総合商社業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





総合商社業界とは

国内のさまざまな分野の事業主と顧客をつないでビジネスを作りつつ、海外での事業展開も多い総合商社業界。

国内で有数の売上高や従業員数を誇る有名企業が多い業界でもあります。

社会に大きなインパクトがあり、やりがいのある仕事内容と、高い平均年収や良い福利厚生の影響で、就職への人気も高いです。

実際、業界内の平均年収は1,000万円を超えており、社宅や住宅手当などの福利厚生も充実しています。

一方で、働き方はハードで、体力勝負な部分があるのも事実で、社内外での高いコミュニケーション能力や幅広い知識などが要求されます。

しかし、さまざまな業界と関わりながら、ビジネスの上流から下流までをみられますので、ビジネスマンとしての経験を積む機会が多く、やりがいは高いでしょう。

また、非常に多くの事業を取りあつかう分、世の中の変化に対応することに長けており、実際資源の分野からの転換期を迎えています。

なにかと魅力と話題の多い業界ですので、さっそく業界の概要を紹介していきましょう。

総合商社業界の役割

総合商社業界の社会的な役割は、大きく分けて以下の3点があげられます。

・国内外をつなぎ国際経済を回すこと
・買い手と売り手のかけ橋になること
・将来性のある事業への投資をすること

上記3点について、それぞれ解説していきます。

総合商社は、海外で購入したものを国内で販売したり、国内製品やパーツなどを外国で売ったりして国際経済を回しています。

つまり、国内外のニーズや時代の先読みから利益を得ることで、国際的な経済を回す重要な役割を担っているのです。

次に買い手と売り手のかけ橋になることは、総合商社の代表的な仕事であり、さまざまな分野に介入して、付加価値をつけることも役割です。

また、最近は将来性のある事業への投資も盛んに行われています。

多分野のメーカーや小売店といった事業者にアプローチして、より最終的な顧客の需要に応えられるよう、後押ししているのです。

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総合商社業界の企業の種類とビジネスモデル

多数の分野のサービスや製品をあつかう総合商社ですが、設立された経緯などから、2つに大別することができます。

具体的には以下のとおりです。

・旧財閥系の総合商社
・関西五綿系の総合商社

ビジネスモデルがどんどん変わってく総合商社業界ですが、歴史があるだけにやはりルーツには誇りがあるものです。

旧財閥系の総合商社

旧財閥系の企業をルーツとする商社は、基本的に日本を代表する総合商社だといって良いでしょう。

具体的には、以下3つの企業が旧財閥系の総合商社に分類されます。

・三菱商事株式会社
・三井物産株式会社
・住友商事株式会社

基本的には、バランスの取れた事業経営をおこなっていますが、三井物産なら資源分野、住友商事ならメディアと不動産など、それぞれ特徴があり、時流にそって変革していることが分かります。

