変わり続ける技術を駆使して、新たなエンターテインメントを創り出す!
ゲームプログラマー今井 雄貴さん
1992年3月26日、東京都生まれ。高校在学時にゲーム制作の仕事を志し、卒業後、HAL東京ゲーム4年制学科 ゲーム制作コース入学。2014年4月、株式会社エイチーム入社。エンターテインメント事業本部所属(2018年7月現在)。
今井さんがゲーム業界を目指したきっかけを教えてください。
小学生の頃からゲームが好きでした。当時発売された『ゼルダの伝説』シリーズを遊んで、「ゲームって何て面白いんだろう!」とワクワクして。そんな原体験の上に高校生になって進路を考えたとき、自分が将来やりたいことは人を楽しませるエンターテインメントの仕事だと気づきました。
エンターテインメントにもいろいろありますが、僕の場合、自分で遊んで最も感動を得られるものがゲームだったということから、ゲーム業界に進むことを決めました。
最初からゲームプログラマー志望だったのですか?
もともと僕は、あまりPCに強い人間ではなくて。最初はプランナーなど企画系の職種をイメージしていました。でも、専門学校に進学してから初めてプログラムに触れて、システムがなければゲームは完成しない、システムあってこそのゲームなのだということに気付きました。
僕は自分の手でゲームを作りたい気持ちが強かったので、ゲームプログラマーが最も向いているのではないかと思いました。
ゲームの専門学校では、どのような勉強をしていましたか?
HAL東京という専門学校で4年間学びました。
入学時はプログラミングの知識もスキルもまったくなかったので、最初は英語を学んでいるのだろうかと思ってしまうくらい、ちんぷんかんぷんでしたね(笑)1年目はきつかったです。
でも、こういう風にコードを書けばこう動く、というのが少しずつ理解できてくると急に楽しくなりました。授業以外の時間にも、自主的に作品を作ってスキルアップに努めていました。
就職活動ではどんな企業を見ていきましたか?
最近のゲーム業界は、大きく分けて「コンシューマーゲーム」と「モバイルゲーム」を作る会社が存在します。
前者は、たとえばPS4やニンテンドースイッチのような家庭用ゲームで遊ぶもの。
後者は、おもにFacebookやGREEのようなSNSをプラットフォームとして展開するものが主流でしたが、現在はAndoidやiOSなどモバイル向けのゲームで、今はスマホで遊ぶ人が多いです。
僕が今働いているエイチームも、このモバイルゲームを作っている会社です。
ただ、就職活動ではコンシューマーゲームの会社も受けていて、大手メーカーの内定がいよいよ出るというところまで進んでいたのですが、最終的にはモバイルゲームの道に進むことを決めました。
モバイルゲーム業界に決めた理由は何だったのですか?
ひとつは、モバイルゲーム市場の成長性に魅力を感じたことです。
この市場はスマートフォンの普及で急速に伸びていて、僕が就職活動をしていた当時すでにコンシューマーゲームの市場規模を抜いていました。
ですので、モバイルゲームは今後もっとたくさんのユーザーに遊んでもらえる可能性があると考えました。
もうひとつは、モバイルゲームの会社は弊社も含めてベンチャー企業が多く、若い人にチャンスが多いと考えたことです。
コンシューマーゲームは歴史がある分、名だたるベテランクリエイターの方々もまだ第一線で活躍しています。
そうなると、歴史の新しいモバイルゲーム業界のほうが、若手が関われる部分がたくさんあるように思いました。
なるほど。入社されてからは、プログラマーとしてどんなお仕事に関わってきましたか?
入社した年は、当時開発がスタートした『ユニゾンリーグ』というタイトルに携わりました。
リリース後は運営業務に関わって、ユーザーの意見を取り入れながらのサービスの改良や、台湾の外部会社に対して技術指導もしていました。
2年目からは別の新規プロジェクトの開発リーダーとして、技術責任者を任せてもらいました。
並行して『ヴァルキリーコネクト』や『三国BASSA!!』、など、エイチームでリリースした直近のゲームにはすべて関わってきています。
現在は、まだ口にはできないのですが、また新しいタイトルの開発に関わっています。
一つのプロジェクトに対して、どれくらいのメンバーが動くのですか?
