【人間探究オタクセラピスト】精神科看護の経験が起業を踏み出すキッカケに。湯澤紗世子さん
今回は、精神科の看護師の仕事をしたことがキッカケで「病気になる前にケアできる場所をつくりたい」と起業を果たした、人間探求オタクセラピスト湯澤紗世子さんからお話を伺います。
「人間探究オタクセラピスト」とは
「人間探究オタクセラピスト」という肩書の意味を教えてください。
「人」に興味を持ち、生き方・考え方・価値観・感情などから人それぞれの個性・人生を研究・分析し、「あなたが人としてどれだけ素晴らしいのか」を気づかせてあげるという、私の個性・特技を表す肩書として「人間探究オタクセラピスト」と約2年前に付けました。
私はさまざまな職を経験していますが、すべての仕事に「人と深く関わること」が共通していました。
そしてそれは、「人が好き」であることが原点だと気づいたのです。
また、いろいろな方たちとお会いするたび、自分自身も刺激を受け、関わる人たちの人生史に深く興味を持ち始めたのもあります。
人間探究オタクセラピストとしての活動が収入源となっているのでしょうか。
現在はサロンを経営しながら派遣看護師として働いています。
コロナ禍前はサロン『Mavie』の一本で生計を立てていましたが、コロナ禍後は新規・常連のお客様の来店率が低下。
また、感染対策として一日の来店人数を制限したため、サロンでの収入も下がりました。
そして、このコロナ禍の社会で今できることは何かと考え、私には看護師の資格があったので、「人間探究オタクセラピスト」「看護師」のダブルワークをしようと決断しました。
人間探究オタクセラピストの活動内容
人間探究オタクセラピストの活動内容について教えてください。
人間探究オタクセラピストとしては、サロン『Mavie』にて「健康(アロマトリートメント)・美(フェイシャルトリートメント)・心(占い心理カウンセリング)」のメニューを提供しています。
アロマトリートメントとフェイシャルトリートメントでは、心身にストレスを与えない自然由来の商品を使用することにこだわっています。
占い心理カウンセリングは、対面またはオンラインにて、お客様の悩みに合わせて占星術・マヤ暦・タロットカード・オラクルカードを組み合わせながら行います。
感情の動きや思い浮かんだイメージを話し合い、本人も無自覚だったご自身の思考の癖や問題点に気づくキッカケを与えています。
「占い」と「心理カウンセリング」を組み合わせた理由は?
最初はカウンセリングのみを提供していたのですが、身体や心の調子を尋ねると多くのお客様は「大丈夫です」と答えます。
サロン『Mavie』を開くにあたり、身体だけでなく心のケアに重きを置いて一人当たりにかけるカウンセリングの時間を大事にしていたのですが、これでは表面的なやり取りしかできないと気づきました。
そこで使用し始めたのが「占い」のツールでした。
「占い」を介することにより、その方の秘めた悩み・傷ついた心・閉ざした感情など「大丈夫ではない」部分を吐き出せる場がつくれました。
どのようなスケジュールで活動をされているのでしょうか?
サロン業務と看護師は半々の割合で働いています。
サロン業務が週3~4日、看護師も週3~4日です。
サロン業務をする日は、朝9時から店舗の清掃や来店されるお客様のカルテ準備などオープンの準備をし、10時にサロンを開店します。
予約制ですので予約時間に合わせてお客様が来店されるため、空いた時間があれば仕事関係の情報収集や勉強、占いの分析などをしています。
18時に閉店し、22時を過ぎてからプライベートの時間を確保したり仕事関係の情報収集・勉強をしたり『Mavie』のアプリをチェックしたり……一日の売上の清算などもしますね。
それ以外の時間は子どもがいますので、家事・育児に当てています。
人間探究オタクセラピストの原点
いつ頃から「人が好き」「人に興味がある」と気づいたのでしょうか。
物心つく頃から人に興味があり、「人が好き」という感情が形成されていたと思います。
というのも、物心がつく頃から憧れの仕事が看護師でした。
小さい頃にテレビ番組で人を助ける看護師・医者を見て、医療関係の仕事に憧れを抱き、「私も困っている人を助けたい」という気持ちが強かったのを今でも覚えています。
なので、自分が成長する過程においても人に対して「嫌い」という感情が少なく、人と接する上では「なぜこの人はこのような考え方や言い方をするのだろう?」と相手を知ろうとする思考の癖がありました。
私自身の持って生まれた性格的な特徴はもちろんあると思いますが、同時に私の周りにはたくさんの良い人がいました。
「人が好き」な感情を持ち続けているのは、恵まれた人間環境からだと感じます。
そして、「働きやすい環境」を理由に、たまたま精神科の看護師となったのですが、この偶然がさらに人への興味を掻き立てたのは言うまでもありません。
精神科で出会った方々の多くは、人生に苦労されていたり生きにくさを感じていたりしていました。
同じ人間なのに生きやすい人・生きにくい人がいる。
生きにくい人は生きやすい人と何が違い、どうすれば助け出すことができるのか、そういったことを考えるキッカケになったのが精神科での経験でした。
サロン『Mavie』の原点でもあります。
看護師からセラピストに踏み切った理由は?