就職・転職にチャレンジするなら、注力しているであろう分野と自身のスキルやキャリアとの接点をアピールしましょう。

関西五綿系の総合商社

元々は、繊維系の商社から発展して、総合商社になった企業があり、代表的な5社を以下に紹介します。

・伊藤忠商事株式会社
・丸紅株式会社
・豊田通商株式会社
・双日株式会社
・兼松株式会社

上記は、戦前からの繊維製品の輸出をきっかけに規模を拡大し、専門商社を合併してできた総合商社です。

実際、旧財閥系の総合商社と違い、伊藤忠商事などは現在も繊維に一定の売上比率を誇っています。

ここまで紹介した企業以外にも規模が大き商社はありますが、他はすべて専門商社に分類されます。

その他は専門商社

総合商社の関連会社などを含めて、特定の分野に特化した商社を専門商社といい、総合商社とは区別します。

例として以下のような企業があります。

・株式会社メタルワン
・伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社
・豊通マテリアル株式会社

総合商社業界の職種

営業

総合商社業界における代表的な職種が営業です。

デスクワークももちろんありますが、基本的に外回りが多く、いろいろな業界の企業の担当者と面談しながら、ビジネスを作っていきます。

総合商社業界の社員といえども、個人的に信用されなければビジネスを作ることは難しいので、やはりコミュケーション能力や知識、課題解決能力などが重要です。

貿易事務

貿易事務は商社業界に特有の職種です。

主に営業職のサポートをおこないますが、多言語での電話対応や書類作成業務が発生するのが特徴です。

また、通関の手続きをおこなう必要性も出てきますので、ルーチンワークの多い一般的な事務職と違って、幅広い知識が要求されます。

その分、待遇は良いものですし、仕事へのやりがいもあることでしょう。

事業企画

時流や社会の変化に合わせて、柔軟にビジネスモデルを変化させていくのが総合商社の特徴ですが、そのビジネスモデルの立案などをするのが事業企画職です。

マーケティングの業務を担当するのはもちろんのこと、他企業への事業投資の計画を立てることも担当しますので、金融的な仕事をするのも特徴です。

また、経営計画とも密接な関係があり、事業計画と関連して経営戦略や他企業へのコンサルティングなどをすることもあります。

ハードな職種ですが、その分やりがいやビジネスマンとしての経験を積むにはうってつけの職種です。

総合商社業界のやりがい・魅力

やりがい

総合商社業界のやりがいは、なんといっても動かしている事業内容や金額が大きいことでしょう。

ときには国家的なプロジェクトに関わることや新たなビジネスを作ることもありますので、大変ではありますが、達成感も大きなものになります。

また、近い業界に専門商社業界がありますが、専門商社が狭く深いビジネスをしていくのに対し、総合商社は多分野に渡るトータルでの提案ができるのが持ち味です。

経営者とのやりとりも増えるので、ビジネスの下流から上流までを味わいたいなら総合商社業界はおすすめできます。

待遇

総合商社業界の待遇は、とても良いといえます。

実際、7大商社の平均年収は、のきなみ1,000万円を超えています。

また日本有数の資本力を誇る企業との密接な関係にありますから、福利厚生なども充実しています。

もちろん良い待遇の背景には、ハードな働き方や大きな責任感があることを忘れてはいけません。

したがって、総合商社業界の仕事にやりがいと楽しさを感じられるのであれば、待遇の良さと相まって、満足度の高い社会人生活を送れることでしょう。

将来性への期待

総合商社の将来性は明るいと考えられています。

商社不要論も昔からありますが、総合商社業界のビジネスモデルの本質は、時代の変化に対応して、価値創出することです。

元々、多分野への干渉力とノウハウが蓄積されていることを考慮すると、第4次産業革命激化への対応力も高い業界だと考えられます。

総合商社業界の雰囲気

総合商社業界は、一般的に待遇が良い一方で激務なイメージを持たれがちで、事実仕事に追われることも珍しくありません。

しかし、主体的に仕事ができるため、アクティブで活気ある雰囲気の傾向にあります。

総合商社ではたらく人の典型的なイメージとしては、笑顔がすてきな人で、コミュニケーションに長けていることでしょう。

信頼で他業界や別の国でビジネスをするわけですから、信用第一に応えられる人材が多く、必然的に社内での助け合える文化が根付いている傾向にもあります。

一方で、やはり体力勝負な部分もあり、さまざまなことに自分から挑戦していけるモチベーションを持ち続けることも重要です。

もちろん、海外赴任する可能性も高いため、国内でのコミュニケーション能力だけでなく、海外での生活や文化などに早く適応し、楽しめるタイプの人も多くいます。

総合商社業界に就職するには

総合商社は、日本有数の企業ばかりであり、仕事へのやりがいと待遇の良さから、就職への人気と根強さは高いものです。

就職に有利な学歴や志望動機を含めて、しっかりと情報を頭に入れていきましょう。

就職の状況

総合商社の従業員数は少ないところでも2,000人をこえており、多いところになると6,000人をこえています。

したがって、必然的に毎年の募集人数も多いものとなりますが、人気の高い業界であるため、応募する人数も多いです。

また、応募してくる学生も高学歴が多くなっていますので、事前準備を念入りにしなければいけないことを覚悟しましょう。

ただし、総合商社業界でも一般職は募集しています。

もっとも、ここまでご紹介してきたような働き方をしたければ、大卒以上の学歴が要求される総合職に就職する必要があります。

就職に有利な学歴・大学学部

いわゆる難関大学でなくても総合商社に入社している人は一定数いますが、それでも旧帝国大学や早慶などの難関大学出身者が総合商社に多いのが現状です。

特に、総合商社業界によく採用される人数が多いのは、慶應義塾大学とされており、一橋大学の卒業者は、総合商社へ就職する割合が高いとされています。

学部としては、法学部や経済学部、商学部の学生が総合商社に多く入社していますが、どちらかというと、上記の学部生が総合商社を志望している率が高いのが原因といわれています。

実際、理系の学部生、それこそ大学院生なども一定数入社していますので、入社希望の企業と良い接点が持てるのであれば、十分就職へのチャンスがあるといえるでしょう。

就職の志望動機で多いものは

総合商社の志望動機としては、仕事の社会に与えるインパクトが大きく、さまざまな業界や国とつながりを持ちながらの仕事をしたい、というものが多い傾向にあります。

数多くの分野での事業を抱える総合商社といえども、企業毎に得意な分野に違いはありますので、企業研究をしっかりとし、やりたいこととできることを結びつけることも重要です。

