音楽大学とは? 学科・志望理由・就職先
音楽大学の学科一覧
器楽科
ピアノ、弦楽器、管楽器、打楽器、古楽などの楽器の演奏を、個人レッスンを通じて研鑽し、演奏技術の向上を図ります。
声楽科
個人レッスンによる発声などの技術や表現を磨くとともに、アンサンブルやオペラの実習を行い技術の向上を目指します。
作曲科
二重奏曲、声楽作品、管弦楽曲などの作曲に関する理論を学び、実際の作曲を通じて作曲家としての基礎を基礎を築きます。
指揮科
ソルフェージュや聴音の基礎力を向上させるとともに、説得力のある音楽性を身につけ指揮者としての能力向上を図ります。
楽理学科
音楽理論の習得や音楽史などの探究を通じて、音楽全般に対する理解を深め、音楽に関わる仕事に携わる人材の養成を目指します。
音楽大学の志望理由、例文、面接
音楽大学の志望動機
音楽大学を目指す学生の大半は、幼少期からピアノなどの楽器演奏に打ち込み、演奏技術をさらに向上させることに専念するために志望しています。
将来的に音楽家として活躍することを目標に掲げ、プロフェッショナルとしての基礎を築くことを目指している人が多いのが特徴です。
音楽大学の入学試験においては実技が重視されますので、早い段階から個人レッスンを受けるなど受験に向けた準備を進める人が多い傾向があります。
そのため、早い段階から音楽大学を目指すことを決めている人が少なくありません。
また、音楽大学に進学することだけでなく、専攻する楽器や分野を決めた上で対策を練っていくのが一般的です。
音楽に携わる仕事に就きたいという明確な目的をもって志望する人が多い大学と言えるでしょう。
音楽大学の志望動機の例文
「私は3歳からピアノを習い始め、現在まで同じ先生のもとで指導を受けてきました。
ピアノのレッスンは、とくに中学入学後に伸び悩んで行き詰まりを感じた時期があり、悔しい思いをしたこともありましたが、今思い返しても辛いと感じたことはありませんでした。
幼少の頃からずっと、頭のどこかには音楽のことがあり、ピアノがもっと上手になりたいという思いがあったように記憶しています。
音楽大学へ進学し、本格的に音楽科の道へ進もうと決心したのは、高校1年のときに辻井伸行さんの演奏を聴いたことがきっかけです。
音楽へのまっすぐな情熱が、ピアノの音に乗って届くような気がしたのです。
辻井さんのように、音楽を通じて人に感動を届けられるようになりたいと強く思うようになりました。
将来は音楽に携わって仕事をしていきたく、貴校の器楽科を志望いたします。」
音楽大学のAO・推薦入試の面接で聞かれること
音楽大学における面接では、主に音楽に対する思いの強さを確認する質問や、志望動機に関する質問が中心となります。
器楽を志望しているのであれば、1日の練習時間や練習している曲、好きな作曲家や演奏家などが聞かれます。
また、音楽大学は実学を学ぶ場所ではなく、卒業後にプロの演奏家になることが保証されているわけでもありません。
それでも音楽大学を志望するからには、相応の志望理由があるはずです。
実際、入学後もレッスン漬けの日々を送ることになりますので、音楽への強い思いがなければ挫折してしまう可能性もあります。
音楽への強い思いが本物であることと、音楽家として今後目指していきたい道について伝えられるようにしておきましょう。
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音楽大学で勉強すること、授業内容、卒論
音楽大学で勉強すること
音楽大学は音楽を専門とするいわゆる単科大学です。
授業においては、全般的に音楽に関わることを総合的に学びつつ、専攻する楽器や声楽、指揮といった各分野の技術向上に主眼が置かれます。
近年では音楽療法のように、音楽を科学的な観点から利用する試みもなされています。
こうした最新鋭の研究に触れ、音楽に対する知見をさらに広げていく場合もあります。
また、音楽家として将来活躍していくには、日本国内だけでなく世界を視野に入れる必要もあることから、外国語の授業に力を入れている大学も見られます。
