スーパー業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
スーパー業界とは
スーパー業界は、青果・鮮魚・精肉などの食品や日用品を主に販売する「スーパーマーケット」が属している業界です。
メーカーから仕入れた商品を消費者に販売する「小売業」に属しており、食品を主に取り扱う「食品スーパー」が大半を占めています。
経済産業省の調査によれば、平成28年度のスーパー業界売り上げは13兆円。
「イオン株式会社」、「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」の2大企業がシェアの大半を占める巨大な業界です。
しかし、国内の人口減少により、業界規模は今後縮小すると予測されています。
スーパーマーケット業界の職種としては、メーカーから商品を仕入れる「バイヤー」、接客やレジ打ちを行う「販売」、セールや新商品企画を担当する「販売支援」、店舗全体を統括する「店長」などがあります。
ほとんどの職種で販売と接客がメインの仕事となるので、人とのコミュニケーションが好きな方におすすめの仕事です。
スーパー業界では、インターネット通販の普及・国内人口の減少・コンビニ・ドラッグストアのスーパー化により、厳しい競争環境が予想されています。
競合店に対抗するため合併・統合を推し進めながら、スーパーならではの価値観をどう作るか、各企業で試行錯誤が行われています。
スーパー業界の役割
10,000種類以上の商品を取り揃え、あらゆるお客さまの生活を下支えするのが、スーパー業界の役割です。
特に食品に専門性があり、食肉・魚介類・野菜・調味料・レトルト食品などが、売り場にぎっしりと配置されています。
一人暮らしの学生や高齢者など料理に時間が取れない方でも、スーパーを利用することで、栄養バランスのとれた暖かい食事を食べられるのです。
そんなスーパー業界も、インターネット通販やコンビニの発展に伴い、役割の見直しを迫られています。
利便性や価格面でインターネット通販に、手軽さではコンビニに遅れをとるようになったからです。
人口減少や消費低迷も問題として立ちふさがっており、今後のスーパー業界には改革が求められています。
24時間営業の開始・ネットスーパーへの参入・プライベートブランドの開発を行い、スーパーならではの魅力を作るのが今後の課題です。
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スーパー業界の企業の種類とビジネスモデル
スーパー業界の大企業は2つ
スーパー業界は2つの大企業がシェアの大半を占めており、2強と呼ばれています。
すなわち、「イオン株式会社」と「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」です。
どちらも数百を超える総合スーパーとショッピングモールを抱えており、国内だけでなく海外展開も進めています。
近年は、資本力を生かして「プライベートブランドの創設」や「セルフレジ化」に取り組んでおり、知名度アップや人件費削減を図っています。
スーパー業界の中小企業
スーパー業界の中小企業は、数店〜数十店の店舗を抱え、地域に根ざした経営を行っているのが特徴です。
東海地方を拠点とする「バローホールディングス」、近畿地方を中心に展開する「平和堂」など、地元の方に愛されている企業が多数存在します。
大都市圏で特定の消費者層をターゲットとした「大都市ニッチ型」、地方圏で特定の消費者層をターゲットとした「地方都市兼ニッチ型」、地方で日々の買い物ニーズに応える「地方都市圏ドミナント型」が、中小企業の主なビジネスモデルです。
スーパー業界の外資系スーパー
外資系スーパーマーケットも進出していますが、巨大なシェアを持つ大企業と地元から支持される中小企業に押され、生き残っているのは少数です。
膨大なバリエーションと在庫を持つアメリカの「コストコ」、業務用を専門としたドイツの「メトロ」、高級食材を取り扱う「ディーン・アンド・デルーカ」など、個性のある企業が生き残っています。
スーパー業界の職種
販売
店舗に立って、商品の補充・接客・レジ打ち・在庫管理を行います。
大手スーパーでは担当する売り場が決まっていますが、中小スーパーでは全ての売り場が担当です。
販売と接客が主な業務となるので、お客さまと積極的にコミュケーションを取る姿勢が重要となります。
経験とスキルを積んでいけば、店舗の全てを統括する店長になることも可能です。
バイヤー
店舗で販売する商品を、メーカーから買い付ける役職となります。
