リハビリテーション学(読了時間:4分29秒)

リハビリテーション学の概要・理念

人の体の機能は、病気や怪我などの要因により弱まったり損なわれたりすることがあります。

しかし、弱まったり損なわれたりした機能をリハビリテーションによって回復させることができる場合があります。

このようなリハビリテーションの訓練法や療法、援助法について研究するのがリハビリテーション学です。

病気や怪我の治療そのものは医学によって可能になりましたが、治療が完了したからと言って患者が社会に復帰して元の生活を送ることができる水準まで体の機能を取り戻せているとは限りません。

そこで、それぞれの患者の年齢や生活環境に応じたリハビリテーションを実施する必要があります。

リハビリテーションを通じて患者が体の機能を回復させ、社会復帰を果たすことで、患者にとって初めて「治療が完了した」と言えるのです。

このように、リハビリテーション学は治療医学、予防医学に次ぐ第三の医学と呼ばれることがあります。

高齢化しつつある日本において、リハビリテーション学の知識を持つ人材は今後ますます必要とされていくと考えられます。

リハビリテーション学で学ぶこと

リハビリテーション学には、大きく分けて基礎領域と専門領域があります。

基礎領域においては、人体の構造や機能、病気・障がいの種類や回復の過程のほか、リハビリテーションに関わる社会制度や医療倫理といった総合的な知識について学びます。

専門領域においては、より具体的なリハビリテーションの手法について学びます。

具体的には、作業療法や理学療法、言語聴覚療法、音楽療法、視覚訓練などが挙げられます。

こうした手法について、座学による講義はもちろんのこと、臨床実習を通じて実際の患者に接し、機能の回復や生活の改善についての指導を行います。

卒業に際して各自の専門領域について実習も踏まえてまとめ上げ、卒業論文を作成します。

リハビリテーション学の大学での授業科目の例

人体の構造・機能

人体についての理解を深めるため、解剖学や運動学、生理学といった分野の基礎を学びます。

社会制度・医療倫理

リハビリテーションに関する法規や医療に携わる人材に求められる倫理観について学びます。

作業療法

日常生活における動作や、仕事・遊びを通じた動作によって、体の機能回復を図る方法を学びます。

理学療法

水や温水、電気療法といった理学的な手法を用いて、体の機能回復を図る方法を学びます。

言語聴覚療法

音声の発話や言語の認識、聴覚といった機能に障がいがある人に対して、機能向上のための治療を行う方法について学びます。

リハビリテーション学のレポート・テーマの例

リハビリテーション学のレポートでは、具体的な手法を用いて患者にリハビリテーションを実施した際の効果について検証し、評価や課題点を整理するケースが多く見られます。

中には実習を通じて得た知見や今後の課題についてまとめる場合もあるため、1本のレポートを書き上げるまでに相応の期間を要することもあります。

  • ・ウォームアップがパフォーマンスに与える影響
  • ・高齢者の歩行・バランス能力を改善する座位体操
  • ・電気刺激が運動中の心拍・血圧応答に及ぼす影響
  • ・後ろ向き歩行トレーニングと脳性麻痺児の歩行動作
  • ・高齢者の膝関節伸展運動における同時収縮割合

リハビリテーション学と関連する学問

リハビリテーションは治療医学や予防医学とは区別されていますが、医療現場で患者と接する点においては医師や看護師と同様です。

そのため、医学や看護学に関する基礎的な知識を求められることも多く、関連性の高い学問といえます。

また、スポーツ科学において選手の身体機能の回復や怪我からの復帰を研究しているケースもあるため、こうした研究を通じて得られた知見がリハビリテーション学に活かされていることもあります。

リハビリテーションに関する法規や行政との関わりに関する知識が必要とされることもありますので、法学の知識も求められます。

患者との円滑なコミュニケーションが重要な分野ですので、患者の心の動きを察知する上で心理学とも関わりの深い学問と言えます。

リハビリテーション学を学んで就職に有利な業界・仕事

リハビリテーション学を学んだ学生の多くが、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士といった国家資格を取得し、医療現場や福祉施設で働くことになります。

就職先として最も多いのが医療施設で、治療を終え生活期に入りつつある患者が意欲的にリハビリテーションに取り組めるよう支援を行います。

介護老人保健施設などの福祉施設への就職に際しても、リハビリテーション学を学んだ経験を活かすことができます。

他にも、地域包括支援センターにおいて、地域住民に介護や保健指導を行うことも考えられます。

近年ではリハビリテーションのニーズが拡大しており、作業療法士や理学療法士の養成校において講師として後進の育成に取り組んだり、スポーツ分野で怪我をしたアスリートを復帰に導くための指導や、疲労・故障しにくい体づくりの指導などを行うトレーナーを目指すことも可能です。

このように、リハビリテーション学の知識を活かして活躍できるフィールドは広い範囲にわたっており、就職に有利になる業界・職業は豊富にあると言えるでしょう。

リハビリテーション学の知識は人生でどう役立つ?

私たちは生涯を通じて、自身の体と付き合っていく必要があります。

加齢や病気・怪我などの影響によって、体の機能が弱くなったり失われたりすることは、誰にでも起こり得るのです。

今後は社会全体の高齢化が進み、高齢になっても健康でいきいきとした生活を送ることができるかどうかといった、いわゆる健康寿命が大きな課題になると思われます。

リハビリテーション学で得た知識や技能は、健康寿命を伸ばして健康的な暮らしを続けていきたいと希望する人々に対して助言を行い、具体的な指導を施すことに役立ちます。

これからの社会でさらにニーズが高まっていくと考えられるリハビリーテションに関する知見を持つことは、社会貢献度という点においても、自身の仕事のやりがいという点においても、大きく寄与するものとなるはずです。

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