このように、音楽大学での学びは専攻する分野の個人レッスンを中心としながらも、音楽に対する総合的な知見を高めることも重視していると言えます。
音楽大学の授業内容
音楽大学での授業は、とくに器楽や声楽を専攻した場合、個人レッスンが中心となります。
演奏や表現の技術を研鑽し、向上させていくことを目的としたレッスンが行われます。
また、音楽に関する高度な知識を持つ人材を輩出するために、レッスン以外の音楽全般に関する知識を取得する授業も行われます。
聴音や新楽曲視唱といったソルフェージュの授業はほぼ必ず行われ、基礎的な力をたしかなものにしていきます。
また、楽曲分析や音楽理論を学ぶことを通じて、音楽を創ったり演奏したりする上で必要となる理論への理解を深めることも求められます。
このほか、音楽史やコンピュータプログラムによる作曲など、音楽全般に対する理解を深める授業が行われることもあります。
音楽大学の卒論の例
- 木管セクションから見るベートーヴェンの交響曲
- ドビュッシーの《遊戯》における音楽語法
- 武満徹の作品研究
- J.ハイドンのピアノ・ソナタについて
- ガブリエル・フォーレの《ノクターン》の音楽様
- シューベルト歌曲集Winterreise Op.89 『冬の旅』の研究
- 生田流筝曲における調弦、転調について
音楽大学で取れる資格
・教員免許(音楽)
・学芸員資格
・幼稚園教諭第一種免許状(幼児音楽教育)
・音楽療法士
・ピアノ調律技能士
ピアノの演奏や声楽など、演奏家・音楽家としての専門資格は存在しないため、資格取得を検討するとすれば教員免許や学芸員資格が中心となります。
近年では音楽療法が医療分野で注目されるなど、音楽の専門性を音楽以外の分野で活かすための資格を取得する道もあります。
このほか、ピアノ調律技能士のような、技術的な面での能力を伸ばし、資格取得を目指す方法もあります。
音楽大学の楽しいこと・大変なこと・つらいこと
音楽大学では基本的に、専攻する分野での個人レッスン漬けの日々を送ることになります。
音楽の道へと本格的に進むことを決意した人でさえ、高い演奏技術を目標とするレッスンの中でスランプを感じたり、ときには厳しい指導を受けたりと、精神的に落ち込むことがあるようです。
反対に、音楽のことだけを考えて打ち込める環境は整っていますので、思い切り音楽に没頭する学生生活を送りたい人にとっては、最適な環境が整っていると言えるでしょう。
音楽大学の学費
一般的に、音楽大学の学費は他の総合大学などと比べると高額になる傾向があります。
個人レッスンに講師がつき、練習に集中するための部屋も利用できる環境を整えるには、授業料や施設費が必要になるというわけです。
一例として、武蔵野音楽大学の学費は、初年度納入金合計が2,220,000円となっています(器楽・声楽コースの場合)。
内訳は、入学金150,000円、授業料1,390,000円、施設費670,000円、後援会費10,000円となっています。
次年度以降の学費は、年間で2,070,000円で、4年間合計で8,430,000円となります。
音楽大学の就職先、目指せる仕事、進路
音楽大学の就職先
音楽大学は音楽家としてプロフェッショナルとなる人材を輩出する教育機関ですが、卒業生の全員が音楽を専門とする道に進むわけではありません。
他の大学や学部の学生と同様、一般企業へ就職し音楽とは直接関係のない仕事に就く人も大勢います。
音楽大学から一般企業への就職は不利というイメージを持つ人も少なくありませんが、1つのことを突き詰めてやってきた経験や、指導者など目上の人との接し方を学ぶ中で身につけたコミュニケーション能力を評価されることも少なくありません。
音楽の技術や知識を活かせる就職先としては、音楽教室や楽器メーカー、楽器店などが想定されます。
また、近年注目されている音楽療法士として活躍するのであれば、医療施設や障害者福祉施設、高齢者福祉施設、自動福祉施設なども就職先として考えられます。
音楽大学から目指せる仕事
音楽家として活躍することを目指すのであれば、演奏家や作曲家などが挙げられます。