病院は「病気になった方をケアする場所」です。
しかし、私が叶えたかったのは「病気になる前にケアできる場所をつくること」でした。
病気になってしまうと治癒に時間がかかりますし、病気の発見が遅ければ遅いほど治癒は困難になります。
特に精神病などの心の病は、一生付き合う病気であり、一度治癒したとしても再燃することが多く、苦悩の根本的な原因を除いてあげないと入退院を繰り返します。
そういった現場を経験していく中で、その場限りの治癒ではなく、そもそもそうならないように、笑顔多き未来・人生に導けるケアをしたいと思いました。
その方が素でいられる時間、人の手や自然の力を借りて自分と向き合う時間、自分を大切にする時間を提供していきたい。
この思いからセラピストとして起業に至りました。
人間探究オタクセラピストまでの道のり
看護師から起業するとなった際、不安はなかったのでしょうか。
不安よりも楽しさが勝っていました。
たとえ思い通りにいかなかったとしても、自分が諦めない限りはいつでも再起可能と考えているからです。
それに自分が叶えたかった「人の手や自然の力を借りて自分と向き合う時間、自分を大切にする時間を提供していきたい」を形にできる時が来たので、楽しみで仕方ありませんでしたね。
起業してから収入を得られるようになったのは、活動を始めてからどれくらいの頃でしたか?
金額は低いですが、サロンをオープンしてから早い段階で収入は得られました。
看護師として仕事をしながら、セラピストの学校に通いながらサロンの開業を同時進行していたんです。
資格を取るまでの期間は友人などに練習台になってもらい、腕を磨いていました。
そして、資格を取得してからサロンをすぐにオープンしたのですが、初めは低めの金額設定でメニューを提供しました。
開業後しばらくは、別のサロンに勤めながら自分のサロンをするというダブルワークで腕や技術を磨きました。
私の場合、自宅サロンでスタッフも私一人なので、広告費にお金をかけることができなくて、認知されるスピードは遅いだろうと考えていたため、初めはサロン一本で生活費を稼ぐ発想はなく、基本はダブルワークで次第にサロン一本にできればいいなという構想で動いていました。
人間探究オタクセラピストのやりがい、つらさ
人間探究オタクセラピストの活動をする上で、どのようなやりがいや楽しさを感じていますか?
自分がやりたいと思っていることが形にできて、それを必要としているお客様がいる。
それがとてもうれしく、やりがいを感じます。
施術が終わった後に贈られるお客様の笑顔や感謝の言葉、前向きな発言、ご自身の中で新しい気づきを感じた時の表情、それらすべてに「やってよかった」と思うのです。
誰かの役に立っているという実感が、私の原動力に繋がっています。
逆につらいな、大変だな、と思うことはありますか?
起業してから今までずっと感じているのは、「病気になる前に心身のケアをすることがいかに大切か」を認知させるのは至難の業だということ。
サロンでは、私がいくらケアをしてあげたいと思っていても、本人が必要性を感じなければできません。
どれだけ「自分を大切にする時間は必要」と発信したり、そういった場を提供したりしても、結局認知されなければ、私のやっていることはエゴや趣味と変わりませんからね。
また、私の理想と現実の厳しさの溝をどう埋めていこうか、常に悩んでいます。
リラクゼーションは娯楽産業のため、保険がききません。
なので、自ずと単価が高くなってしまう。
心身のケアが大切といくら言っても、お金に余裕のある人しか手の届かない産業なのです。
できることなら誰もが手の届く形で心身のケアを提供したいのですが、自分自身の生計を立てることも考えると難しい部分もあります。
人間探究オタクセラピストとしての目標
どのような思いを持って「人間探究オタクセラピスト」としての活動をされていますか?