状況によって変わってくるのですが、立ち上げ直後は5人くらいです。
開発が進むにつれて増えていき、最終的には多いと50人くらいまでになる場合もあります。
あと、外部会社にグラフィックなどを作ってもらうこともあるので、そういう人たちを含めればもっとたくさんの人が一つの作品に関わります。
お仕事の1日の流れを教えてください。
そこからは個々の業務になりますが、僕は一日中プログラミングをしている日もあれば、プロジェクトの新規立ち上げ時期には技術研究をすることも。
また、ゲームの企画に関するミーティングがたくさん入る日もあります。
ちなみに会社はフレックス制なので、余裕がある日は10時に出社して16時に帰るようなことも可能です。
ただ、リリース前はものすごく忙しくなって終電で帰る日もあります。正直、忙しさは変動が大きいのですが、仕事の状況に応じてメリハリをつけて働ける環境です。
ちなみに、最近はプログラマーとしての業務のほか、人事・採用関連の業務も任せてもらっていることもあって、月に1回~2回くらいは東京や大阪などにも出張しています。
お仕事のやりがいを教えてください。
幸いにも、入社してから1年に1本ずつ新規ゲームをリリースすることができているので達成感があります。
リリースする瞬間は毎回感動的ですし、遊んでくれるユーザーさんからの声が届くことがうれしいです。
ちなみに弊社ではディレクターやプランナーたちと、お互いに話し合いながらゲームをどう作っていくか決めていく機会が多いです。
上から仕様が下りてきて「この通りにプログラムしてね」といわれるのではなく、お互いに仕様を共有したうえで、プログラマー目線でアイデアや改善できることを提案しています。
自分の意見をどんどん言うことができるので、その点もやりがいに感じています。
逆に、つらいことや苦労を感じることはありますか?
もちろん大変なこともあります。開発では、最終的なゲームの動作についてはプログラマーが責任を持つので、そこに関するプレッシャーは大きいです。
弊社はサーバーも運営しているので、リリース後に不具合が起こってしまった場合は至急メンテナンス作業をしなくてはなりません。
その間、ゲームを楽しみにしてくれているユーザーには迷惑をかけてしまいますし、どうすればよいかわからない状況に対して何とかトラブルの原因を見つけて対処しなくてはならないので、冷や汗をかくこともあります。
今井さんが仕事をするうえでのこだわりはありますか?
簡単に「無理」とは言わないことです。
ゲーム開発では、「こんなことをしたい!」というアイデアも、プログラマーが一言「無理」といってしまえば、そこで終わってしまうんです。
プランナーたちが考えに考え抜いて企画したことをどこまで実現させられるか。それが、プログラマーの腕の見せ所だと思っています。
もちろん、技術上の理由でどうしてもやれないこともありますし、自分の力が及ばなくてできないこともあります。
そんなときでも、調べたり上の人に相談したりして、できるだけやれるように努力します。
休日はどんな風に過ごしていますか?
映画を観たり、彼女とデートをしたり、身体を動かしたり…いろいろしています。
ゲームもやりますが、何しろ仕事中がずっと座りっぱしなので、休みの日は健康のために意識的に動くように心がけています。
今後の夢・目標を教えてください。
ゲームクリエイターとして、世界的に有名なエンターテインメントを創出したいという目標を持っています。
あとはもっと技術的な貢献をしていきたいです。
個人としても、会社としても、業界に対してインパクトを残してこの業界をさらに盛り上げたいと思っています。
ゲームプログラマーの仕事に向き・不向きはあると思いますか?
