられます。
しかし、これは零細企業や個人でも、やり方によっては大きく活動できる可能性を秘めています。
20代で正社員への就職・転職
翻訳者の活躍の場
翻訳者は、語学のプロフェッショナルという特徴を生かして、さまざまな方面で活躍できるチャンスがあります。
文芸翻訳や映像翻訳は、とくにフリーランスが活躍することが多い領域です。
ただし、個人で活動していく場合、実力や実績がないと難しい仕事を受けるチャンスも限られてくるため、まずは翻訳会社へ登録をし、安定して仕事を受注できるようになることが最初のハードルとなります。
一方、実務翻訳の分野では、法律事務所や外資系企業、特許関連の会社の翻訳部門などに所属し、企業内で翻訳業務にあたる人もいます。