特に盛りこみたい要素としては、人とのつながりを大事にしてきたことや外国語のスキルなどが代表的です。

人とのつながりは総合商社業界全体で重視されることですし、外国語は堪能であればあるほど、評価されます。

留学先で自ら人の中心となって、取り組んだことなどがあれば、志望動機として1つの理想形でしょう。

総合商社業界の転職状況

転職の状況

総合商社業界の転職の募集は、実はさほど多くありません。

というのも、新卒で採用した人材を長期的に育成していく文化が強い傾向にあるのです。

新卒自体は毎年大量に採用していますので、人材がさほど不足しているわけでもありませんので、企業の方針として、力を入れていきたい分野とのマッチングが重要になってきます。

したがって、ご自身のスキルや経験の棚卸しはもちろん、入社を目指す企業の方針などを詳しく分析しておくことが重要です。

転職の志望動機で多いものは

社会に与えるインパクトの大きな総合商社の仕事ですが、社会に影響のない業界というものはありません。

社会人経験を経て、将来的に総合商社業界で何をなしとげたいか、という内容を具体的にアピールしてください。

もちろん、あなたが総合商社業界でなしとげたいことと、企業の利益が結びついている志望動機であることが大前提です。

転職で募集が多い職種

総合商社業界で募集が多いのは、なんといっても営業職や貿易事務職です。

事業企画職などの募集もあるにはありますが、基本的には商社での経験や他業界での事業企画の経験があることが求められます。

また、前職の業界が商社以外の場合は、入社をめざす企業で注力したい分野への深い専門性はもちろん、社内外のさまざまな人と働ける能力が、どの職種でも求められることを覚えておきましょう。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

総合商社業界への転職で有利なスキルとしては、英語力と公認会計士がよく上げられます。

英語はTOEICの高得点などもいいですが、外国人との商談や件数経験があれば、ぜひともアピールしましょう。

公認会計士は、単純に合格者が総合商社の社員に多いためで、簿記の場合は2級以上、理想的には英文簿記などの認定がほしいところです。

総合商社業界の有名・人気企業紹介

総合商社業界の企業はいずれも有名で人気があるのが現状ですが、ここでは売上高が特に高い企業3社をご紹介していきましょう。

三菱商事株式会社

三菱グループで中核をなす企業の1つであり、1970年台に今のビジネスモデルの基盤を作り上げている歴史のある企業でもあります。

資源ビジネスなどに大きな強みを持っているのと同時に、きわめて多くの分野に進出しており、同社の社員ですらビジネスモデルの全体像を把握していないほどとされています。

三菱商事株式会社 ホームページ

丸紅株式会社

芙蓉グループの中核に位置する大企業であり、食料や紙・パルプ、電力などの分野に特に強みを持っているのが特徴です。

総合商社らしく多分野に進出していますが、比較的1つの分野の中でさらに細かい事業展開をしているの企業でもあります。

丸紅株式会社 ホームページ

豊田通商株式会社

豊田通商株式会社は、トヨタグループの総合商社です。

トヨタグループと聞くと、どうしても自動車をイメージしてしまうでしょうが、実際には金属や機械、石油、食品、保険など、多数の事業を展開しています。

トヨタ自動車株式会社の事業と連携をとりつつ、総合商社の事業を上手く組み合わせた企業だといえるでしょう。

豊田通商株式会社 ホームページ

総合商社業界の現状と課題・今後の展望

競争環境(国内・国外)

時代の変化と合わせて、注力する事業を常に変えていくのが総合商社業界ですから、国内・国外ともに熾烈なシェア争いが続くことでしょう。

実際、総合商社業界の各社において、資源分野のビジネスモデルからの転換を進めようと、様々な分野を模索している最中です。

逆にいうと、社会の変化に合わせてビジネスチャンスが常にある業界でもありますので、変化や競争を楽しめるともいえます。

最新の(技術の)動向

最近は資源、特に原油を中心としたビジネスからの転換が進められています。

業界全体として注力しているのは、分野を問わず付加価値をつけていくビジネスモデルです。

単純に仕入れと販売を繰り返すのではなく、国内外のニーズをくみとり、新しいサービスやカスタムした商品を提案することが求められています。

多分野に進出している総合商社は、企業の内部も柔軟に変えていくことが可能ですので、よりクリエイティブに社会へ関わっていくことが求めらると考えられているのです。

業界としての将来性

総合商社業界の将来性は、明るくも不透明です。

というのも、先にも触れたとおり、業界全体がビジネスモデルの転換期にあるからです。

とはいえ、持ち前の大きな資本力による体力は国内でも有数のものですし、多分野に進出している分、不調な分野がいくつかあっても、好調・堅調な分野でカバーすることが十分可能です。

上記の安定性を活かしながら、常にあるビジネスチャンスを活かしていくのがやりがいであり、ミッションであることを考慮すると、業界としての将来性は明るいと考えられます。

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