ただし、こうした仕事は演奏技術だけでなくセンスが求められますので、音楽に対する知識が高度であるというだけで必ずしも成功できるわけではありません。
中には、ピアノなどの楽器演奏を指導する講師として活躍の場を見出だす人もいます。
このほか、音楽療法士の資格を取得し、医療福祉関連の施設で音楽を通じたケアを施す仕事に就く人もいます。
教員免許や学芸員資格を取得すれば、公務員として教諭や音楽学芸員になる方法もあります。
なお、音楽に直接関わることにこだわらなければ、音楽大学卒であることが不利になる仕事はほとんどないといえます。
その意味においては、音楽大学から目指せる仕事は数多くあると考えていいでしょう。
音楽大学の就職以外の進路
音楽大学にも大学院がありますので、修士課程や博士課程へと進学することが可能です。
演奏技術や表現力の向上は、「ここまでできれば完成」といった終わりのあるものではありません。
突き詰めていけば、どこまででも技能を磨き、向上させていくことができるでしょう。
その意味では、大学4年間という期間はあまりに短く、限られた期間とも言えます。
さらなら演奏技術の向上を目指し、大学院へ進学する人もいます。
また、演奏家や作曲家は基本的にフリーランスですので、就職以外の進路に入ると考えていいでしょう。
世界的なコンクールで成果を収めるなどして有名になっていく人もいますが、飲食店やイベント施設などで演奏の仕事をもらうなどして生計を立てていく人もいます。
音楽大学から公務員を目指す
音楽大学から公務員を目指す道としては、大きく分けて教員と学芸員が挙げられます。
教員になるには、教員免許を取得し、採用試験に合格する必要があります。
中学・高等学校は音楽専科での教員免許となり、小学校の場合は二種免許となるのが一般的です。
また、学芸員としては、音楽学芸員と呼ばれる仕事を目指すこともできます。
コンサートホールなどで、アーティストやオーケストラを招いてコンサートを企画し、開催準備に向けた準備を整える仕事です。
多くの人に音楽を届ける意味において、やりがいのある仕事といえるでしょう。
海外の音楽大学
海外にも音楽大学はあり、名門と呼ばれる大学となると、入学・卒業ともに難易度が高くなります。
しかし、優れた音楽家を輩出してきた歴史を持つ学府で学ぶことができ、世界最高峰の技術を持つ学生と研鑽し合っていくことができるという大きなメリットがありますので、学費などの費用面さえ許せば検討する価値は十分にあるでしょう。
著名な音楽大学として、次のような大学があります。
・ジュリアード音楽院(アメリカ)
・カーティス音楽院(アメリカ)
・英国王立音楽大学(イギリス)
・パリ国立高等音楽院(フランス)
・シベリウス音楽院(フィンランド)
音楽大学の講師になるには
音楽大学の講師には常勤講師と非常勤講師がいます。
常勤講師になるには、大学の博士課程を修了し、相応の実績をあげていることが前提条件になります。
力のある指導者から推薦してもらうなど、コネクションも必要となりますので、単に演奏技術が高いというだけで講師を目指すのは至難の業です。
非常勤講師には、他に音楽関係の仕事を持ちながら兼任している人も多く見られます。
ただし、非常勤講師の場合も恩師の紹介で職を得るなど、何らかのコネクションが必要になる場合がほとんどのようです。
音楽大学の付属高校とは
音楽大学の中には、付属高校を設置しているところもあります。
普通科の高校と同様に入試が行われますが、高校入試においても実技試験が重視されるのが大きな特徴です。
早期から演奏家としての適性や才能を見出された人は、付属高校でひと足早く音楽に特化した教育を受けることになります。
高校卒業時には卒業試験が行われ、所定の成績をクリアしていれば音楽大学へとエスカレーターで進学することができます。
音楽大学の付属高校を目指す学生は、早い段階から音楽の道に進むことを決心していますので、練習漬けの毎日に耐えることへの決心が固く、「音楽をやりたくて高校に来た」という意識が強いのが特徴です。
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