「ゲームを作っている」というと華やかに見えるかもしれませんが、ものすごく地道な作業が多いんです。
開発では完成までに数年かかることも当たり前ですし、泥臭い作業を続けていくことになります。
なので、何としてもゲームを作り上げたいという気持ちと、根気が求められてきます。
あと、ゲームはチームで作るものなのでコミュニケーション能力は必要です。
プログラマーになる人はちょっと変わり者というか、対人関係が得意でない場合もあるのですが、自分から積極的に周囲と関わろうとする姿勢は社会人としても大事だと考えています。
プログラマーというと若い人が活躍しやすいというイメージですが、歳をとっても続けられる仕事なのでしょうか?
社内でも、40代後半のベテランプログラマーが活躍していますし、プログラミングを楽しみ続けられるのであれば、生涯プログラマーでいられると思っています。
かつては「プログラマー35歳定年説」なんて言われることもあったようですが、しっかりキャリアを重ねればそれだけ技術力もついていきますし、長く戦っていけるフィールドはあると思います。
女性でもゲームプログラマーとして活躍できますか?
もちろん、やりたい気持ちがあれば性別関係なく活躍できますが、業界全体として女性プログラマーはまだまだ少ないと思います。
ただ、グラフィックの仕事になると社内でも女性のほうが多いくらいので、ゲームに関わる仕事でも職種によって男女比はだいぶ異なります。
IT系のプログラマーやシステムエンジニアとゲームプログラマーの違いを教えてください。
ゲームプログラマーの特徴として、新しい技術をどんどん追いかけなくてはならないことが挙げられます。
もちろんシステム系の世界でも技術は変わっていくのですが、技術進歩のスピードはそこまで急速ではなく、安定して動いている技術をある程度使い続けることができるといわれています。
一方、ゲーム業界ではグラフィックも通信・インフラ周りのことも、1年でガラっと変わることはよくある話です。
なので、技術を追いかけ続けないと、すぐに古いゲームを作っているような扱いをされてしまいます。
あとは、ゲーム会社の数自体がIT系の会社と比べて多くないので、どうしても狭き門になってしまいます。そういう意味では、ゲームプログラマーはちょっと難易度が高めかもしれません。
ゲームの仕事をしたいのであれば、諦めないでコツコツ勉強することが一番大事です。
今後のゲーム業界はどうなっていくと思いますか?
いま世界におけるゲーム業界の市場規模は、コンシューマーゲームとスマートフォンゲームが半々ほど。
日本の会社で見ると、コンシューマーは微減か減少傾向、スマホはほぼ飽和状態にあるといわれています。
一方、スマホでは中国が大きく伸びているほか、アジアの途上国もインフラが整いつつあってまだこれから伸びると予測されています。
こうしたことから、日本のゲーム業界は、これからグローバルを舞台にしないと希望が持ちにくい状態というのが実情です。
グローバルとなると、英語力も求められてきそうですね。
はい。実際、プログラマーは英語の技術的な文献を読む機会も多くあります。
僕も英語はもともと得意ではないのですが、翻訳ツールを使いつつ、英語力アップに努めています。
これからゲームプログラマーを目指すのであれば、英語はできて損はないと思います。
英語のほかに、勉強しておいたほうがいいことはありますか?
ゲームプログラミングでは数学と物理の知識も使うので、高校のうちに苦手にしておかないほうが後々楽になるとは思います。
ただ、ゲームプログラマーといっても、サーバー周りを専門にしたりインフラを整えたりするプログラマーもいて、そちらだと数学や物理というよりもハードウェアやインフラの知識を身につければ大丈夫です。どうしても数学などが苦手であれば、そういう道を目指すこともできます。
ただ、コンテンツを作りたいとなったら数学的なセンスが求められてきます。
その知識の使い方一つで、ゲームが快適に動くかどうかも変わってきますから。
最後に、ゲームプログラマーを目指す若い人に向けてメッセージをお願いします。
僕は専門学校からゲームの勉強を始めましたが、在学中の4年間で十分ゲームプログラミングを習得できました。
僕自身、高校時代は数学や物理をきちんと勉強していなかったですし、本気でゲームの仕事に就きたい気持ちさえあれば、文系でも理系でも大丈夫です。
ゲーム開発は夢のある仕事なので、やりたい気持ちを大事に、ためらわないで踏み込んでほしいと思います。
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