図書館情報学とは? 大学で学ぶことや就職先は?





図書館情報学の概要・理念

図書館情報学は、図書館の運用に必要な図書や管理分類方法などについて学ぶとともに、蓄積・整理された情報をIT技術によって有効活用する方法について研究する学問です。

図書を分類・保存する方法論を体系化した図書館学は古くから学問としてありました。

近年はIT技術の進歩によってコンピュータやデータベースを活用した情報の整理が広く普及しています。

こうした情報化の在り方や適切な管理方法については、従来は情報学の分野で研究されてきました。

これらの2分野が融合し、デジタルメディアを活用して情報を整理・参照することを前提とした図書館情報学が生まれ、研究されるようになったのです。

現在では図書館情報学の研究対象となる媒体は図書だけでなく、音声、映像、デジタルコンテンツに関する研究も進められています。

過去から蓄積されてきた人類の叡智を図書をはじめとするさまざまな方法で保存し後世に伝えていく上でも、大きな意味を持つ学問の1つといえます。

図書館情報学で学ぶこと

図書館情報学を学ぶにあたって、基礎となるのは図書館学です。

図書館の歴史、種類、方法論について理解を深め、図書館がどのようにして運用されているのかを学びます。

また、知識を得て活用するということの本質を理解するために、哲学や思想史の授業が行われることもあります。

知識を得るための手段として、現代では図書館だけでなくインターネットもその役割を果たしています。

そのため、情報リテラシーやセキュリティに関する授業を必須科目としている大学も見られます。

現代における図書館はデジタルメディアによる情報管理が必須となりますので、データベース構築やネットワークに関する科目、自然言語解析に関する授業といったように、情報工学の基礎を学ぶ科目を選択することも可能です。

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図書館情報学の大学での授業科目の例

図書館学

図書館の運営全般を支える思想をはじめ、図書の分類・保管方法といった実務的な技能についても学びます。

情報リテラシー

情報を収集・発信するにあたって理解しておくべき基礎的な知識や判断基準について習います。

哲学

知識を活用するとはどういうことであるか、その本質を学ぶためにも、過去の思想家たちの思考や論理性に触れます。

データベース基礎演習

膨大な情報を体系的に分類し保存していく上で欠かせないデータベースの構築方法を体得します。

自然言語解析論

必要な情報を検索する際に不可欠となる自然言語の解析について、理論や運用方法を学びます。

図書館情報学のレポート・テーマの例

図書館情報学のレポートテーマは、大きく分けると図書館学寄りのものと情報学寄りのものがあります。

図書館学は比較的古くから研究されている学問ですが、図書館情報学としての情報学領域は比較的新しい分野であることや、過去ではなく現状の課題に関する考察が求められることも多いため、データの収集から行う必要がある場合もあります。

  • ・図書資料の規制と図書館の自由
  • ・引用の特徴と役割
  • ・中学校における学校図書館選書の課題
  • ・図書館における課題解決型サービスについて
  • ・うろ覚え図書を特定する方法

図書館情報学と関連する学問

人が知識を得たいと考える動機やその結果としての行動についても、図書館情報学の研究対象となることがあります。

これは社会学において研究されるテーマでもあるため、社会学との関連度合いは高いといえるでしょう。

また、情報を扱うという意味ではメディア学も図書館情報学と重なる部分の多い学問です。

情報の提供方法や広まり方に関しては、両者の研究内容には重複している部分が多く見られることがあります。

さらに、膨大な情報を分類・保管するためのデータベースや検索性を高めるための自然言語解析といった分野においては、コンピュータサイエンス全般が関わっています。

図書館情報学を学んで就職に有利な業界・仕事

図書館情報学という学問名から、図書館司書や司書教諭の道へと進むことを想像しがちですが、実際にはそれ以外にも就職で有利になる業界や職種はたくさんあります。

図書館情報学では、知識や情報を整理し体系化していく技能と、コンピュータエンジニアリングによってその理論を実践していくための手法の両方を学びます。

こうした能力は、たとえばSEやプログラマーになる場合も、求められる要件や活用する技術の要点を的確に理解し、システム設計を進める上で役立ちます。

また、膨大なデータを体系立ててまとめる能力は、コンサルティング会社やマーケティング会社で発揮できる場合もあります。

近年では、人工知能を研究テーマに掲げる大学も増えてきており、人工知能の開発や活用に注力している企業から専門知識を持つ人材として注目される可能性があります。

このように、図書館情報学で体得した知識や技能は、図書館に限らずさまざまな業種・職種で活用していくことができます。

図書館情報学の知識は人生でどう役立つ?

現代において、「学び」は子どもや学生だけのものではなく、大人にとっても重要なものであると考えられるようになりつつあります。

社会人になってからも学び続け、自己成長を止めない人材こそが、伸び続けていくと言われることもあります。

変化の速い時代において、新たな知見を得たり最新の情報に触れていくことは、新しい技術を使いこなし適切に管理していくためにも不可欠と考えられるようになってきたのです。

また、膨大な情報が氾濫する現代において、自分にとって必要な情報を見極めたり、情報の真偽を適切に判断したりする能力は今後ますます求められていくようになります。

図書館情報学で得た知識は、これからますます複雑化していくと考えられる社会において、自分なりの判断基準を持って生きていく上で十二分に役立てることができるでしょう。

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