安さがなにより重要なスーパーマーケットにとって、仕入れ額の交渉にあたるバイヤーの役割は大きいです。
単に安いだけではなく、トレンドやニーズを先取りした「売れる商品」を見分けるスキルも問われます。
販売支援
セールやフェアの企画・長期的な販売戦略の立案・品質向上のための指導を行う役職です。
現場での勤務経験と、マーケティングや経営戦略に関する知識が両方求められる、レベルの高い職種となっています。
スーパー業界では、「販売促進職」、「スーパーバイザー」などの名前で呼ばれます。
店長
店舗の社員を束ね、店全体のマネジメントを行う管理職です。
売り上げ目標に対する責任を負いプレッシャーは大きいですが、その分やりがいのある職種でもあります。
担当した店の業績を向上させれば、複数の店を統括する「エリアマネージャー」や「ブロック担当」などさらに上位の役職へと昇進可能です。
スーパー業界のやりがい・魅力
陳列や商品仕入れなど、小売業のイロハを学ぶことができるのがスーパー業界の魅力です。
食品を主に取り扱うので、食材や料理に関する知識もつけることができます。
現場で成果を出し続ければ、売り場責任者→副店長→店長→エリアマネージャーと昇進し続けることも可能です。
お客さまから直接「ありがとう」と言われることも多く、人と話すことが好きな方はやりがいを感じやすいです。
大手就職サイト「DODA」の調査によると、スーパー業界の年収は360万円とやや少なめです。
日本の平均年収を下回る推移となっており、就職する際には留意する必要があります。
大手企業に就職する、企画や管理部門に配属されることで年収が高くなります。
「イオン株式会社」や「株式会社セブン&アイ・ホールディングス」なら年収700〜800万円も可能です。
スーパー業界の雰囲気
接客が中心となるので、人とのコミュニケーションが重要です。
お客さまからはクレームや要望も舞い込むので、うまく対応することも求められます。
サービス業全体に言えますが、人と接すること・話すことが好きな方に向いている仕事です。
老若男女さまざまな方が訪れるので、お客さまに合わせた話し方・接し方を普段から心がけましょう。
朝から夜まで忙しく働く必要があるため、臨機応変に素早く対応することを求める雰囲気が職場にはあります。
決断が素早く、常に的確な判断に自信のある方は、挑戦しがいのある職場といえるでしょう。
セール・棚卸し時には残業時間が長期に及ぶので、ある程度の体力や長時間労働への適性も必要です。
スーパー業界に就職するには
就職の状況
スーパー業界は慢性的な人出不足に悩まされており、経験を問わず人材を常に募集しています。
業界での就職難易度は、低いといえるでしょう。
平均年収は低めですが、大企業で就職した場合は高給も狙えます。
大企業の方が長時間労働への配慮・女性が働きやすい職場整備も進んでいます。
アルバイト・契約社員から正社員へ昇格するパターンも豊富なので、フリーターから就職を目指す場合は、スーパー業界を検討してみてもよいでしょう。
就職に有利な学歴・大学学部
スーパー業界では、一部の大企業を除き、就職に必要な資格や学部経験はありません。
文系・理系問わずさまざまな方が大卒で勤務しており、高卒や専門卒の採用も数多くあります。
就活生からの人気は高いとは言えませんが、その分好条件の求人が見落とされがちで、「狙い目」の業界です。
学歴や学部に自信がない方でも積極的にチャレンジし、高待遇で入れるチャンスがあります。
経営学部など経済に関する知識を学んだ学部卒業生である、「販売士」のような販売に関する資格を保有している場合は、選考で有利です。
経営企画や販売支援など、経営戦略に関する職種の場合は、マーケティングの知識や商品PRに携わった経験が必要となります。
就職の志望動機で多いものは
「小売業に携わることで、人の生活を豊かにしたい」という流れが多くみられます。
人の生活になくてはならない業界であること・お客さまとのコミュニケーションが頻繁にあることを意識し、志望動機を作成しましょう。
企業側は、志望動機を通して「なぜうちのスーパーではなくてはならないのか」、「なぜ小売業なのか」を確認しています。
志望者の数も多いので、しっかりと企業研究をし、他の応募者と差別化できるポイントは何か?を意識しましょう。
学生時代アルバイトで体験している場合は、体験者ならではの体験や思いを語ることで、採用担当の心を動かす志望動機が作成できます。
スーパー業界の転職状況
転職の状況
就職と同じく、転職の需要も旺盛にあるのがスーパー業界です。
経歴にブランクのある方も数多く採用されているので、再チャレンジの場としても最適といえるでしょう。