地球上に生まれるすべての人たちが、たとえ苦労や困難があったとしても、自分らしく生き、自分を誇り、個性を愛し、他者をも認められたらいいなと思い、活動しています。
悩みを抱えて来る人の多くが、自分を嫌い、自分の存在を否定しています。
そして、自己否定の強い人は、他者を認めること・褒めることもできにくい傾向があります。
この負の連鎖は、自身の周りを含め次世代の人たちにも繋がってしまうのです。
そういう人たちに伝えたいのは「正解の生き方はない」ということ。
色んな考え方・価値観・個性があっていい。
身近な人に受け入れられなかったとしても、自分を信じ、愛し、他者を愛することが負の連鎖を止められると信じています。
その一歩となる自分を知り・向き合い・大切にする場所として『Mavie』を運営しています。
今後、活動を通して目指していることを教えてください。
「自分を大切にする時間をつくること」の大切さを認知させていきたいです。
加えて、リラクゼーションは娯楽産業ではなく、心身のメンテナンスの一つとして日常に必要不可欠であると伝えていきたいと考えています。
そして、私が生きているうちに、お金に余裕のない人にも心身のケアが提供できる仕組みをつくっていきたいと思っています。
そのために現在は、資産形成・資産運用などお金の勉強に目を向けている最中です。
好きを仕事にしたい人に向けてメッセージを
最後に、好きを仕事にしたい方へメッセージをお願いします。
「好きを仕事にする」は、自由で楽しそうで羨ましいと言われることがあります。
しかし、実際はそんな甘いものではありません。
責任はすべて自分にあり、何をやるにも自分次第。
「好きを仕事にする」ために何をすべきかを自分ですべて考える必要があり、多くの時間が仕事で埋め尽くされます。
なので、それなりの覚悟が必要なのです。
また、夢を諦める理由は日常にたくさん転がっています。
「好きを仕事にしない・できない」理由はいくつも挙げることができます。
一方、「好きを仕事にして」成功している人・継続できている人は諦める理由やできない理由を考えるより、今私にできることは何か?を常に考えています。
その諦めない姿勢は、必ず自分の成し遂げたいことへ到達させてくれると信じています。
そして、誰かのため・社会のため・世の中のために動くこと、自分以外に視野を広げることができれば、それが原動力となり、さらに自分の目標へと近づいていくはずです。
「好きを仕事にする」信念と覚悟があり、心から楽しむことができるのなら、楽ではないにしても毎日が充実します。
自分の考えが形になる瞬間、誰かの役に立った瞬間、この上ない幸せを実感できます。
「好きを仕事にしたい」と考えて、この記事を拝見しているあなたは、すでに動き始めていますよ。
自分の気持ちを忘れずに、思いを燃やし続けてください。
人間探究オタクセラピストの湯澤さんが魅力的だと感じる3人
1. ナイチンゲール
親に反対されながらも人々を奉仕する仕事やケアする仕事を選んだ姿、敵・味方関係なく負傷兵を献身的に看護した精神性と奉仕性、看護師という形を作った聡明さ……子どもの頃から憧れ、ナイチンゲールのような看護師になりたいと思いました。
2. マザーテレサ
自分自身が贅沢することなく、貧困や病に苦しむ人々を救済し続けた人。
その姿に感銘を受け、子どもの頃から、私もマザーテレサのようになりたいと憧れた人です。
3. オードリーヘップバーン
女優業を経て、晩年ユニセフの恵まれない子どもたちの支援活動を行い、「愛」を大切に生きていた姿勢。
ユニセフ親善大使になった時、「自分が有名になったのは何のためだったか、いま、やっとわかった」と子どもたちの支援が使命であると語る姿に、とても素敵な人だなと憧れました。
3人とも自分の欲で動くのでなく、弱い方や苦しんでいる方のケアに尽力しています。
その精神性・奉仕性、そして挑戦し続ける真の強さがとても魅力的です。
私に刺激を与えてくれた女性たちです。
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