社会心理学とは? 大学で学ぶことや就職先は?

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社会心理学の概要・理念

社会心理学は社会科学の一分野として位置づけられている学問です。

たとえば恋愛や犯罪といった現象は人が一人で生じることはなく、必ず2人以上が関わることで発生します。

このように、2人以上の人間が関わって生じる心理現象や行動特性について研究するのが社会心理学です。

心理学が一個人の心理現象や社会行動とは関係なく生理的な過程での心理現象を研究対象とすることも少なくないのに対して、社会心理学は人と人との間で起こる社会的な事象を研究対象としているのが大きな特徴の1つです。

そのため、社会心理学の研究過程においては理論的な考察に終始することなく、実地での調査や実験を通じて仮説を実証する形で進められることが少なくありません。

もともとは心理学と社会学を合わせた学問として誕生したと考えられており、集団心理や対人認知といった現代社会においても多方面から関心を寄せられている分野となっています。

複雑化する現代社会における課題やそれらに対する解決策を提唱する上で、重要な学問分野といえるでしょう。

社会心理学で学ぶこと

社会心理学の研究分野には、大きく分けて次の4つがあります。

・社会の中における個人の心理
・個人と個人の対人認知
・集団心理と行動
・社会現象、社会問題

人が2人以上関わるところには、必ずと言っていいほど社会心理学による考察が可能な事象が隠れていると言ってもいいでしょう。

いずれも心理学の定説や過去の研究を参照しながら、今現在の社会において見られる現象や課題を心理学の手法を用いて実証していきます。

実験の過程においては、必要に応じて被験者に実験の真意を伝えないまま進めたり、架空の実験目的を伝えたりすることも少なくないため、被験者の心証にも配慮する倫理観が求められることがあります。

こうした実証を積み重ねることによって、実社会で応用可能な理論や法則を見出していきます。

社会心理学の大学での授業科目の例

対人認知論

他人から見た自分や、自分から見た他人に対するイメージが形成される過程や要因について研究します。

対人行動論

恋愛など日常的な事象から、暴力や攻撃的な行動に至る心理など、他者に対する行動と心理の関係を学びます。

集団心理学

人が集団の中にいることで起こり得る争いや結束といった事象や、リーダーシップなど集団の中での役割について考察します。

コミュニケーション論

言語によるコミュニケーションだけでなく、表情・しぐさ・雰囲気といった非言語による意思疎通も含めて、心理学の理論を駆使して研究します。

集合論

人が大勢集まった中で発生する流行や噂といった現象について、心理学のアプローチによって解明を試みます。

社会心理学のレポート・テーマの例

社会心理学のレポートには、身近な社会現象をテーマとして取り上げ、心理学のアプローチによって課題点を浮き彫りにしたり、原因を究明したりする試みがなされます。

日常的に経験する対人関係に関するテーマも扱われているのが特徴的です。

  • ・青年の自己開示と心理的幸福感
  • ・ファン心理と自尊感情
  • ・衣服の色と印象形成
  • ・クレーマーの心理について
  • ・対人恐怖心性について

社会心理学と関連する学問

社会心理学は社会科学の分野の1つとされるだけに、社会学と深い関わりを持つ学問です。

社会学が現象そのものに着目し研究するのに対して、社会心理学ではそこで関わる人の内面を探求する傾向があります。

ただし、社会心理学と社会学は隣接・重複する部分も多々あり、類似性の高い学問分野といえるでしょう。

また、社会心理学は社会的な現象が生じる原因となる人間の心理を考える学問ですので、たとえば購買心理を研究するのであれば経営学商学、国際紛争に関する心理を考えるのであれば国際関係学といったように、研究テーマによって関連する学問の分野が異なります。

社会心理学を学んで就職に有利な業界・仕事

社会心理学は実社会における社会現象やそれらに関わる人々の心の動きに着目する学問ですので、業界を問わず「人」が関わる仕事であれば応用可能です。

職種としては営業やマーケティングなど、商品を人に勧めたり欲しいと思ってもらうための戦略を練ったりする仕事において、社会心理学の思考プロセスを活かせる可能性が高いでしょう。

また、世の中のほぼあらゆる仕事は同僚や上司、取引先や顧客といったように、多くの人との関係性の中で築かれ発展していくものばかりです。

人と関わる以上、相手に対してどのように配慮するか、どう伝えたら納得してもらえるか、といったことを常に考えていく必要があります。

そういった意味において、社会心理学で学んだ人の心の動きやそれに伴う行動に関する知識は、あらゆる場面で活かすことができるでしょう。

普遍性が高い学問ですので、就職活動の際にも「人」への興味関心という点においては幅広くアプローチすることができます。

社会心理学の知識は人生でどう役立つ?

社会心理学は身近な対人関係や集団心理について考える機会の多い学問です。

「このような場面で人はどう感じるのか」「こうした行動を取る人は、どういった心境なのか」といったことを深く考え抜いてきた経験は、日常的な対人関係を良好に保っていく上でも大いに力を発揮することでしょう。

社会に出れば職場や家庭、地域といったさまざまな場面で多様なタイプの人と接していくことになります。

自分とは異なるタイプの人と関わる際にも単に好き嫌いで判断するのではなく、ものの感じ方や行動に多様性があることへの理解を深め、他者と自身の違いを受け入れていくにあたって、社会心理学で学んだ理論や思考プロセスを役立てていくことができるはずです。