35歳まで応募が可能など、幅広く人材を求める企業も多いです。
求人は販売職が最も多いですが、転職求人ということもあり、ゆくゆくは店長昇進も視野に入れたキャリアパスが設定されています。
休日増加など近年は労働環境も改善しつつあり、転職の選択肢として悪くない業界です。
転職の志望動機で多いものは
営業、飲食業、販売員など接客業を体験した社員が多く、「接客の経験を生かしたい」「店長を目指したい」という志望動機が多いです。
経営企画や販売促進の場合は、自身の商品PRや販売戦略立案の経験をアピールできる志望動機が多く見られます。
離職する社員が多いので、企業の採用担当は「長く働いてくれそうか」を志望動機からチェックしていることが多いです。
「エリアマネージャーを目指したい」、「店長になって売り上げを倍増させたい」など、大きな目標を盛り込めば、末永く活躍が見込める社員として評価されやすいです。
やる気を最大限アピールできる志望動機で、内定を勝ち取りましょう。
転職で募集が多い職種
基本的には、販売職の募集が主になっています。
年収は多少低いですが、その分スキル・経験不問な企業も多いので、転職難易度は低いです。
業界での勤務経験や知識が豊富な場合は、販売促進や経営企画職にチャレンジすることもできます。
ただし、求められるスキルも増えますので、応募する場合は万全の準備をしましょう。
語学スキルがあれば、海外進出のポジションにも応募できます。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
転職の場合、販売や店舗経営に関するスキルがあれば、有利に選考を薦められます。
業界未経験でも比較的転職しやすい業界ではありますが、長時間労働や重労働が前提の求人もあるので注意しましょう。
スーパー業界での勤務経験があれば、販売促進など現場での経験が必要な部署に応募可能です。
比較的体力が求められる仕事なので、肉体労働経験があれば積極的にアピールしましょう。
スーパー業界の有名・人気企業紹介
イオン株式会社
平成29年度売り上げ8兆円という、業界ナンバーワン企業です。
600を超える総合スーパーを保有し、マルエツ・トップバリューを傘下に持つイオングループを形成しています。
2017年には「女性活躍推進度1位」に選ばれ、グローバル展開にも積極的など先進的な企業です。
株式会社セブン&アイ・ホールディングス
平成29年に営業収益5兆8,000億円を売り上げた、イオングループに次ぐ日本第2のスーパーマーケットです。
イオンと共に、収益が兆を超える超巨大企業として、スーパー業界に君臨しています。
コンビニ「セブン・イレブン」を始め、「イトーヨカドー」や「ロフト」など、知名度の高い企業を多数展開します。
ユニー・ファミリーマートホールディングス
営業収益8,000億円とトップクラスには及ばないものの、巨大な規模を誇るスーパー企業です。
名前の通りコンビニ「ファミリマート」の母体であり、そのほかにもスーパーマーケット「アピタ」、「ピアゴ」を運営しています。
若い社員にチャンスを与え、実力さえあればすぐにでも独り立ちできる社風も魅力です。
スーパー業界の現状と課題・今後の展望
競争環境
巨大市場として国内の消費をけん引してきたスーパー業界ですが、人口減少により勢いに陰りが見えています。
Amazonをはじめとするネットショッピングの台頭もあり、競争環境は厳しい状態です。
市場売り上げは微増の推移となっており、今後は減少する可能性もあります。
各企業は、М&Aや海外進出などで生き残りを図っていますが、それらにもリスクがあり、先行きは不透明です。
最新の動向
スーパー業界が近年取り組んでいるのが、「プライベートブランド」と「セルフレジ」です。
プライベートブランドはスーパーが独自に企画した商品で、卸業者を通さず通常よりも低価格で販売することができます。
セルフレジは、これまでレジ打ち係が必要だったレジを無人化し、経費削減を可能とした機器です。
今後は無人化・省力化が進み、人件費削減が行わると予想されています。
業界としての将来性
さまざまな課題のあるスーパー業界ですが、あらゆる人の消費を支える意義は大きいものです。
競合店との競争に打ち勝つため、24時間営業の導入・ネットスーパー・プライベートブランドの開発などが今後は求められます。
落ち込んだ国内需要の代わりとして、海外進出でどれだけ利益を出せるかが今後のスーパー業界の分水嶺といえるでしょう。
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